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「龍神竿90 急瀬Tough Power MOSA」

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今シーズン開発テストをしていた竿がこれ↑。

フナヤオリジナルにおけるハイエンドの急瀬クラスは、現行品では2010年に「龍星☆竿90 急瀬HIGH POWER」、2015年に「龍切竿90 急瀬Light Special」がリリースされました。いずれの竿も神通川というフィールドを想定し、天然鮎の数釣りをターゲットに開発しています。

開発の順番が「龍切竿」の方が後になっているのは、「龍星☆竿」より軽快に操れる軽い竿を!そんなニーズの高まりと、2006年にリリースされた「急龍竿90 急瀬Special」をリニューアルするタイミングであったことによります。

しかしご存じのとおり2015年は神通川の天然遡上が激減。それにより本流だけでも17㌧放流されている人工産鮎が7月には巨大化し、この年にリリースされた「龍切竿」はもとより、「龍星☆竿」でも荒瀬では手におえない状況となりました。

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こんな年は近年では過去に一度しかなく、2016年は通常の神通川に戻るというのが総勢の意見。そして2016年3月時点での富山県水産研究所の田子内水面課長の遡上予想も、過去14年間の平均値をやや下回る(平年よりやや少ない)というもの。しかし2016年も蓋を開けてみれば2015年の再来。いや2015年よりも前半は平均サイズがでかい!

そんな状況なので、私は初釣行から超硬「Super Light Ⅲ」を使用。鮎が多いときは手返しが早くて使い勝手は最高でした。しかし釣果情報が徐々に拡散されて釣り人が増えると、足で稼ぐような釣りはできません。粘って掛けるとなると、やはり超硬では竿の操作がかなり辛い。これが九頭竜川との大きな違いです。

何が一番違うかと言うと、神通川は九頭竜川に比べて圧倒的に浮石が多い。これは毎年流れが変わる神通川と、流れがほとんど変わらず年々川底が平坦になっている九頭竜川を見れば明らかでしょう。

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このように浮石により神通川は底流れが緩い反面複雑なので、丹念に石回りや石組を釣ろうとすると、頻繁に水中糸のテンションや角度を替える必要があります。この竿操作でオトリへのインパクトをコントロールしようとすると、超硬のように重くて硬い竿では誤魔化しが効きません。

そのため鮎が少ない場所では、どうしても「龍星☆竿」を使いたくなります。しかしそんな場所に限って、やっと掛けた鮎がやたらとデカイ。最初は竿の曲がりを確認しながら抜きますが、ある程度抜けるとなれば…。そして「今までと何が違ったんだろう」と思うようなケースで折損。地合いなのに竿を交換するため、車まで戻るのがとてもまどろこしい。

折れない「龍星☆竿」が欲しい!

これがこの竿の開発コンセプト。自重は重くなるのは当然のこと。しかし感度は譲れないので、カーボン素材の弾性を下げるわけにはいきません。コストが嵩みますが高弾性カーボンを肉厚に巻いて、ジョイントの凸側はカーボンテープを巻き上げて補強、凹側はクロスカーボンを巻いて補強します。こうなるとテーパーも見直さなければならないので、節の切り長さも「龍星☆竿」とは変わってきます。


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最初のテストは九頭竜川。これで強度については手ごたえを感じましたが、問題になったのは感度。水中糸の水切音はかなり入ってきますが、無機質(石や障害物)と有機質(鮎や流下ゴミ)の音の聞き分けが難しい。これは鮎が大きいと音量が大きく入ってくるという問題もあるので、鮎が小さい川でもテストする必要があります。

そこで翌日は庄川へ。鮎の大きさで引くときの竿の曲がりが変わるので、それを意識しながら流れに対する竿の角度を変えて感度を確認。やはり九頭竜で感じたインプレが変わることはなく、何らかの改善策を講じなければなりません。しかしこの「プロト1」のバランスは悪くないので、全面改良するには惜しい。

他の人のインプレは感度はまずまずとのことですが、自分が使うのが前提なので音の違いにはこだわりたいところ。そこで先径1.3㍉の穂先を1.5㍉にし、クロスカーボンで1㍍の補強が入った元竿の仕様を見直すよう提言します。翌週は改良パーツは間に合いませんでしたが、庄川と神通川でテストを続けて私なりに結論を出しました。

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やはり穂先と元竿の改良が必要なので、取り急ぎ同じ長さの1.5㍉の穂先を調達。この仕様で九頭竜川、庄川、神通川でテストを行いました。最終的な強度テスト(=竿を折る)で穂先が折れましたが、その結果を受けて穂先の改良、そして感度を考慮した元竿の改良を依頼しました。

そして私の北陸最終釣行となるシルバーウイーク(前半3連休)に間に合うように、「プロト2」が完成。九頭竜はこの週からサギリの杭打ちで水位が下がるので、庄川と神通川でテストすることに。ちょうど木曜に道楽Yさんが庄川「大鮎の瀬」で「龍星☆竿」を折っているので、初日は同じ場所でテストを敢行します。

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プロト2の自重は尻栓込みで実測244㌘。「プロト1」が実測252㌘なので8㌘軽くなっています。この違いは元竿の補強巻きの見直しによるもので、「プロト2」の元竿が64㌘、「プロト1」の元竿が72㌘なので、ちょうど8㌘の違いで合致しています。

テストの滑り出しは順調で27㌢も抜けたので、「プロト1」の感覚で竿を絞って掛かり鮎の一と伸しを抑えると、元上のジョイント(凸側)上が折損。「プロト1」と仕様がまったく同じであれば、このレベルで折れる竿ではないはず。「プロト2」の作製を急いでもらったので、製造上の問題があったのかもしれません。

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しかし工業製品とはいえ製品によって多少のばらつきはあるので、強度についてはある程度のバッファーが必要です。折れた状況から補強が必要となれば、自重が重くなっても改良する必要があります。

午後からは「プロト1」の穂先と元竿を、「プロト2」のものに入れ替えてテストを続行。「プロト1」は感度の問題はありますが、強度テストは九頭竜川、神通川で行っているので安心感があります。そして一番の問題になっている感度ですが、元竿の仕様を見直すことである程度は改善されました。

台風16号の雨により北陸河川は10月を待たずに強制終了。狩野川では引き続き感度テストは可能ですが、この竿に一番重要な強度テストができません。感度にこだわって強度が落ちるのは本末転倒でしょう。したがって今回は感度については妥協して「プロト1改」の仕様をベースに、メーカー側で元上の補強の可否を判断して製品化することになります。

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皆様が一番気になるコスメについては、元竿はクリアー全塗装で元上より上はNP(ノンペイント)工法。デザインは龍切竿のオレンジ部分が、龍星☆竿のビクトリーブルーに。地味なデザインを要望する声が多いので、金や銀の塗装は使わない予定です。

自重は参考程度ではありますが、「プロト1改」は尻栓込みで244㌘なので、最終製品は元上の補強を加えても、260㌘程度で仕上がるのではと思います。この竿は持ち重りが少ないので、10㌘程度の差はほとんど感じないと思います。ご興味のある方はフナヤでプロトをご覧くださいませ!

以下は150㌘と200㌘を吊ったときの、「プロト1改」と「龍星☆竿」のベンディングカーブの比較です。パワー的にはほぼ同じですが、「プロト1改」の方が胴に入るのが早い調子となっています。これが感度にも影響しているものと思われます。

↓150㌘比較

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↓200㌘比較
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プロトテスト①
プロトテスト②
プロトテスト③
プロトテスト④


by scott1091 | 2016-09-22 12:03 | フナヤオリジナル | Comments(2)

フナヤオリジナル・Tシャツ

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「Fishing Shop フナヤ」の「創業80年と鮎フェア30周年」を記念して作られた「フナヤオリジナル・Tシャツ」の紹介です。2015年4月23日(木)~26日(日)に開催される「第30回鮎竿&あゆグッズフェア」で、FMシリーズを除く「フナヤオリジナル鮎竿」を購入されたお客様に、一着無料進呈されます。

またオリジナルグッズとして単独で販売もします。色は「ホワイト」、「レッド」、「ブラック」の3色で、サイズは「S」、「M」、「L」、「LL」、「3L」の5サイズ。価格は一律で2,000円+消費税=2,160円となります。色やサイズによっては生産量が少ないものもありますので、売り切れとなった場合はご容赦くださいませ。
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普通のTシャツよりサイズ区分が細かいので、サイズチャートを掲載します。いつも着ているTシャツと比べればサイズ選びの目安になると思いますが、多少の誤差はご容赦くださいませ。

Sサイズ
着丈 64cm
身幅 49.5cm
袖丈 19cm

Mサイズ
着丈 67cm 
身幅 52.5cm
袖丈 20cm

Lサイズ
着丈 70cm 
身幅 54.5cm
袖丈 21cm

LLサイズ
着丈 72cm 
身幅 57.5cm
袖丈 22cm

3Lサイズ
着丈 76cm 
身幅 61.5cm
袖丈 24cm

素材はポリエステル100%のダブルフェイス生地。内側がメッシュで通気性に優れ、外側はフラットで速乾性に優れており、夏も快適に過ごせる逸品です。ご興味のある方は、ぜひ「第30回鮎竿&あゆグッズフェア」に足をお運びくださいませ!4月25日(土)~26日(日)にはお馴染みの高橋祐次氏、小澤剛氏、そして今回は北村憲一氏も来店される予定です。
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by scott1091 | 2015-04-23 21:39 | フナヤオリジナル | Comments(0)

2015年の新製品、「龍切竿90急瀬LS」と「SR龍 急瀬77」

フナヤオリジナルの2015年新製品は3モデルで、ここで紹介するのはその内2本になります。正式名称は「龍切竿 90急瀬 Light Special」と「Short Range龍 急瀬77」。色々なご希望が多く毎回デザインには苦慮しますが、最終製品が仕上がってきましたので写真をアップします。

「龍切竿」は従来の龍シリーズと同じく1~7番はNPブランク(*1)を採用し、元竿は全クリアー塗装。「SR龍」は1~3番はNPフラッシュブランク(*2)を採用し、4番~元竿は全クリアー塗装となっています。
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↑龍切竿
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↑SR龍

(*1)
NPブランク: 無塗装、無研磨のブランク。成型時のダブルテーピングによりテープ段差を軽減し、艶消し仕上げ

(*2)
NPフラッシュブランク:無塗装、無研磨のブランクをエポキシでカバー。極小幅のピッチテーピングでテープ段差を軽減し、艶有り仕上げ

上栓を外した状態で自重は「龍切竿」が232㌘、「SR龍」が208㌘となっています。いつものことですが、家庭用のデジタル秤の計測なので1~2㌘程度の誤差はご了承くださいませ。また製品による差が出やすいのは元竿のクリアー塗装によるものなので、このレベルで持ち重りの違いを感じることはありません。
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デザインは好みがありますが、「龍切竿」は無難で飽きのこない仕上がりだと思います。「SR龍」については意見が分かれそうですが、1~3番のデザインを変えることで、距離感や竿の曲がり具合を認識しやすく、ブランクの仕上げも違うので機能優先のデザインとなっています。

風が強い日はもとより、短い竿を持つようになるとなかなか9㍍の竿に手が伸びなくなります。川幅が狭いフィールドはもちろんですが、広くても立ち込める流れであれば、引き釣りの場合は竿操作の精度が間違いなく上がります。そんなフィールドをホームにしている人や、風が強い日でも同じ感覚で引きたいという人には、「SR龍」は心強い1本になります。

それぞれの竿についてのインプレはすでに書いておりますので、そちらも合わせてご参照頂ければと思います。

「龍切竿 90急瀬 Light Special」

「Short Range龍 急瀬77」


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↑龍切竿

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↑SR龍

by scott1091 | 2015-04-07 21:08 | フナヤオリジナル | Comments(2)

「Short Range龍 急瀬77」

「何故、7.7㍍なのでしょうか」?
この竿について一番多い質問です!

8.0㍍を作ろうとして、一番7.7㍍が調子が良かったという答えを期待する人が多かったですが、私の答えは「フナヤさんが天邪鬼だからでしょう」というもの。9.0㍍クラスになると結果として長くなったり短くなったりすることはありますが、この全長で30㌢を調整しきれないということはありません。もちろん8.0㍍と差別化したいという狙いもあると思います。
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↑錘は100㌘。マーキングが見えにくいですが下が「プロト2」

すでに狩野川支流でのテストの様子はアップしておりますので、「プロト1」と「プロト2」を比較したベンディングカーブを掲載します。最終製品は1~3番にマーキングがある「プロト2」が採用されます。錘100㌘では「プロト2」の方が穂先が下ですが、錘150㌘になると「プロト2」の方が穂先が上にきています。 
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↑錘は150㌘。マーキングが見えにくいですが100㌘とは逆に上が「プロト2」

これは3番の強さによる違いで、オトリを引いている感じは「プロト2」の方がソフトに感じるものの、鮎が掛かると「プロト1」よりもパワフルということを意味しております。7.7㍍くらい短い竿になると、早瀬くらいの調子では引いたときに竿が振れてオトリが落ち着きません。したがって短竿は急瀬に近い調子になりますが、釣っている感覚は早瀬のようでありたいもの。

これを具現化したのが「プロト2」となります。この長さになると自重や持ち重りはほとんど考える必要がないので、カーボン弾性を下げて肉厚にすることができます。この効用によりトルクがあり、粘りのある竿に仕上がります。粘りのある竿とは、言い換えれば無理の効く竿。
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↑「プロト1」と↓「プロト2」
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足元の岩盤に潜む大鮎や、下がれない渓流相の段々瀬などで踏ん張れる竿。また風の強い日は8.5㍍と比較しても格段に空気抵抗がありませんので、繊細なオトリ管理が必要な瀬釣りも可能です。もちろん川幅のある場所では本当に短いと感じますが、これは一長一短なので仕方ありません。

特別な地元河川や扱いが楽な短竿をお探しの方は、完成プロトをご確認くださいませ。また川幅が大きくても立ち込める川相。そんな川で瀬釣りをするのであれば、風の強い日は重宝すると思います。

実釣記録 狩野川支流

by scott1091 | 2014-10-01 22:35 | フナヤオリジナル | Comments(0)

「龍切竿90 急瀬Light Special」

今年テストしていたプロトです。

位置づけは「急龍竿Ⅱ 急瀬Special」の後継モデルになります。「急龍竿Ⅱ」は強度的に丈夫で粘りのある竿でしたが、素材の違いで張りや硬度は「征龍竿Ⅱ」の方が上回っている感じだったので、それも合わせて調整しました。狙うところは、「龍星☆竿Ⅱ90 急瀬High Power」より「征龍竿Ⅱ90 早瀬High Power」に近い「急瀬Light Special」。

ところで私は竿作りに関与しているのでモデル名がすんなり出てきますが、これを読んでもチンプンカンプンという人が多いのではないでしょうか?私は竿作りだけでモデル名には関与していませんが、「龍シリーズ」もそろそろ整理した方がよいのではないかと思う今日この頃。私も正式なモデル名を表記するのが大変になってきました!emoticon-0141-whew.gif
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↑同じスペックのプロトですが自重に1㌘弱の違いがあります

さて今回の竿は「龍切竿(りゅうせつかん)」といかにも強そうなモデル名ですが、「早瀬」に近い「急瀬」なのでそのような竿ではありません。今までの「龍シリーズ」より胴に入るのを早くして、どちらかというと掛かり鮎をいなして獲るタイプなので事前に捕捉しておきます。

ではどのような竿なのか理解してもらうため、ベンディングカーブの比較を見てみましょう。まずは「征龍竿Ⅱ」との比較で、吊っている錘は100㌘と150㌘。自重的にはほとんど変わりませんが、硬度はプロトの方が上回っています。これは素材の違いもありますが、テーパーデザインによるところが大きいです。
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「征龍竿Ⅱ」との比較。上が100㌘で下が150㌘

続けて「龍星☆竿Ⅱ」との比較写真ですが、吊っている錘は同じ100㌘と150㌘。これを見て頂ければわかるとおり、硬度は「征龍竿Ⅱ」に近い感じに仕上がっています。私がテストする段階で、ここまでしっかり硬度調整がなされていた竿は初めての経験。素材が違うと感じる硬度やトルク感も違うので難しいのですが、「龍シリーズ」がほぼ同じレベルの素材になったということもあるのでしょう。
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「龍星☆竿Ⅱ」との比較。上が100㌘で下が150㌘

ここで説明する必要もなく、今まで私が開発に携わってきた「龍シリーズ」は感度最優先。カリカリ感が強く釣っているときも気が抜けない(心休まらない)というのが友人達の評価です。音を弾くために2~3番にも張りを持たせながら先調子感を出しているため、それ以上に強い胴に曲がりが入るのが遅くなります。

そのため竿を曲げるのに慣れていない人は、対応が遅れてそのまま伸されるというケースが見られます。これは「超硬」ではより顕著になり、九頭竜と言えども「Super LightⅢ 超硬90」や「龍芯竿Ⅱ90 超硬EX」を胴までしっかり曲げている人は少ないです。

先調子の竿は伸されやすいというのが一般論ですが、同じ硬さの胴なら曲がる1~3番の方が胴を曲げやすいもの。これは綱引きでいきなり引かれると腰砕けになりますが、徐々に引かれると腰を入れて耐えられる原理と同じです。その意味で世間一般で言われる先調子より、「龍シリーズ」はさらに伸されやすい竿とも言えます。
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誰でも曲げやすい竿にするにはヘラ竿のような胴調子にすればよいわけですが、友釣りはヘラのように浮きで当たりをとるわけではありません。確かに昔はミャク釣りのように目印で当たりを取っていた人が多かったと思いますが、今はほとんどの人が釣っている場所やオバセの目安にしているくらいでしょう。

今年は釣りを見たいという申し出があり、狩野川で2回、九頭竜で2回、庄川で1回ご一緒する機会がありました。すぐ後ろで見ている友人は目印を追っているわけですが、私がいかに目印ではなく竿で当たりを取っているかを実感しました。emoticon-0125-mmm.gif

もちろん引き釣りであることも大きいですが、友人が目印を見て掛かったと口にするのは、私が竿で感じるよりもかなり遅れます。そして私が竿で当たりを感じた後、目印をあまり目で追っていないことにも気がついたしだいです。
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オトリ鮎の動きは目印で見るより、竿で感じる情報の方がはるかに速いし多い。これを前提に感度優先の竿を作ってきたわけですが、毎度の喩で恐縮ですが「龍シリーズ」はF1マシーンみたいなものなので、誰もが性能を引き出せるというものではありません。対応が遅れても伸されない。ある程度の経験があればポテンシャルを引き出せる。そしてポテンシャルは限りなく高く。

これらを集約すると、車であればF1マシーンではなくシフトチェンジのいらないスーパーカー。竿であれば感度を求めつつ、先調子でありながら胴に入るのを少し早く。そして持ち重りせず細身軽量といった感じになるのでしょう。こんな条件の竿を開発するにあたって、一番難しいのは感度をどこで妥協するかです。emoticon-0133-wait.gif
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感度優先で2~3番に張りを持たせ過ぎると、今までの「龍シリーズ」と変わらなくなる。かといって2~3番に張りを持たせて胴を柔らかくすると、弾いた音が失速し、胴ブレする調子になって高性能とは言えない代物になってしまいます。どこまで2~3番を柔らかくするか?そしてどこまで胴に張りを持たせるか?これのせめぎ合い。

この竿のテストは神通川、相模川、狩野川、庄川で行いました。ほぼ完成した時点で、ご一緒できる友人にも使ってもらいましたが評価は良好です。今までの「龍シリーズ」と違って高い音の伝達が弱いですが、水中糸の水切音をあまり拾わないので、逆に釣りに集中できるという意見もありました。
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このブログでお馴染みの鮎道楽さんの評価は、これくらいの方が一日通して使えば「龍星☆竿Ⅱ」より釣果が伸びるだろうとのこと。竿の感じは「龍切竿」というより、「Lady Gaga」ならぬ「Lady Dragon」という表現がしっくりとのコメントでした。写真を見ると胴はほとんど曲がっていませんが、釣っている本人はかなり胴に入っているように感じますし、手首への負担も「龍シリーズ」より少ないです。

神通川や相模川のような大きな川では、最初に使ったときはパワー不足を感じるかもしれません。しかしそこから、もう一段シフトチェンジするのが「Lady Dragon」。今回の竿は今までの「龍シリーズ」とは少し味付けが違いますので、ご興味のある人は完成プロトをご確認くださいませ!emoticon-0100-smile.gif
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釣り場でお会いして意見や感想をくださった皆様、本当にありがとうございました。皆様の意見は概ね反映できたと思いますので、この場でご報告させて頂きます。emoticon-0139-bow.gif

残るは皆様が一番気になる竿のデザイン。こちらはモデル名と同じように私の領分ではありませんが、寄せられた意見はお伝えしておりますので楽しみにお待ちくださいませ。後はフナヤさんに、そそられるビジュアルとプライスを期待しましょう!emoticon-0105-wink.gif

実釣記録① 神通川
実釣記録② 狩野川
実釣記録③ 相模川
実釣記録④ 神通川、庄川

鮎道楽さんインプレ(2014年9月14日 ライトSPなドラゴンとは?)

by scott1091 | 2014-09-30 20:54 | フナヤオリジナル | Comments(6)

「翔龍竿 MH90HP」のお披露目です!

企画構想に二年、開発に丸々1シーズンを費やしたフナヤオリジナルの「硬中硬」。ついに「翔龍竿 MH90HP」が完成しました。無塗装のプロトと実際の製品では、自重はもとより調子も多少異なってしまうもの。しかし今回の「翔龍竿」は、まったく違いを感じないレベルに仕上がっています。

箱に表記されている自重は210㌘となっていますが、私の手元にある竿は尻栓込みで203㌘。実際の製品を確認するまで発言を控えておりましたが、各メーカーの200㌘前後の新製品と比べたら、調子、パワー、竿の張りいずれも群を抜いていると思います。ちょっと手前味噌ではありますけど…。emoticon-0111-blush.gif

紆余曲折のあったデザインについては、「ゴールド」と「クロームシルバー」の2本線に落ち着きました。(←当初のデザインは「ワインレッド」2本線。私の希望は「クロームシルバー」2本線。)

玉口下の「RISING DORAGON」の文字入れは希望が叶い、字体とフォント使いはイメージ通り。「翔龍竿 MH90HP」の字体とフォント使い、そしてこれを挟む「ゴールド」と「クロームシルバー」のライン幅については私のイメージと異なりますが、何となーく「孫悟空」ぽくって可愛いかもぉ~。emoticon-0100-smile.gif

フナヤの「鮎竿&あゆグッズフェア」は、5月11日(金)~13日(日)の三日間。各メーカーの新商品も展示されるので、ぜひ「翔龍竿」と振り比べて頂きたいと思います。いつも書いているとおり鮎竿は好みがありますが、「MEDIUM HARD HIGH POWER」の「HIGH POWER」が伊達ではないことが実感できること請け合いです。

個人的にこだわった「1.4㍉チューブラー穂先」も、標準穂先「1.6㍉」と併せてご活用くださいませ!
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by scott1091 | 2012-05-04 23:48 | フナヤオリジナル | Comments(7)

「α90」が完成し、「翔龍竿MH90 HP」となりました!

正式な名称は「翔龍竿Medium Hard 90 High Power」。

翔(しょう)は「最終プロト」の最初のテスト河川、「庄川(しょうがわ)」の庄(しょう)に掛けているのは、すでにご存知の方も多いと思います。

「翔龍竿MH90 HP」の開発過程については、すでに二つの記事を「フナヤオリジナル」のカテゴリーに書いているので、これらと合わせてご覧頂ければ幸甚です。では本題に入りましょう。

コードネーム「α90」の開発コンセプトは、先調子で200㌘前後の「硬中硬 HIGH POWER」を作るというもの。このためまずはフナヤオリジナルの製造元であるサンテック社の、このクラスに近いモデルを実際に使ってみることから開発がスタートしました。
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具体的に試釣した竿は、「GENKI SPECIAL ZPRO LIGHT」、「GENKI SPECIAL POWER」、「GMR幻輝Special NP1 90R」、「GENKI SPECIAL TB1」の計4本。いずれもコンセプト通りに作られているという印象で、「α90」が目指すべき姿や、200㌘前後の竿に期待できるパワーを実感することができました。快く竿を貸し出してくれたサンテックさんに、まずは御礼申し上げます。

この試釣で明確になったことは、今までのような先調子では理想とする竿を作るのは難しいということ。フナヤオリジナルのコンセプトは「主導権が取れる先調子」なので、これは矛盾すると思われる方も多いと思います。しかし私は当初から、鮎竿は柔らかくなるほど胴調子に近づくと考えていたので、この試釣で漠然としたものがはっきりした感じです。

すなわち元竿を細くすれば、それに見合うだけ穂先も細くしないと先調子にはならない。これは渓流竿をイメージして頂ければ、すぐにわかると思います。しかし鮎竿はオトリの操作が必要となるため、渓流竿のようなテーパーにはできません。この妥協点を探るのが、「α90」で一番難しい問題でした。
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↑サンテック社から直送されたプロト&パーツ類の外箱。これだけでもかなりの送料になります

「プロト1」は、その点で非常によくできた竿でした。自重にこだわらなければ、これでも十分という感じですが、やはり目指すは200㌘前後。もう少し軽量化するため、元竿の径をワンランク細くして再設計をお願いします。これで上がってきたのが、「プロト2W」と「プロト2T」の2本。この2本は1~3番と元竿は共通ですが、4~7番は素材構成とシートの組み合わせが異なります。

前項に掲載した錘負荷によるベンディングカーブは、この2本はほとんど変わりませんが、実際に釣りをしてみるとまったく違いました。軽い方の「プロト2W」は捩れ負荷に弱く、同じ曲がり具合でもスカスカ感が強くて、オトリを上手くコントロールできません。これで「プロト2W」は早々に没としました。

もう1本の「プロト2T」も1~3番が共通のため、フラフラ感があって4番以降の力強さがオトリ操作などの低負荷ではまったく感じられません。そこで折ってしまった「プロト1」の1~3番を移植して、「プロト2T改」にするとかなり改善しました。しかしその反面、今度は4番以降がパワー不足で、竿全体がぶれてダヨンダヨン感がでます。emoticon-0107-sweating.gif
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この「プロト2W」、「プロト2T」いずれも狙い通り「先調子感」が出ていますが、この1~3番の弱さでは、オトリの操作性に問題があるため、補強を考えなければなりません。ここですでにお気づきのとおり、1~3番を補強すれば当然ながら「プロト2」よりも胴調子になるわけです。

そこで4~8番の補強を考えたのですが、すでにこれ以上の高弾性化はできない状況です。そしてテーパーを見直すとなれば、限りなく「征龍竿EXPERT MODEL」に近づくというのが設計サイドの見解。残された道は「節の長さ」の見直しで、再び全面改良を行います。

これで仕上がってきたのが「プロト3」。神通川のトロ瀬とはいえ、121尾釣った竿です。この竿では、先径1.4㍉と1.5㍉の穂先をテストしました。トロ瀬ではストレスなく使えるレベルに仕上がっており、振り調子を見た友人達の印象も良好でした。しかし私は気になっていることがあったので、結論は狩野川のテストまで保留します。
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↑プロトから予想される製品自重は、210~215㌘程度か?

その保留した理由は、私が一番こだわる感度の問題。同じ素材であれば、柔らかい竿の方が感度がファジーになるのは致し方ないこと。これは以前にも説明したとおり、「硬中硬」と「早瀬」に100㌘の錘をぶら下げて、その錘を吊っているラインを軽く弾く感じをイメージして頂ければ理解できると思います。もっとわかりやすく書けば、「PTソリッド」のソリッド部分が曲がり過ぎると、感度を失うのと同じ現象です。

しかし勘違いしてはいけないのは、100㌘の錘が大きいのか小さいのかということです。すなわち竿を曲げる負荷の大きさで、音の伝達が変わるのが竿の難しいところ。竿が曲がった状態と、まったく曲がっていない状態では、竿の感度、すなわち音の伝達に違いがあるのです。

これを「硬中硬」として、どこまで許容すればよいのか?emoticon-0133-wait.gif
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↑錘負荷100㌘。上が「征龍竿」で、下が「翔龍竿プロト4」

これが「プロト3」で一番悩んだポイントでした。わかりやすい例を挙げれば、「プロト3」は鮎が掛かると1~3番の曲がりが緩衝となり、目を瞑ってやりとりすると、ハリがどこに掛かっているのかわかりずらい。「硬中硬」が「早瀬」や「急瀬」とは違うのは十分理解しているし、シーズン初期の鮎であればここまで曲がらないのは確か。これがまさに、ジレンマに陥った理由です。

しかしそれがわかっていても、感度だけはこだわりたい。いくら竿が柔らかくても、掛かり鮎の動きを手に強く感じていたいし、それがシビアなオトリ操作にもつながる。店頭での「プロト3」の評判は上々なので、「プロト4」にトライするかの判断はフナヤさんに預けます。このときの私の提案は、「プロト3」をより先短設計にするというもので、1~4番の「節の長さ」の見直しでした。

これを受けた設計サイドからの返答は、「節の長さ」だけでなく、短くした1番に見合う2~4番の補強が必要というもの。しかもそれを実現するためのシートの組み合わせは、製品化した竿がないのでやってみないとわからないと・・・。これはすなわち、破損リスク高まる可能性があるということ。私では決断できない領域なので、無難な方法を進言します。
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↑同じく錘負荷100㌘。角度を変えるとこれぐらい曲がりが違うように感じます

これを受けて従来どおりのシートの組み合わせでいく予定でしたが、実際に上がってきた「プロト4」は、新たな組み合わせにトライしたもの。しかもこの方法は驚くほどの効力で、この時点でやっと納得できる「硬中硬 HIGH POWER」になりました。しかし破断強度の定量的な測定は工場サイドで行いますが、こうなると実釣でも強度面や耐久性も見極めなければなりません。

そこで選んだテスト河川が、北陸の銘川「庄川」。鮎のサイズ、テストで掛けられる数、ポイントのバリエーション、水量、いずれの条件もクリアーしているのが選んだ理由です。そして強度についてはこの二日間では折れなかったので、目下、狩野川でテストを続行中です。emoticon-0100-smile.gif

写真のベンディングカーブを見て頂ければわかるとおり、「征龍竿EM」より「胴調子」に仕上がっています。しかしこれが「硬中硬」レンジに見合った、フナヤオリジナル最良のベンディングカーブ。胴に入るまではしっかり先調子感がありますし、「硬中硬 HIGH POWER」となっている理由も、実感して頂けると思います。
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↑錘負荷150㌘。上が「征龍竿」で、下が「翔龍竿プロト4」

そして最後までこだわった穂先について。フナヤオリジナルはソリッド穂先のバリエーションが豊富ですが、今回は竿とのバランスを考えて、感度にこだわって1.4㍉と1.6㍉のチューブラー穂先を開発しました。価格設定の関係で標準穂先は1.6㍉1本となりますが、別売りでこの1.4㍉もラインアップされます。早期予約であれば両方の穂先が付属する特典があるので、利用されるのもよいかもしれません。

ご興味のある方は、店頭でご覧くださいませ!emoticon-0105-wink.gif
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↑同じく錘負荷150㌘。角度を変えるとこれぐらい曲がりが違うように感じます

実釣記録①プロト2
実釣記録②プロト3/神通川
実釣記録③プロト3
実釣記録④プロト4/庄川
実釣記録⑤プロト4
実釣記録⑥プロト4
実釣記録⑦オプション穂先1.4㍉チューブラー

by scott1091 | 2011-09-21 12:38 | フナヤオリジナル | Comments(0)

竿の開発について・・・

この週末は、台風12号の雨により釣りができませんでした。
そこで今回の話題は、竿の開発についてです。

以前にも少し触れましたが、釣具業界ではテスターという言葉がよく使われます。これはメーカーが開発している竿を実釣でテストして、開発コンセプトへの適合具合や調子の良し悪し、また改良点などをアドバイスする役割を担います。

大手メーカーではスタッフ層が厚いので、開発サイドである程度候補を絞り込んでからのテストとなるため、多くの場合は「この3本ならこれが一番良い」というような感じになります。

新しいコンセプトの竿やフラッグシップモデルのリニューアルでは、シーズンを通してテストが行われますが、それ以外の竿はテスターが一同に会する日に、お墨付きをもらうというのが現状だと思います。裏を返せば、開発スタッフがそれだけ充実していることと、廉価版の竿のテストに時間を費やすテスターはいないということでもあるのでしょう。

また多くのテスターは竿作りに精通しているわけではないので、指摘事項もかなり漠然としたものになります。具体的には「もう少し先にハリが欲しい」とか、「〇〇よりも感度が悪い」、「引いたときにオトリが付いてこない」、「鮎の抜けが悪い」等々。

これらの微妙な表現を的確に分析し、設計に反映するのが開発スタッフの腕の見せ所となります。テスターも重鎮クラスになると発言力も大きいので、思い通りの修正プロトが上がってこないと、「こんどの担当は勘が悪い」とか、「鮎が釣れない竿を作る」などと言われてしまうのですが、ここがまさにテスターと開発スタッフの「阿吽の呼吸」なのでしょう。

長年コンビを組んでいるケースが多いのはこのような理由からなのでしょうが、お互いの役割分担がはっきりしているので、テスターはプロト試作に掛かるコストなどは一切気にする必要がありません。自分が伝えたとおりの竿に仕上がってこなければ、それは開発スタッフの責任ですから、もう一度プロトを作り直してもらえばよいわけです。

他方、私の現状はどうでしょうか?

フナヤオリジナルの開発に、無償で協力しているのはこのブログを見ている方はすでにご存知だと思います。テスターの場合は、自分が担当した竿はメーカーから提供されるのが一般的ですが、私はこれについても固辞しております。

その理由はなぜか?

それは、自分の理想とする竿を追求することが目的だからです。
したがってそれの障害になる要素は、極力排除しておきたい。

すなわち私に竿1本分のコストが掛かれば、全面改良や修正プロトに踏み切る際の制約のバーが上がります。フナヤオリジナルはサンテックのOEMですから、大手メーカーが自前の工場でプロトを試作するよりも制約が多くなるわけです。

したがってフナヤさんは商売ですから、あまり無理なお願いはできません。コスト的に見合わなければ、これで完成という判断も尊重します。ここはしっかりと線引きしておかなければ、私の存在そのものが迷惑なものとなりかねません。

ただ、もう少し手を加えれば、この竿は確実に良くなる。そう確信でき改良すべき点がはっきりと指摘できるなら、プロト作成のコストを自分が負担してもトライしたいと私は考えています。もちろんフナヤさんが負担させるようなことは今のところありませんが、それに甘える気持ちもありません。

だからこそ、プロトを作り直すたびにヒシヒシと感じる重圧と、表現しようのない憂鬱。できるだけプロトの本数が少なくて済むよう、「節の長さ」や「テーパー」、「素材構成」にまで私は言及しているので責任は重いのです。

今までも、すんなり行く竿の方が少なかったのは事実。特に思い入れの深い「征龍竿」と「龍星☆竿」は、悩み抜いた末での決断でしたが、全面改良に踏み切ってよかったと心から思います。そしてその結果がともなっているからこそ、「α90」でもフナヤさんは信頼を寄せてくれているのでしょう。

「α90」は「プロト3」で全面改良。「プロト4」でやっと修正パーツのレベルまでこぎつけました。すでに「プロト3」の段階でも、〇〇のレベルではないとか、△△よりもはるかに良いという評価を頂いています。しかし私の目指しているレベルは、もう少し高い・・・。

私も、「プロト3」でも十分売れると思っています。そして最終段階のこだわりとも言える調整は、違いを感じないユーザーも少なくないと思います。しかし違いが判るユーザーも確実にいる。そしてそのユーザーは、「α90」にも同じレベルを期待しているはずです。

思い起こせば2008年の「征龍竿」開発のとき、TOMOさんが狙っているレベルは高過ぎて一般ユーザーには理解されないと・・・。そしてNP工法は半完成品に見えるので、クリアー全塗装でなければ売れない。こんな経緯から「征龍竿」は、2009年にクリアー全塗装で発売されました。

そして「征龍竿」は多くのユーザーからの要望により、2010年には私が当初目論んでいた「征龍竿EM」となり、他の竿も2011年にはNP工法が採用されました。

良いものを作れば、ブランドに関係なく評価してくれる人がいる。
それを信じて、「α90」の開発に邁進しております。

by scott1091 | 2011-09-04 22:23 | フナヤオリジナル | Comments(7)

「α90」の開発にあたって。「硬中硬」の位置づけは?

「フナヤオリジナル」の「硬中硬」クラスとして、「α90」を開発中であることは、このブログを読んでくれている人はご存知だと思います。この「α90」の開発を通して、ずっと考えていたのが「硬中硬」の位置づけです。

各メーカーでいえば、ダイワであれば「中硬硬」。シマノであれば「H2.5」、がまかつであれば「硬中硬~引抜早瀬」と表示されるクラスだと思うのですが、一昔前に比べると鮎竿は確実に硬くなってきています。そして「持ち重り」や「自重」がさほど変わらなければ、より硬い竿の方が応用が効く。

これはトーナメントロッドの主流が「Special T」や「H2.6」になっていることからもわかります。これらの竿はまさに「早瀬」クラスなので、時代は確実に「硬中硬」から「早瀬」に移りつつあるのだと思います。
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私が過去使った竿のなかで、もっとも柔らかい竿は「スペシャル競90-95 H2.25」と「銀影競技スペシャルF中硬9.5」の2本。いずれも「超高弾性カーボン」と「金属コーティング」の採用により、竿の張りそのものは「H2.5」や「中硬硬」と大差ないレベルに仕上がっていたこと。そしてやはり自重が魅力で購入しました。

しかし実際に使ってみると、やはり「H2.5」や「中硬硬」のようには繊細な釣りができない。柔らかい竿で、より細い糸を使うのが繊細な釣り。こう考えている人が多いと思います。しかし私が考える「繊細な釣り」とは、正確にオトリをコントロールし、狙うべきラインやピンスポットを緻密に攻めることだと思うのです。

この時代は、まだオバセによる泳がせが全盛の時代でしたが、私はすでにテンション系の釣りをしていたので、この2本の竿は非常に歯がゆかったです。高価な竿なのでかなり頑張って使いましたが、このシーズンは釣果激減でした。

こんな経緯もあって、それ以降は「H2.5」、「中硬硬」、「引抜早瀬」より柔らかいクラスには、いくら自重が魅力でも手を出しませんでした。しかし時代も変わり、「超高弾性カーボン」と「レジン低減技術」により、竿は飛躍的に軽くなりました。
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↑↓いずれも尻栓込みの自重
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人間の手は、しっかり握れば握るほど感度が落ちます。どんなに感度の良い竿でも、しっかり握ってしまえば、その竿のメリットを最大限利用することができません。したがって鮎竿が軽いことは、最大のアドバンテージであることは間違いありません。

しかし同時に、これ以上軽くなくてもよいという下限が存在します。それは自重を追求するあまり、風に弱かったり、繊細な操作性が犠牲になるからです。人それぞれ腕力や握力が異なりますが、これらの総合的な判断が、まさに今の「Special T」や「H2.6」への評価だと考えています。

このブログで以前書きましたが「Z90」には興味ありませんが、「Z-SVF」で作られるであろう「Special T」や「Special MT」には非常に興味があります。これは今のトーナメントロッドの主流が「早瀬」であるのに対し、近い将来「急瀬」に置き換わる可能性があるからです。ちょっと極端な書き方ではありますけど・・・。
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↑「プロト2T(改)」。2㌘重くなりました

先にも書きましたが、同じ持ち重り感と自重なら、硬い方が汎用性が高い。しかし全てのシチュエーションで扱いやすいかというと、これは明らかに否。この竿は硬すぎるという感想を聞くことが多いので、これを例にもう少し掘り下げてみましょう。

まず鮎竿における操作を大別すると、以下の三つだと思います。

①オバセを含むオトリ操作
②掛かり鮎を抜く操作
③風に抗するための操作


では竿が硬いと、三つの操作にどのように影響するでしょうか?

<①への影響>
メリット :(A)操作精度が高い
     :(B)オトリを入れる場所を選ばない 
デメリット:(C)ラインを張ったときのオトリへのインパクトが大きい

<②への影響>
メリット :(D)場所を選ばず抜ける
デメリット:(E)ビリや掛かりどころが悪いとバレ率が高くなる
     :(F)油断すると伸されやすい
     :(G)魚が小さいと釣趣に欠ける

<③への影響>
メリット :(H)竿の吹かれが少ないので操作精度がよい
デメリット:(I)裏返しでラインが張ったときのオトリへのインパクトが大きい

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↑大して曲がっていないように見えますが、6番の曲がりを見ればご想像頂けると思います

こんな感じではないでしょうか?そして硬すぎるという指摘は、(C)、(E)、(F)が一番影響しているように感じます。釣り人の技量も重要な要素ですが、やはり竿が硬くなるほど操作がタイトになるのは間違いありません。車のハンドルに遊びがあった方が運転が楽であるというのとまったく同じです。

そして「F1ドライバー」であっても、公道を走るときはハンドルに遊びがあった方が、同乗者と話もできるだろうし、運転も楽なはずです。ようはどこで妥協するかで、それを決める要素は技量、体力、スタイル、そしてシチュエーションだと思います。

竿には多少のファジー感があった方がよい。これが硬すぎるという評価の裏返しではないかと思うのですがいかがでしょう?ここでは本来もっとも影響する、持ち重り感や自重の条件は排除して考えております。実際は硬い竿は重たいというのが、竿の選択に大きく影響しているのは間違いありません。

このファジー感は、硬い竿でも穂先を替えることでかなり解決されてしまうのですが、ここでは割愛させて頂きます。
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↑「征龍竿EM」と「プロト1」の比較。錘は100㌘
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↑「征龍竿EM」と「プロト1」の比較。錘は150㌘

さてこの週末のテストで、弟子アナキンとの会話を一つ。


<アナキン>
「マスター、今日の竿操作はキレがありませんね!」
「いつもとイメージが違いますが、その竿ダメなんじゃありませんか?」

<マスター>
「ばか者。操作が大きくなるのは『征龍竿EM』より柔らかいからだ!」
「同じように誘うと、竿の操作幅が大きくなるのは当たり前だろ。」

<アナキン>
「ちょっと持っていいですか?」

<マスター>
「細いから握り潰すなよ!」

<アナキン>
「わぁ~、あらためて『Special T』が良い竿だと実感しました!」

<マスター>
「ばか者。そう感じるのがまさに『硬中硬』と『早瀬』の違いだ!」
「今日は、予備竿を持ってきた?」

<アナキン>
「はい。ちょっと前のリミプロを持ってきました!」

<マスター>
「すぐに持ってきなさい!」

しばし後・・・

<アナキン>
「はい、これです。」

<マスター>
「お前にしては綺麗に使ってるな!」
「何といっても、固着した『競』を石で直接叩く豪傑だからなぁ…。」
「ほれ、振ってみなさい!」

<アナキン>
「こ、これは~。」
「マスター、この竿ではもはや戦えません。」

<マスター>
「何度も言うが、これが『硬中硬』と『早瀬』の違いなのだ。」
「竿は好みだから、お前の好みが『早瀬』だったに過ぎぬ。」

<アナキン>
「マスターもですよね!」

<マスター>
「だまらっしゃい…。」



以上です。ちょっと長くなりましたが、やはり「硬中硬」であっても1~3番の張り。そしてその張りを支えても、ブレがでない4~8B番は譲れないというのが結論です。
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↑「プロト2T」と「プロト2W」の比較。錘は100㌘。わずかに下がっているのが「W」
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↑「プロト2T」と「プロト2W」の比較。錘は150㌘。わずかに下がっているのが「W」

その点で、残念ながら「プロト2W」は感度以前に没です。200㌘を切る自重、そして同じクラスの竿としては魅力的ではありますが、残念ながら精度の高いテンション系の釣りはできません。

次に「プロト2T」ですが、これも1~3番がふらふら(ヒワヒワ)してストレスが大きい。先日折ってしまった「プロト1」の方が良かったので、1~3番を交換するとかなり改善しました。しかし1~3番が強化されたことから、胴にフラつき感が出ています。これがまさにアナキンが指摘した事項です。

「硬中硬」ということで、「征龍竿EM」と明らかな自重差を意識してきましたが、今回の「プロト2」でその点は諦めざるをえない感じです。私の「征龍竿EM」は実測で228㌘。それに対して「プロト2T(改)」は無塗装にもかかわらず213㌘です。

しかし10㌘違えば、竿のパワーは雲泥の差です。「プロト2T」はカーボンを肉厚に巻いて粘りを重視したことにより、自重が嵩んでいると思われますが、ここからは設計者の力を借りるしかありません。自重低減を狙って、私の提言で元竿を細くしたのも良くなかったのでしょう。emoticon-0139-bow.gif
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↑「プロト2T(改)」と「プロト2W」の比較。錘は100㌘。穂先が上にあるのが「2T(改)」
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↑「プロト2T(改)」と「プロト2W」の比較。錘は150㌘。穂先が上にあるのが「2T(改)」

今回のテストでは、「プロト2T」では23㌢のオトリで23㌢は抜けませんでした。「プロト2T(改)」は1~3番が強化されたことにより曲がりが胴に入るので、このクラスでも何とか抜けました。しかし「征龍竿EM」に比べるとオトリを入れるのに怯みがありますし、瀬の段落ちを押さえられないケースも多くあります。

「硬中硬」で、そんな場所釣らねーだろーというご指摘を受けそうですが、狩野川のように変化の多い川はこのような場所が点在しておりますし、竿抜けであることが多いもの。「早瀬」のようにはいかなくても、やはり「硬中硬」は一般河川ではオールマイティであるべきと考えます。

今のプロトでは「硬中硬POWER」は謳えません。
しかしあまり突き詰めると、「征龍竿EM」になってしまいます。
「α90」の開発は、難航しそうです。

「プロト2T」の改良パーツで進めるか、切り長さも含めて早い段階で全面改良に踏み切るか…。フナヤさんとサンテックさんの判断を待ちたいと思います。
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by scott1091 | 2011-07-20 07:59 | フナヤオリジナル | Comments(0)

「双龍竿85/75 急瀬Long Change」が完成!

昨年開発した「双龍竿」。
まだ完成品を紹介していなかったので掲載します。
開発の意図や特徴は、前項をご参照くださいませ!
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↑元竿と元上はクリアー塗装が施され、それより上はNP工法を採用。ズーム部分の加工にも手が掛かるのに、この価格でNP工法採用はかなり画期的です

今年は酒匂川をホームグランドにしている方は、狩川、早川、千歳川などで竿を出す機会も多いと思います。このような川では、とても重宝する長さと調子に仕上がっています。

私は狩野川の上流や支流、伊豆の小河川で使うことを想定しておりますが、竿が折れそうなくらい風が強い日は、迷わずこの竿を選びます。自重はありますが、竿が50㌢短いだけで操作が凄く楽になりますから。

機会があれば、肉厚から生まれる潜在的なパワーをお試しくださいませ!
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↑玉口は「龍芯竿」と同じヘリコン塗装。見る角度によって赤茶にも緑にも見えて、高級感があります
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↑自重は尻栓込みで256㌘。7.5㍍で使ったとき元竿がガタつかないよう、尻栓が工夫されています

by scott1091 | 2011-07-16 17:50 | フナヤオリジナル | Comments(0)