続・ヤエン考/小バリの勧め!

シーズン終了に当たり「ヤエン考」の続編をまとめました。いつも書いているとおり、私はヤエンについてはまだまだ素人。またホームグラウンドは「ヤエン先進地」ではないので、名人と呼ばれるような方はおりません。そのため「それは違うだろ~」というご意見もあると思いますが、発展途上の考え方としてご笑覧頂ければ幸甚です。026.gif

さて「跳ね上げ式」あっての小バリということは何回か書いておりますが、それが何ゆえなのかを整理したいと思います。前回の「ヤエン考」に写真掲載されているヤエンはいずれもハリが大きいです。これは市販品を参考にしたということもありますが、ハリが大きいほどアオリに接触させるのに有利だと考えたからです。松葉を付けたのも同じ発想でした。

もちろんヤエンの前脚を短くすれば小バリでも問題はありませんが、ヤエンの先がアジやアオリの腕で止まってしまっては意味がありません。ヤエンはアジを抱いているアオリの下にハリを滑り込ませなければなりません。そのためには前脚の高さがある程度必要になります。

アオリのサイズがいつも同じ。アジの抱き方やラインの角度・テンションも同じとなればタイトな設計も可能ですが、これらの条件はいつも異なるのである程度余裕を持たせなければなりません。この余裕を確実に埋めるのが「跳ね上げ式」であるわけですが、最初はなくても高い確率で掛かるヤエンを目指しました。039.gif
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私はヤエンが胴体に突き刺さってもよいと考えているのはこれが起点です。そして以前にも書いたとおりテストを繰り返したのは「バランス」、そして「前脚の長さ」と「前脚/後脚の間隔と高さの差」です。当然ながら前上がりバランス、前脚/後脚の高さの差が大きい方がハリはアオリに接触しやすくなります。

しかしここで問題になるのがヤエンの滑走スピード。これは前述の条件と相反するので、私は滑走スピードを優先することにしました。その結果として「バランスはフラット」、水中抵抗を少なくするため「前脚はできるだけ短く」、横ブレを低減するため「前脚/後脚の間隔はある程度広く」、「前脚/後脚の高さの差はなるべく小さく」となります。このテストで最初に基準にしたのは、当時使っていたシマノの「A-RB ローラーヤエン」でした。

これをベースに「前脚の長さ」をテストするため、ハリの高さを調整できるよう「V字」構造を採用したのは前回書いたとおりです。このテストにより、ハリをMサイズまで落とすことができました。そして次のシーズンになると、シマノの「A-RB ローラーヤエン 跳ね上げ式」が発売されます。

私も最初はこの構造をコーピーしてみましたが、跳ね上げるのに思った以上に力が必要なのでヤエン到達と同時に跳ね上げるのは難しい。そこで現在は少し違う方法を採用しています。さてここからは「小バリの勧め」についてです。034.gif
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私が小バリの方が有利だと考える理由は他の記事で何回か書いているとおりですが、あらためて要約すると2点に絞られます。まず1点目は軸とハリ先の距離が小さいので、軸がたわむことなく刺さること。ハリが大きいと刺さるときに軸がたわみ、ハリの向きが不安定になることは容易に想像できると思います。アオリは魚の口ほど堅くはありませんが、ハリ立ちの角度が悪いと少なからず影響します。

これは皮の硬い盛期の鮎で細軸のハリがケラレたり、フライでショート・ストライクしたときの手元にガッツンやチョン掛けしてしまう現象と同じ。ハリが開いてしまうことにより身をひっかくような状態となり、ハリ先が貫通できなかったことに起因します。軸を1.0㍉以上にすればたわみは少なくなりますが、ダブルヤエンの場合は軽量化のために0.8~0.9㍉くらいを使うことになるので、安定して掛けるにはたわみは無視できません。

次に2点目は同じハリの角度であれば、小バリほどハリ先の間隔が狭くなるからです。大バリで小バリと同じようなハリ先間隔にしようとすると、ハリを4本や5本にしなければなりません。ハリが大きく、また本数が多くなるほど先が重たくなるので、跳ね上げるには大きな力が必要となるので得策ではありません。

私も当初はアジを離すくらい大きくアワセてフッキングしていました。これはこれでとても爽快なのですが、私にとってヤエンを失くしてしまう最大原因がこのアワセ。ウツボなどで傷んだ箇所からラインブレイクがしばしば起こります。手間を掛けて作ったヤエンと高価な「A-RB ローラー」を失くしたショックは尾を引きますよね~。007.gif
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そこで獲り込んだときにアジを離していないアオリを観察すると、たとえハリが刺さっていなくても軸に腕が密着しているか絡んでいることに気がつきました。この状態であればエギのカンナと同じで、小バリならアジを離せば確実にフッキングするはずです。

ハリ先の間隔が狭いとハリが複数刺さったり、刺さっていたハリが外れても他のハリがフッキングする確率が高くなります。私がアワセを入れなくなったのは、ハリが刺さっていなくてもアジを離したときに小バリであれば刺さると考えているからです。

現在はこの考えをもとに実釣を重ねていますが、確かにアワセなくてもバレないし、今シーズンはヤエンを1本も失くしませんでした。私はダブルヤエンですが、シングルヤエンでも小バリを推奨する人がおりますので、「跳ね上げ式」であれば小バリの方が有利であるという結論になりそうです。

皆様も「跳ね上げ式」にこだわらず、ハリを一回り小さくしてみてはいかがでしょうか?自重を軽減できるので設計の自由度が広がりますし、経験的に本当に必要な要素が絞り込まれるはず。もちろん釣法やヤエンの違いで、試行錯誤の結果小バリはダメという結論もありだと思います。045.gif

Let's try & try again!
The answer is provided only by fishing.
by Aorist

by scott1091 | 2013-02-28 21:30 | Technique | Comments(4)

Commented by Hケビン at 2013-03-01 15:41 x
はじめまして!
徳島のケビンと申します。
昨年の11月より ヤエンを始めたばかりの 超素人なのですが こちらの ブログで勉強させて頂いて 大変お世話になっております。

少し教えて頂きたいことがあります。
ヤエン考にあります 松葉とは どのような物でしょうか?また どのような効果があるのですか?
また、跳ね上げ式とありますが 、ダブルヤエンのどの部分で跳ね上がる作りになってるのですか?
ローラーはやっぱりシマノのヤツがいいですか? アオリネットのローラーを購入してみましたが 着ける長さやバランスが悪かったのか あまり 滑りません。
素人質問ですみませんが 良かったら教えて頂けないでしょうか?
Commented by scott1091 at 2013-03-02 17:12
ケビンさん、はじめまして。

カテゴリーの「Technique」から入って、今回の前編となる「ヤエン考」をご参照ください。私は主軸を跳ね上げる補助具と考えたのでこのようなバランスですが、オリジナルは主軸と副軸の長さは「松の葉」のようにあまり変わらないようです。今回お問い合わせを頂いて検索したところ、考案者の「松葉ヤエン跳ね上げ式」が公開されていましたのでご参照くださいませ。

http://e-tsuribito.blogo.jp/archives/448532.html

跳ね上げの支点はバランスの関係で、必然的にダブルの付根付近になります。私は「A-RB」を前提に設計しているので他のローラーは使っていませんが、「A-RB」からアオリネットに転向した人の感想は思ったよりは走るとのことです。滑りはオリジナルを確認するのが一番なので、まずは「フッカーヤエン」を使ってみてはいかがでしょうか?

Commented by Hケビン at 2013-03-03 12:24 x
詳しく ご回答ありがとうごさいます。
金曜日、土曜日の夜は ヤエンに行ってまして 返信遅くなりすみません。
1.2KG 1パイだけですが 最高記録&自作ヤエン初使用 初GETだったので 大満足です。
やっぱり 滑りは今一でした。
糸を通す部分を3本にして 真ん中の糸掛けの前にローラーを着けていますが 高さが低すぎたみたいです。難しいです。

ヤエン考見てみました。短めの跳ねあげ部分は 一本針が2つ着いてるのですか?
写真では二股ヤエンの右側部分と跳ねあげ部分が重なって写ってるみたいで、勘違いしてました。
フッカーヤエン 使ってみたいと思います。
また お時間がありましたら 色々教えてくださいました。
ありがとうございました。
Commented by scott1091 at 2013-03-04 21:47
Hケビンさん、こんばんは!

自作ヤエンでの初ゲット、おめでとうございます。
これでますますヤエンワールドにはまってしまいますね。
私の松葉ですが、ご指摘のとおり1本が二箇所です。
前から見ると2本がV字になるよう左右に開かせています。