どこもかしこもコーヒールンバ!

今年は中部太平洋の海水温が高いこともあり、台風の発生が日本にとても近い。台風13号(マーロン)も宮古島の北北西約90キロの海上で発生し、あっという間に北上してきました。東北・北海道に甚大な被害をもたらした台風10号(ライオンロック)。続いて発生した台風11号、12号は西日本、東日本への影響はほとんどなかったので、台風13号のルートには落胆しました。007.gif

今年は早い時期から8日、9日の休みを申請していました。最近は天気を理由に、一度申請した休みを取下げられないややこしい世の中。実際は私くらいの年齢になれば無理もききますが、それでは若い人に示しがつかんでしょう。ということで、いつものごとく台風に向かって突き進みます。

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天気図の感じでは、もしかしたら4日間とも竿が出せるかも…。そんな淡い期待を持っていました。宿のキャンセル料が発生しないのは前日までなので、どちらから入るか…。九頭竜か、Jinzooか?これが4日間の明暗を分ける可能性が高いので、入手できる情報を参考にします。

しかし国土交通省の降水量や水位は、雨が上がってからの状況を判断するには有益ですが、現在降っている、これからさらに降るという状況ではあまり役に立ちません。またライブカメラは夜間参考にならないため、やはり雨雲レーダーと現地にいる友人の情報が一番重要です。

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遠征は時間もお金も掛かるので、竿が出せない状況を心配して友人も強気の判断はできないもの。そこら辺を勘案しながら、今回は初日に九頭竜。2日目は雨が上がれば関電しだいの「あっちの川」を予定し、それ以降可能であればJinzooというプランにしました。

天気予報では夜半から降ることになっていましたが、道中はほとんど降雨はなし。洗面タイムの杉津PAも傘いらずで、ときおり青空がのぞく感じでした。朝には台風13号は温帯低気圧に変わりましたが、問題は北陸上空に停滞する前線。台風から湿った空気の流入しだいでは、予想以上の激しい雨になる可能性があります。042.gif

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いつものオトリ店に到着した時点ではまだ平水。しかし九頭竜湖付近ですでに400㍉の雨が降ったとの情報です。大半は渇水の九頭竜湖で貯水されるでしょうが、問題はこれから降る雨でしょう。連泊のお客さんはすでにこの日は釣りを諦めて、テレビの気象情報を見ながらのんびりムード。

今年は初めてお会いするナッシーさんも、この日に現地入りしてきた私に呆れ気味。これは無理でしょうという雰囲気を察しつつも、オトリを購入して釣り場に向かいます。増水しても比較的安全な吉並の左岸に釣り人が見えますが、私は水位が30㌢くらい上がっても戻れる中州へ。

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ここで入れ掛かりを目論みましたが、なかなか掛かりません。水位の目印を確認しながらの釣りになります。そのうちに町内放送で「大雨洪水警報が出ました」とのこと。水位が10㌢上がるまで釣って何とか3尾。この日はプロトの穂先を替えてテストしています。

水位が上がるまでもう少し時間がありますが、この場所はさすがに釣り人ゼロ。向かいのオトリ店主が気に掛けているようなので、ここで増水しても問題ない場所へ。移動した場所はすでに水色はコーヒールンバ。おまけに土砂降りの雨。ウエット上着を着ているので寒くはありませんが、先行者はすでに車で雨宿りです。

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そんな状況ですが1尾目は速攻。これで鮎の付場が判断できます。しかしここで雷が近づいてきたので竿を置きます。待機している間に水は20㌢くらい上がりました。雷が遠ざかってから川に戻ると、まだ行ける感じです。波立ちで判断しながら探っていくと、会心の当たりで背掛かり。006.gif

釣り人から見ると、この濁りで野鮎がオトリを認識できるのかと思うでしょう。しかし水の中に入ればかなり見えるもの。目安は曳舟の底が見えるくらいなら何とかなります。風と雨が止んだ短い時間にプチ入れ掛かりがありますが、その後はついに泥濁り状態となってしまいました。

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自分の基準を確認するため、その状態になってもしばし釣りを続行。私は濁り以外にも川の匂いを判断材料にしていますが、今回もそれが裏付けられるような結果でした。普通はこんな日は釣りをしませんが、何でもやってみないと引き出しは増えません。しかし安全第一ですので、そこはお忘れなく。遠征初日は7尾で終了です。

チェックインの時間まで余裕があるので、まずはフナヤに行ってプロトの穂先と元竿の仕様、そしてコスメの打ち合わせ。その後は来季終売になってしまう鮎用品を探しに、車でフィッシャーズ福井店へ。

その後はチェックインしてから歩いてフジノ、上州屋を回りました。最近は釣具店に行く機会がないので、久々に買い物を楽しんで大人買い。この時期の北陸は、鮎用品が店頭価格からさらに割引になっているのが嬉しいところです。

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買い物をして宿に戻る頃には、また雨が降り出しました。このままあまり降らなければ九頭竜も土曜から釣りができそうですが、前線による雨なので予想が難しいところです。予定通り、私は金曜早朝に「あっちの川」に回ります。平日なのでいつもより遅めで、7時に道楽Yさんと待ち合わせ。

遠征2日目のポイントは私の車では入れないので、途中まで行って鮎道楽号に私の荷物を積み替えます。朝から入れ掛かりの予定でしたが、この時期そんなに甘いはずもなく…。ダムの放水量が前日から動いているので、鮎の動きが読めません。道楽Yさんは瀬ですぐに掛けますが、私の泳がせポイントは沈黙。オトリが替わらないことには勝負になりません。

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平日なのに釣り人が多いのはJinzooからの転戦組でしょう。オトリが替わるとすぐ2尾というペースですが、その間が長~い沈黙。いつものように楽しい昼食をしていると、道楽Iさんがその場に似つかわしくないネクタイをして、河原を延々と歩いて来られました。差し入れに餃子と枝豆、いつもお気遣いありがとうございます。040.gif

しばし川原で談笑し、道楽Iさんは仕事に復帰。道楽Yさんはフェルト減らしの旅へ。私は夕方になれば掛かると信じて、同じ場所で続行します。そして15時半にゆ~がったチャンスのゴールデンタイム到来。もう目印ビュンビュンで脳汁出まくり。しかしそんな時間は長く続かず、16時半には完全に閉店モード。遠征2日目は38尾で終了です。

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この日の宿は久々の富山駅前。帰宅時間で一般道は混雑しているので高速で移動します。翌日は道楽Yさんは仕事なので、Jinzooを見てダメな様なら「あっちの川」に転戦。道楽Kさんと合流かな~と思いながら迎えた遠征3日目。ふなさきオトリ店の情報にもあるとおり、Jinzooはコーヒールンバ。水位は大沢野大橋で1.3㍍なので平水です。

曇り空だと濃い笹濁りくらいに見えますが、紛れもなく褐色系の濁り。ふなさき情報にもありますが、写真で見るよりも濁りは強いです。これはダムからの濁りなので、早々にはとれません。しかし反面で濁りの粒子が細かいので、8月の鮎なら間違いなく追います。問題は底石にどの程度泥が被っているかでしょう。

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道楽YさんにLINEで入る場所を連絡し、他の鮎道楽メンバーから問い合わせがあるかもしれないのでスマホを持って入川。先週まで底石がビカビカに磨かれているとの情報でしたが、この日は泥団子状態で食んだ石が見当たりません。このような場合はどうするのか聞かれることがありますが、答えは濁りを気にせず流芯を釣るだけです。

半信半疑の人が多いでしょうが1尾目は速攻。底バレが2回続き、2尾目はちょうど道楽Yさんと携帯で話しているときに竿をひったくられました。このように朝はスローな釣りでしたが、これは濁りとは関係ありません。青空が広がって太陽が出てくると、コーヒールンバの色が際立ちます。ま~、普通なら入らないでしょう、この状態では!025.gif

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この日もプロトのテスト。穂先を替えたら感度面がかなり改善されました。自重は260㌘くらいなので、SLⅢよりはかなり操作が楽です。これで今のJinzooの鮎で折れなければ及第点でしょう。平均サイズが25㌢くらいで、27クラスが普通に混じります。このサイズになると急瀬で返すのはしんどいというか勇気がいりますが、タモ受けは安定感があります。

陽射しが強くなり皮膚が焼けるように熱くなると、いよいよ野鮎も本気モード。背掛かりの鮎は当たりが小さいので、対応が遅れると一気に伸されそうになります。しかし超硬と違ってプロトは伸され気味でも竿を曲げられるので、この角度から立て直しが利きます。もちろん急瀬なので荒瀬で一歩も下がらずに抜く竿ではありません。しかし掛けることへのアドバンテージは大きい。

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ここら辺のメリットについては、このプロトの紹介であらためて書きます。私が何を意図してこの竿の開発を提案したのか!それはJinzoo特有の癖みたいなものが大きく関係しています。おそらく今年のJinzooでコンスタントに釣果を上げている人は、それに気がついているはずです。

少し離れた上空には、朝からヘリがホバリングしながら川を捜索しています。後で得た情報では、8日(木)の夕方から地元の方が行方不明になっているとのこと。テレビ報道では「会社帰りによく鮎釣りをすることが多く」となっていますが、私が聞いた話では網打ちの方のようです。

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風がないと倒れそうなくらい暑いので、小まめに水分補給をして熱中症に備えます。この日は簡単には掛かりませんが、その分だけプロトのテストとしては最高の条件。回りにも釣り人がおりますが、竿が曲がることはほとんどありませんでした。

私がこの日のパターンで使うハリの在庫がなくなり、ゴールデンタイムに10連続バラシ。しかしもう一つのハリケースに1本残っていたのが救いでした。これで10連続バレなしでゲット。その様子を対岸から撮影している方がいましたが、翌日その写真が道楽YさんからLINEで送られてきました。鮎道楽の情報網、恐るべしであります。

陽が短くなったと言っても日本海側。17時でもまだまだ釣りができますが、この日は十分満足して竿を畳みました。簡単には掛からない条件でしたが、終わってみれば56尾。最大は28.5㌢でした。プロトのテストはこれでほぼ終了したので、明日は強度テスト。午前中だけの釣りなので、本気で折りにいきます。

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そしていよいよ遠征4日目の最終日。ふなさきオトリ店の情報でさぞやJinzooは混雑しているだろうと思いましたが、拍子抜けするくらい人が少ないです。やはり前日釣れたのはごく一部の人であったことと、気持ち的に行方不明者のことも影響しているのかもしれません。

私は若い頃は海の男だったので、行方不明者は一日も早く発見してあげたいと思っています。警察や消防は川には素人なので、捜索は護岸からになります。現在のようなコーヒールンバでは、もし近くに沈んでいても発見できないでしょう。

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この日はプロトの強度テストなので、それにふさわしい場所を選択。笹舟の川漁師も協力して、流されたと思われる場所から瀬肩やテトラ回りを棹で捜索しています。護岸には入れ替わりで消防団がきますが、川には入らないので川漁師が発見する確率の方がはるかに高い。

行方不明になってから大沢野大橋で1.8㍍くらいまで増水しているので、もっと下流に流されている可能性が高いでしょう。しかし川漁師はよく知る自分の漁場を担当して捜索に協力する。シーマンシップではありませんが、やはり海の男と共通するものがあります。

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私は鮎師でなければ立ち込めないような荒瀬へ。網が瀬に引っかかっている可能性もあるので、足の感触にも注意を払います。ときおりでかい鮎が竿をひったくりますが、気持ちはどちらかというと行方不明の方へ。前日の仕掛けなので親子丼もありました。一般的な釣り人に多い返しで竿の突き上げをテストすると、やはり穂先の元から折れました。

この穂先は感度テストのために、この遠征に間に合わせるよう調達したものなので、改良したものが近々できる予定です。もう1本違う穂先をテストして、ちょうどツ抜けしたところで竿を畳みました。時計を見ると11時ですが、フィッシング吉井とフィッシャーズ富山店に寄りたかったのでちょうどよい時間です。

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車窓から見える下流域は、中流域よりも釣り人が多い感じです。見ていても竿が曲がることはありませんでしたが、お互いに安全第一で釣りを楽しんでいきたいものです。

今回は悪運強い私も、まともな釣りは厳しいと思いました。しかし道楽Yさんの協力のおかげでプロトの十分なテスト、そして楽しい釣りができました。これだけの平均サイズを数釣ることができるフィールドは少ないですし、来年のJinzooがそうである確率は低い。まさに2年続いた大鮎のJinzooあっての開発ロッドです。

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久々に自分が必要性を感じる鮎竿です。竿の名前は「龍星☆竿 Tough Power」。皆様が一番気になるデザインは、従来の「龍星☆竿Ⅲ」のビクトリーブルーを継承して、「龍切竿」のように帯幅を細くして地味に仕上げる予定です。

最後に聞きかじりの情報ですが、Jinzooの年券は来年9,000円から12,000円に値上げされるとか…。またそれに乗じて、地元以外の釣り人には来てほしくない「あっちの川」も値上げするらしいです。新幹線開通でホテルや飲食代も高くなり、北陸地方は超インフレでんがなぁ!008.gif

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↑脛でこれぐらいの透明度。見た目はまさに黄河


by scott1091 | 2016-09-11 21:35 | 鮎釣り/九頭竜川、神通川他 | Comments(2)

Commented by turishi6825 at 2016-09-13 07:44
お早うございます。敢えて平日休みを取られたのは、今季終了が近いからかと思っていました。
さすが悪天候でも会心の釣りですね。プロトも無事、産まれそうなので楽しみです。
行方不明の方は12日に下流で見つかった方なのでしょうか。ご冥福を御祈り致します。
Commented by scott1091 at 2016-09-13 20:01
turishi6825さん、こんばんは!
今度の三連休も台風16号の影響を受けそうです。
台風が週に3個のペースで発生しているので、
釣りに行く場所やタイミングが難しいです。

報道によれば有沢橋の100㍍上流で釣り人に発見されたそうです。
上下黒のウエットを着用していたようですから、
おそらく行方不明の方だと思います。
ご冥福をお祈り致します。