「征龍竿」の価格が変更されました

今回の「征龍竿」の価格変更(¥128,000→¥138,000)は、私が関与するところが大きいので、補足説明をちょっとだけ!

すでに当ブログを読まれている方はご存知のとおり、私が狩野川で「征龍竿」の「プロト2」をテストしたのは10月11~12日。この時点ですでにフナヤさんは価格を発表し、受注を開始しておりました。

「プロト2」に対しての私の感想は、調子的には「プロト1」から格段よくなっているものの、日頃使っている65㌧フルの竿と比較すると・・・。特に竿を抜けてくるような(感性的に伝わってくるとは少し違う)感度が・・・。超硬弾性80㌧カーボンに対する個人的な期待が、過大ではあることは否定できないものの・・・。
f0103126_20572422.jpg

〇日頃、メジャーの30万円クラスを使っている人がどう評価するだろうか?
〇すでに価格が発表されているので、改良してもらう余地はない?
〇プロトの作り直しには時間が掛かるので、来季に間に合わない?
〇現在30万円クラスを使っている私は、割安感があっても買わない?
etc.

そんなことを考えながら、初日の実釣テストは終了。そして二日目は初日の感想をリセットしてテストをスタート。手に馴染んでくると、違和感なく使いこなせるレベルには達しているので、最終的な判断をフナヤさんに預けるかたちとしました。そしてすでに告知のとおり、再度プロトを作ることに決定。

開発責任者から提案された対応策は、カーボン素材の大幅な見直し。これでもコストはかなり上がる。加えて技術的な問題で、素材を見直すには全面的に改良しなければ対応できないという工場からの見解。008.gif
f0103126_2058596.jpg

竿はどこで妥協するかだと思います。しかし私は、常に自分にとって最良のものを使いたいし、メジャーになければ作ってもらいたい。だからこそ2年前、「Super LightⅡ」(以降SLⅡ)にはこだわりました。

竿の能力をフルに引き出し、それを正当に評価できる使い手がはたしてどれくらいいるのか?これは販売する立場では極めて重要なポイント。実は「SLⅡ」も販売サイドに迷惑にならないよう、相応のコストを負担して特別仕様で話を進めておりました。最終的には「SLⅡ」というかたちで標準仕様となりましたが、結果として販売サイドにはコストアップ(=利幅縮小)となってしまいましたね!008.gif
f0103126_20583478.jpg

私は自分で価値があると判断したら、メジャーと同じ価格でもマイナー製品を購入すると言い続けているのは、過去ログにもあるとおり。しかも特許や実用新案がほとんどない釣具業界においては、同じクラスの竿ならマイナーの方が、メジャーより値段が安く設定できるのは明白なのです。

「征龍竿」は自分が使う竿として最良を目指したい。その結果が、今回の値上がりの偽らざる真実です。利幅を圧縮しても納得できる竿をリリースしようと、全面的に同意してくれた開発責任者には、本当にご迷惑をおかけしてしまいました。040.gif
f0103126_2059091.jpg

最後になりましたが、この週末の狩野川の釣況です。私は両日とも上流域で、「征龍竿(早瀬)」の比較ベースとなる「急龍竿(急瀬」)の実釣テストをしました。土曜日は11時から5時間で23尾。日曜日は9時から5時間で同じく23尾でした。狩野川もだいぶ寒くなってきたので、釣行の際は防寒対策をお忘れずに!

f0103126_21285525.jpg

by scott1091 | 2008-10-27 21:01 | フナヤオリジナル | Comments(0)

「60㌧カーボン使用」って、どういう意味ですか?

これからフナヤ・オリジナルのインプレッションを書くにあたり、使用されている素材、すなわち炭素繊維について、素人なりに整理したいと思います。業界関係者の方も当ブログを見て頂いていると思いますので、お気づきの点などあればご指摘頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。

さて先日とある方から、メジャーのカタログにはカーボンの弾性率が表示されていないので、フナヤ・オリジナルと比較ができないとのご指摘がありました。確かにフナヤ・オリジナルは使用しているカーボン弾性率をホームページ上に表示しておりますね!

f0103126_22473352.jpg

そこで簡単に竿作りの工程をご説明致します。まずロッドメーカーは、炭素繊維糸を一定方向に並べて、樹脂でシート状に固めた「プリプレグ(以降カーボンシート)」を素材メーカーから仕入れます。素材メーカーは東レ、東邦テナックス(帝人子会社)、三菱レイヨンが世界市場の約7割を占めていることはよく知られているところですね。

そのカーボンシートに使用される炭素繊維糸の「引張弾性率」が、竿の素材でよく使われるカーボン弾性率です。単位は「kgf/m㎡」や「GPa」で表示されます。「1,000kg=1ton」となりますので、「引張弾性率60,000kgf/m㎡」の炭素繊維糸のシートで作られた竿を、「60㌧カーボン使用」と表現します。
f0103126_20535840.jpg

ここまではかなり単純ですが、カーボンシートは使われている炭素繊維糸の「引張弾性率」だけでは比較できないもう一つの要素があります。それはシートに成型するときに使用する樹脂、すなわちレジンの含有量です。鮎竿で理想とする「より軽く=より硬く」を求めると、当然ながら使用する炭素繊維糸は高弾性のものを使用し、レジンは極力少なくするのが理想となるわけです。(←炭素繊維糸の弾性率が高くなるほど、レジンを減らすのに技術が必要となります。)

ここまで読むと、「な~んだ、要は超高弾性(*1)カーボンシートで竿を作れば最高の竿ができるのね~」とお思いでしょう。しかし竿作りはそんなに単純なものではありません。先に述べたとおり、カーボンシートは一定方向に炭素繊維糸が並んでいるので、シートの向きを組み合わせないと一方向にしか強度がでないのです。

(*1)60㌧以上のカーボンが「超高弾性」に分類されます
f0103126_20554483.jpg

竿作りでは各セクションごとに、マンドレルという芯金にカーボンシートを何層かに分けて巻き、加圧しながらテーピングしてオーブンで加熱します。竿の表面に残っている横筋はこのテーピングの跡。重ねられたカーボンシートは、シートにもともと含浸されている熱硬化性樹脂により接着されます。

実はこのカーボンシートの組み合わせが非常に大切です。竿の開発は、①テーパーデザイン、②使用するカーボン素材、③カーボンシートの組み合わせでしのぎを削ることになります。他社からテーパーデザインを盗むのは実測すれば簡単ですが、使っているカーボン素材とシートの組み合わせは、企業秘密になりえるわけです。
f0103126_20584980.jpg

カーボンシートは同じメーカーのものであれば、弾性率が高くなるほど単価が上がります。したがって同じ調子を、カーボンシートの組み合わせでコストダウンすることも、企業にとっては重要な開発要素になります。

ちなみに市販されているカーボンシートの弾性率は、PAN系(*2)では東レの65㌧が最高ですが、PITCH系(*3)の三菱樹脂には80㌧以上が存在します。しかしレジン量が同一でないことや特性があるので、鮎竿を作る上で80㌧が最良という結論にはなりません。ただ弾性に幅があると、各メーカーの設計者にとっては、シートの組み合わせのバリエーションが広がることは間違いありません。例えば65㌧フルに近い調子を、60㌧+80㌧のコンポジットで作るなどですね。


(*2)アクリル樹脂を繊維化し、特殊な熱処理工程を経て作られる炭素繊維
(*3)石炭や石油産業から生成されるピッチを繊維化し、特殊な熱処理工程を経て作られる炭素繊維

f0103126_2103224.jpg

竿作りの工程は、ほとんど人手による作業ばかり。したがって竿の原価は、①工場での人件費+設備の減価償却費(工賃)と、②カーボン素材の価格でほぼ決まり。メジャーはこれに③営業費(営業担当者の人件費、広告宣伝費、販促費etc.)、④本社共通費の配賦などのコストが上乗せされることになります。

鮎竿は軽く、強くを追求してきた結果、使い勝手(軽量・高感度)と折損は表裏一体なのはご存知のとおり。その理由が「超高弾性低レジン」の多用にあるわけです。同じ人が使えば、メジャーでも高い竿ほど折れる確率が高くなります。竿は折れるものと考える人と、商品である限り折れるものを売ってはいけないと考える人。竿の取り扱いも人によって様々。メーカーはその狭間で、価格帯別にバランスをとっているのが実情だと思います。

これらを踏まえて、インプレッションを読んで頂けたら幸甚です。
f0103126_20394127.jpg

↑いずれも限界を見誤ってしまった結果。超高弾性の竿は使い手の資質も求められます008.gif

by scott1091 | 2008-10-20 21:01 | フナヤオリジナル | Comments(2)

フナヤさんから朗報が届きました!

個人的にとても嬉しい知らせです。

先日のテスト結果を踏まえて、もう一度修正プロトを作ることになりました!
「より良いものを作りたい」というフナヤさんの熱意に感謝です。
040.gif

プロト完成は2週間後。狩野川で再度実釣テストを行います。
「征龍竿90」のインプレッションは、最終テスト終了後にまとめますのでお待ちくださいませ。

f0103126_20294388.jpg

実は私の要望はいずれもコストアップに直結するものばかり。すでに価格が発表されているので、内心は仕様変更を検討してもらえるとは思っておりませんでした。

メールに添えられていた開発責任者の、「竿の好みが、考え方が、鮎竿に関してはほぼ同一だと思います」の言葉は重いです。ご期待に応えるべく、狩野川で最後まで頑張りますよ~。006.gif

f0103126_20301393.jpg

すでに「征龍竿90」を予約されている方もいらっしゃるようなので、最終的に価格や重量がアップとなった場合は、撃龍竿のように別バージョンでの対応となってしまうのかな~。008.gif

by scott1091 | 2008-10-16 20:33 | フナヤオリジナル | Comments(2)

来季発売予定の「征龍竿90」をテスト!

f0103126_1805858.jpg

この週末は、来季発売予定のフナヤ・オリジナル「征龍竿90」の実釣テストを行いました。予定では金曜日にプロトが届くはずでしたが、尻栓のネジ切加工が間に合わず土曜日の午前中に到着。実釣テストは11日(土)午後一番からとなりました。
f0103126_1855192.jpg

テストに選んだ場所は、先週下見してある狩野川中流域。昼までは雨が降ったり止んだりでしたが、午後から雨は上がりました。最初のポイントは、掛かったときの竿のベンディングカーブを撮影するために選んだ場所。カメラ担当は釣りもカメラも素人なので、掛ける場所を決めてからカメラポジションを指定。掛かったら合図をして、しばし撮影のための時間を取ってから引き抜く手順です。
f0103126_1815891.jpg

友釣りをする人なら釣り人の動きで掛かったのがわかるものですが、まったくの素人は合図しないとわかりません。また私のコンパクトデジカメは、光学性能は高いもののデジタル一眼のように連写できません。おまけにシャッターにタイムラグがあるので、タイミングが非常に難しい。来年もテストの予定があれば、デジタル一眼を本気で買おうかと思うくらい苦労しました。(笑)

そしてカメラ担当が帰ってからは、撮影ポイントから本格的なテストポイントに移動。規模は小さいものの一定区間に荒瀬、急瀬、早瀬、平瀬があり、実釣テストには最高の条件です。3時間も掛けて、わざわざ実釣テストを見に来られたマルパパさんが見守る中、4時間ほど釣って初日のテストは終了。この日の釣果は21尾。

まずは取り急ぎ、インプレと要望をフナヤさんにフィードバックします。

f0103126_18142036.jpg

日曜日は解禁日並みの混雑でしたが、上流域から下流域までの4箇所でテストを継続。プロトを折ってもよいので、限界点まで曲げるよう依頼されているので、この日の最大魚で実施しました。利き手を上に持ち替えて限界まで竿を絞っておりますが、写真で見るとあまり曲がってないんですよね!でもこの状態を自分から見ると竿は満月です。この日は流れの違いによるオトリの操作性テストを優先して、釣果はジャスト30尾。
f0103126_18145311.jpg

月曜日は午前中に他の竿をテストをしてから、「征龍竿90」の曲がりを素人なりに撮影してみました。使用している錘は100㌘。写真のとおり、先調子に仕上がっているのがわかると思います。

今回のテスト結果を最終製品にフィードバックするかはフナヤさんで検討中です。
f0103126_185932.jpg

f0103126_18492494.jpg

f0103126_1875676.jpg

by scott1091 | 2008-10-13 18:09 | フナヤオリジナル | Comments(4)

実釣テストのためポイント探し!

f0103126_22304838.jpg

↑狩野川名物の城山をバックに

この週末は、次の週末に予定している、竿の実釣テストのためポイント探しです。テストする竿は、来年発売予定のプロト。テストの詳細はいずれ掲載しますが、ポイント選びで一番苦労するのがカメラポジション。釣りもカメラも素人の妻が、竿のベンディングカーブを上手く撮影でき、かつ足場の良い場所はそうはありません。自分が二人いたら最高の写真が撮れるんですけどね!003.gif
f0103126_22234180.jpg

この条件に加えて、テストする竿の硬度にマッチした流れ。そして撮影チャンスを考えれば、少なくとも20尾以上はカメラの前で掛けなければなりませんし…。鮎がそこそこいて混雑していない場所。う~ん、そんな夢のような場所はあるのでしょうか?008.gif

土曜日は硬調~硬硬調(急瀬~荒瀬クラス)がテストできるフィールドを、日曜日は硬中硬(早瀬クラス)のテストで大中小が釣れる場所を探しました。釣果は土曜日が型優先で26尾、日曜日は数優先で41尾。いずれの日もかなり釣り歩きましたが、まずまずの場所を見つけることができました。006.gif
f0103126_22231770.jpg

↑土曜日の釣果。最大が25㌢♀

撮影してくれる妻のことを考えなければ、硬中硬は狩野川のフィールドに合った竿なので場所選びにあまり苦労しません。しかし硬調~硬硬調で錘釣りのテストもとなると…。狩野川は底石が大きく石裏が多いため5号玉まで必要な場所はほとんどありません。

そこで今回目星をつけたのは、いつも通り過ぎる下流域のとある瀬。今まで釣り人がいるのを見たことはありませんが、遠めに見た感じは底石が小さく一本瀬なので、錘の実釣テストにはよさそうです。
f0103126_2224156.jpg

土曜日の午後、試しにその瀬に入ると予想どおり底流れが速く、流芯は背バリではオトリが止まりません。そこで仕掛けを九頭竜仕様に変えて5号玉で流芯を探ると、狙いどおり入れ掛かり。あくまで来週の下見なので、10尾釣ったところで次の場所へ移動。

この場所は有力候補でしたが、やっぱり見ている人がいるんですよね~。日曜日その場所を通りかかると、今まで釣り人がいるのを見たことがないのに、なんと二人も…。037.gif
f0103126_22255465.jpg

この週末は天気に恵まれ、狩野川はかなりの人出。特に日曜日は、私が川に到着した9時には入るところがないくらい。そんな状況の中、マイナーなポイントから硬中硬のテスト場所を二つ選んできました。一方はチャラ瀬~平瀬で、もう一方が早瀬~荒瀬です。
f0103126_22244156.jpg

↑目印がわかりますか?掛かった瞬間が確認できる見釣りポイント

一方にチャラ瀬を選んだ理由は、穂先が原因のケラレを確認するため。チャラ瀬は水深が浅くライン抵抗が少ないため、私のように穂先に軽くテンションをかける釣り方では、穂先にダイレクトに当たりが伝わります。硬中硬クラスでは穂先によるケラレや、穂持ちバランスによるバレ頻発は致命的なので、そのような問題点がないか確認するためです。

週末は天気に恵まれるとよいのですが、週間予報は今ひとつ。
シーズン残すところ一カ月ですが、テストは納得するまで行う予定です!
f0103126_2225693.jpg

↑日曜日の釣果。本当に大中小まちまち

by scott1091 | 2008-10-05 22:20 | 鮎釣り/狩野川他 | Comments(10)