四本錨の作り方!

フライフィッシングをしている人は当然「バイス」を使って巻いていると思いましたが、意外に手巻きだったり、「オーナー」や「α-BIG」の鈎巻き器を使っている人も多いようです。また釣り場で錨の形がすぐに崩れてしまうとか、がまかつのナノコーティングのハリがすっぽ抜けてしまうなどの質問が多いので、私がいつも巻いている方法を紹介しましょう。

使う道具やスレッド(糸)は全てフライを巻くときのもので、鮎用品はハリとハリスのみ。錨を使うようになってからずっとこの方法で巻いていますが、錨が崩れてハリを戻すことはありますが、ハリがすっぽ抜けてしまうようなトラブルはありません。使っているスレッドがアロンと馴染みが良いのと、錨の中心にもスレッドが巻かれているのがポイントだと思います。

この方法では3本錨のハリスをセンターから出すのは難しいですが、私の経験ではそれによって釣果が変わることはありません。錨の形が崩れた状態で釣りをしていたり、すっぽ抜けのトラブルの方が遥かに釣果に影響しますので、ハリスの位置はあまり神経質になる必要はないと思います。

では具体的な方法を写真を入れて説明します。

まず1本をバイスに固定します。このハリにもう1本のハリとハリスを固定します。このときにハリスは、2本のハリ軸の手前に乗っているようにします。この状態はまさに蝶バリ。スレッドを巻き返して固定するので、ノット(結び)は必要ありません。
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軸の1/3くらい巻いたら、スレッドの端をカット。次の2本のハリを蝶バリのように持ち、バイスに固定されている蝶バリに重ねます。この2本のハリを固定するため、スレッドを重ねるように巻き上げてから後方へ戻して行きます。4本のハリがしっかり固定されたら、蝶バリ状態から開いて4本錨に整形します。
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この状態でスレッドを後端まで巻き上げます。このときにスレッドがハリ先に当たると切れるので、針先を避けるように巻くのがコツ。一見難しそうですが、慣れれば問題なくできるようになります。ここからしっかりテンションを掛けながら前方へスレッドを巻き戻して軸の先端まで巻きます。
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最後はウィップ・フィニッシュするだけの幅を巻き戻してフィニッシュ。この方法ならどこにもノットができないので見た目もスマートです。後はスレッドにアロンを吸わせて終了。よく年数が経過するとアロンが劣化するので、使うときにアロンを付けるという話を聞きますが、スレッドが緩むのでお勧めできません。この方法でアロンの劣化を顕著に感じたことはないので捕捉しておきます。
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私は遠征以外は釣りに行く朝、不足しているハリを巻き足すことが多いです。4本錨を10~15本くらいであれば、妻が朝食とおにぎりを作っている間に片付けられますものね!
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by scott1091 | 2014-12-23 17:20 | Technique | Comments(2)

続・ヤエン考/小バリの勧め!

シーズン終了に当たり「ヤエン考」の続編をまとめました。いつも書いているとおり、私はヤエンについてはまだまだ素人。またホームグラウンドは「ヤエン先進地」ではないので、名人と呼ばれるような方はおりません。そのため「それは違うだろ~」というご意見もあると思いますが、発展途上の考え方としてご笑覧頂ければ幸甚です。026.gif

さて「跳ね上げ式」あっての小バリということは何回か書いておりますが、それが何ゆえなのかを整理したいと思います。前回の「ヤエン考」に写真掲載されているヤエンはいずれもハリが大きいです。これは市販品を参考にしたということもありますが、ハリが大きいほどアオリに接触させるのに有利だと考えたからです。松葉を付けたのも同じ発想でした。

もちろんヤエンの前脚を短くすれば小バリでも問題はありませんが、ヤエンの先がアジやアオリの腕で止まってしまっては意味がありません。ヤエンはアジを抱いているアオリの下にハリを滑り込ませなければなりません。そのためには前脚の高さがある程度必要になります。

アオリのサイズがいつも同じ。アジの抱き方やラインの角度・テンションも同じとなればタイトな設計も可能ですが、これらの条件はいつも異なるのである程度余裕を持たせなければなりません。この余裕を確実に埋めるのが「跳ね上げ式」であるわけですが、最初はなくても高い確率で掛かるヤエンを目指しました。039.gif
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私はヤエンが胴体に突き刺さってもよいと考えているのはこれが起点です。そして以前にも書いたとおりテストを繰り返したのは「バランス」、そして「前脚の長さ」と「前脚/後脚の間隔と高さの差」です。当然ながら前上がりバランス、前脚/後脚の高さの差が大きい方がハリはアオリに接触しやすくなります。

しかしここで問題になるのがヤエンの滑走スピード。これは前述の条件と相反するので、私は滑走スピードを優先することにしました。その結果として「バランスはフラット」、水中抵抗を少なくするため「前脚はできるだけ短く」、横ブレを低減するため「前脚/後脚の間隔はある程度広く」、「前脚/後脚の高さの差はなるべく小さく」となります。このテストで最初に基準にしたのは、当時使っていたシマノの「A-RB ローラーヤエン」でした。

これをベースに「前脚の長さ」をテストするため、ハリの高さを調整できるよう「V字」構造を採用したのは前回書いたとおりです。このテストにより、ハリをMサイズまで落とすことができました。そして次のシーズンになると、シマノの「A-RB ローラーヤエン 跳ね上げ式」が発売されます。

私も最初はこの構造をコーピーしてみましたが、跳ね上げるのに思った以上に力が必要なのでヤエン到達と同時に跳ね上げるのは難しい。そこで現在は少し違う方法を採用しています。さてここからは「小バリの勧め」についてです。034.gif
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私が小バリの方が有利だと考える理由は他の記事で何回か書いているとおりですが、あらためて要約すると2点に絞られます。まず1点目は軸とハリ先の距離が小さいので、軸がたわむことなく刺さること。ハリが大きいと刺さるときに軸がたわみ、ハリの向きが不安定になることは容易に想像できると思います。アオリは魚の口ほど堅くはありませんが、ハリ立ちの角度が悪いと少なからず影響します。

これは皮の硬い盛期の鮎で細軸のハリがケラレたり、フライでショート・ストライクしたときの手元にガッツンやチョン掛けしてしまう現象と同じ。ハリが開いてしまうことにより身をひっかくような状態となり、ハリ先が貫通できなかったことに起因します。軸を1.0㍉以上にすればたわみは少なくなりますが、ダブルヤエンの場合は軽量化のために0.8~0.9㍉くらいを使うことになるので、安定して掛けるにはたわみは無視できません。

次に2点目は同じハリの角度であれば、小バリほどハリ先の間隔が狭くなるからです。大バリで小バリと同じようなハリ先間隔にしようとすると、ハリを4本や5本にしなければなりません。ハリが大きく、また本数が多くなるほど先が重たくなるので、跳ね上げるには大きな力が必要となるので得策ではありません。

私も当初はアジを離すくらい大きくアワセてフッキングしていました。これはこれでとても爽快なのですが、私にとってヤエンを失くしてしまう最大原因がこのアワセ。ウツボなどで傷んだ箇所からラインブレイクがしばしば起こります。手間を掛けて作ったヤエンと高価な「A-RB ローラー」を失くしたショックは尾を引きますよね~。007.gif
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そこで獲り込んだときにアジを離していないアオリを観察すると、たとえハリが刺さっていなくても軸に腕が密着しているか絡んでいることに気がつきました。この状態であればエギのカンナと同じで、小バリならアジを離せば確実にフッキングするはずです。

ハリ先の間隔が狭いとハリが複数刺さったり、刺さっていたハリが外れても他のハリがフッキングする確率が高くなります。私がアワセを入れなくなったのは、ハリが刺さっていなくてもアジを離したときに小バリであれば刺さると考えているからです。

現在はこの考えをもとに実釣を重ねていますが、確かにアワセなくてもバレないし、今シーズンはヤエンを1本も失くしませんでした。私はダブルヤエンですが、シングルヤエンでも小バリを推奨する人がおりますので、「跳ね上げ式」であれば小バリの方が有利であるという結論になりそうです。

皆様も「跳ね上げ式」にこだわらず、ハリを一回り小さくしてみてはいかがでしょうか?自重を軽減できるので設計の自由度が広がりますし、経験的に本当に必要な要素が絞り込まれるはず。もちろん釣法やヤエンの違いで、試行錯誤の結果小バリはダメという結論もありだと思います。045.gif

Let's try & try again!
The answer is provided only by fishing.
by Aorist

by scott1091 | 2013-02-28 21:30 | Technique | Comments(4)

続・ヤエンに向いたロッドってどんなの?

キーワード検索で訪問される人が多いこのテーマ。2008年 2月 16日の記事なので、すでに内容が古くなっているのが現状です。そこで続編として現在使っている竿を紹介しましょう。前回の「ヤエンリール考」と同じように個人的なこだわりなので、それを前提にお読み頂ければと思います。

さて過去の記事にも書かれていますが、ヤエンを始めた頃は鮎竿のように感度を重視していました。しかし友釣りのように繊細な仕掛けではありませんし、伝わってくるのは尾を振る振動の違いだけなので音の違いを聞き分ける必要がありません。

これであれば、慣れてくれば大抵の竿で感じ取ることができます。では何を優先して選ぶかですが、1番目は穂先のしなやかさ、2番目が竿全体のしなやかさとパワーだと思います。この2番目の竿全体のしなやかさとパワーは相反する条件なので、どのように折り合いをつけるかがポイントでしょう。

カーボン弾性が高ければ、必然的に細くてスローテーパーの竿。カーボン弾性が低ければ肉厚になるのでハードテーパーになります。この2本の竿の明らかな違いは、自重(=操作性)と感度。いずれもカーボン弾性の高い竿に軍配が上がるので、この手の竿で繊細な穂先を備えている竿を選ぶことになります。
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アウトガイドの竿であれば、チヌ竿の1号クラスが選ばれるのはそんな理由からだと思います。シマノであれば「鱗海 ERANSA」や「鱗海SPECIAL RB」、ダイワであれば「銀狼王牙」や「銀狼エア/銀狼パワートルク」といったところでしょうか?

このようにアウトガイドであればこの2社以外にも選択肢がありますが、インナーガイドとなると選択肢が限られてきます。私がヤエンでインナーガイドを選ぶ理由は、夜間のトラブル軽減。そして節抜きして水洗いできるのも、干すスペースが限られている住宅環境では重要なポイントでしょう。

インナーガイドの竿は2社しか生産していませんが、いずれのメーカーも現在はあまり注力していません。その分モデルチェンジがないのでスペアーパーツの保管期間を考えるとありがたいのですが、モデルが極めて少ないのが現状です。

そんな中から現在愛用しているのが、ダイワの「メガドライ パワートルク競技」です。「パワートルク」ではなく「パワートルク競技」を選んだ理由は「穂先径」の違い。スタンダード・モデルは先内径が1.75㍉に対し、競技モデルは1.65㍉が採用されています。また長さが持ち重りの観点から53よりも短いのが魅力です。
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そこで最初は50シリーズを入手したのですが、「競技1.2‐50」はアジを投げるのにややパワー不足。「競技1.5‐50」は小型のアオリのときは、ややオーバーパワーで竿が撥ねる感じがあります。そこで最終的に行き着いたのが「競技1.2‐52」です。好みにもよりますがこの3機種をランク付けすると、「1.2‐52>1.2‐50>1.5‐50」という順番になります。

先径の細さをさらに求めると、すでにカタログ落ちしていますが先内径1.55㍉の「トーナメント マスタードライ競技50」と「競技52」があります。この竿も実際に試してみましたが、ここまで穂先が細いとライン抵抗でアジの飛距離が伸びませんし、ライン詰まりのトラブルが怖い。しかもかなり高額なので破損のときのパーツ代が恐ろしいです。008.gif

これらのロッドを釣具店で購入したらかなりの金額ですが、2010年くらいにオークションで出品が続いた時期がありました。私はこのときに新品を格安で入手。しかし最近は出物が少なくなり、中古品でも落札価格が高止まりしています。この記事でさらに相場が上がってしまったらご容赦くださいませ!
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2006年9月に発売されたモデルですが、この秋(2012年10月)にスタンダード・モデルがモデルチェンジされています。違いはブランクに「Xトルク」構造が採用されていることと、内面撥水加工が「ハイパードライ」よりも撥水性が高い「Zハイパードライ」に進化。「SVFカーボン」と「V‐ジョイント」は前モデルからの継続です。

目下のところ「競技モデル」はありませんが、近々モデルチェンジしてラインアップされるかもしれないので、その点は含み置きくださいませ!

ちなみにNew「メガドライ1.25-53」と「1.5-53」の商品説明には、「ヤエン釣法にも最適」と書かれているんですよ~。私が使い始めた頃はヤエンに「メガドライ」はないだろうと言われましたが、最近はホームグラウンドでも使っている人を見かけるようになりました。

しかし所属テスターは、「メガドライ」は反発が俊敏過ぎてヤエン釣法には不向きとしています。これはメーカーの商品説明と矛盾していますが、違う意見もあるということで補足しておきます。006.gif

by scott1091 | 2012-12-09 23:37 | Technique | Comments(2)

ヤエンリール考!

ヤエンシーズン開幕にあたり、今回は「ヤエンリール」についての考え方をまとめてみました。これはあくまで私の釣法を前提にしたものなので、異論・反論は当然あるでしょう。釣具に対する考え方は人それぞれなので、一つの意見としてご笑覧頂くださいませ!

さて、過去にレバーブレーキ・リール(以降LBリール)に行き着いたことは書いておりますので、ここではなぜ私には最適であったかを掘り下げたいと思います。そのためには、まずLBリールの特性を理解しなければなりません。

LBリールはグレのフカセ釣りに特化して、日本独自のリールとしてシマノから誕生しました。今はフロント・ドラグが装備されていますが、初期のものにはありません。その理由は、まさにレバーブレーキがドラグの変わりであったからです。これはマルチプライヤー・リール(以降マルチプライヤー)のダイレクト・ドライブ方式と同じで、レバーを使う発想は自転車メーカーのシマノならではだと思います。

リールはマルチプライヤーとスピニング・リール(以降スピニング)がありますが、それぞれの特性に応じて、使用されるジャンルが決まってきます。ここでは細かいことは書きませんが、決定的な違いは、仕掛けを投げたときにマルチプライヤーはスプールが逆転するのに対し、スピニングはスプールからラインだけが放出されること。この特性の違いから、スピニングにおいてダイレクト・ドライブ方式を採用するとなると、ベールの回転を何らかの方法でコントロールする必要がありました。

ではなぜ日本でLBリールが生まれたのでしょう。
この答えはグレという魚がいて、それを磯から釣る人が多かったことに尽きると思います。
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「ABU 1750A」
↑当時の日本代理店は「エビスフィッシング」


グレ釣りではその手返しからスピニングを使うわけですが、どうしてもドラグ機能では克服できない問題がありました。それはラインを出されて根ズレで切られるくらいなら、ラインを出さないで切られる方がまし。このような判断をしばしば求められ、自分の意思で瞬時に選択できるリールが必要だったからです。

マルチプライヤーのダイレクト・ドライブ方式は、「ABU 1750A」が有名です。このリールの特徴を述べると、ハンドルとスプールはギヤで直結されているため、スプールが逆転するとハンドルも逆転します。もちろんキャストのときはクラッチを抜くことが可能ですが、ドラグがないのでギヤをつないだ状態でも容易にスプールが逆転します。この逆転によるバックラッシュを防止するのに使われているのがクリック機能です。

魚とのやりとりでライン・テンションをコントロールするときは、キャスティングのサミングと同じようにスプールを親指で直接押さえたり、ハンドルの保持や回す力でコントロールします。一般的な使い分けは、瞬発的な走りをかわすときはハンドルから手を離してスプールで。走らない魚や寄せてくるときはハンドルでコントロールします。

もはやルアーで「1750A」を使う人はいませんが、現在でも使用している代表的な例が、湖のマスのムーチングです。餌にワカサギなどのベイトフィッシュを使うので、飲み込むまで少し時間が掛かる。餌の食い込みは竿の調子によるところが大きいですが、魚によっては咥えたまま移動するものもいます。このときクリックが効いているのでバックラッシュせず、一定のテンションでラインを放出できるのがポイント。また待ちの釣りなので、音が出るのも当たりがあったことに気がつく点で重要な要素です。
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「MILLIONAIRE GS-1000C & ST-1000」
↑クリック機能があるミリオネア。1750Aと同じように芦ノ湖のムーチングで使用


そして掛かってからは、細いハリスで巨大なレインボーやブラウンを相手にするわけです。ドラグは「糸巻き量」や出ている「ライン抵抗」で滑り出しの負荷が変化してしまうため、自分の意思で思い通りにラインをリリースできる、ダイレクト・ドライブ方式が最適となるわけです。

では話をLBリールに戻しましょう。ダイレクト・ドライブ方式と逆転時のクリック。これを併せ持つスピニングが、まさに「'02BB-X EV3000アオリイカ」です。ヤエンでLBリールが一般的に使われるようになったきっかけは、このモデルであることは疑いようもありません。

LBリールによるテンション調整は、「強く握る」、「瞬間的に緩める」という操作は得意とするところですが、緩いテンションを一定してかけることは、人間工学的に難しい構造になっています。自転車のブレーキではそれが可能なのに、リールではなぜ難しいのでしょう。その答えは二つ。

まず一つ目はレバーブレーキを握っているのが人差し指1本に対して、自転車のブレーキは親指を除く指4本であること。そして二つ目は自転車のハンドルは竿のように、ブレーキ操作をする方向に引き込まれたりすることがないからです。
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「Ambassadeur 5500DA」
↑1750Aと違ってダイレクト・ドライブでありながらハンドル基部のドラグ・ノブで逆転時の負荷を調整可能。5000Dまではクリック機能があったが5500DAにはない


これをもう少し具体的に書けば、竿が伸されれば嫌でも人差し指以外の指に力が入る。当然ながらブレーキを握る人差し指にも力が入ります。この状態でレバーブレーキを握る人差し指を緩めるわけですから、ドラグのように一定のテンションでラインをリリースするのは非常に難しい。というよりもできません。

磯釣りのどんな名手でもラインを出すときに、断続的に竿がお辞儀する理由はこれです。竿が伸される→レバーを緩めて竿のタメを作る→レバーを握るのでまた伸される→レバーを緩めて竿のタメを作る。言い換えれば、レバーブレーキはラインを出さないことを前提にしており、竿が伸されたときタメを作るためにレバーを操作しているのです。

次にヤエンで求められるリールの操作に目を向けてみましょう。ヤエンと他の釣りで決定的に違うことは、餌にハリが付いていないこと。したがってヤエンが到達する前にアジを離されてしまったら、その時点で終わりです。そこでもっとも優先することは、アオリにアジを離されることなくヤエンを到達させることになります。

ヤエンが近づくと、大抵はアオリは逆噴射して抵抗します。これはヤエンの重さに違和感を感じたり、視覚的に近寄ってくるヤエンから逃げるためであったりしますが、このときの対処方法はラインをスムーズに放出するしかありません。ハリが付いていないのですから、過度にテンションを掛ければ必ずアジを離します。
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「Ambassadeur 1500C」
↑アンバサダーの最小モデル


ヤエンを入れていなければ、アジを離されても大抵は再び食ってきます。しかしヤエンを入れてしまうと、アジを離されるとテンションを失って沈みます。ここでヤエンの根掛かりを恐れず、そのまま待つ人もいるでしょう。しかしヤエンを入れる前のような確率では再び食ってはきませんし、着低したヤエンを引きずることになるので、高い確率で根掛かりします。

ヤエンを送っている間は、アオリが抵抗しない限り寄せることになります。これはラインに一定のテンションを掛けないと、ヤエンの重さでラインがたわんで進まなくなるからです。そして竿を曲げてラインをしっかり張れば、抵抗しないアオリはいくら大型でも少しづつ寄ってきます。表現を変えれば、ヤエンがスムーズに進むようにラインをハリハリにすれば、否応でも寄せてくることになるわけです。

したがってヤエンを送る間は「巻く行為」と「ラインを放出する行為」、すなわち「握る行為」と「離す行為」を瞬時に切り替えなければなりません。これを自分の意思で選択できるのがダイレクト・ドライブ方式、すなわちLBリールとなるわけです。

ではメーカーのヤエン専用リールでは、同じシチュエーションでどのような操作になるのでしょうか?どの機種も後部にあるクラッチの切り替えで、ドラグをフリーにできるようになっています。しかし私の経験では、ヤエンを送っているときに瞬時にクラッチを切り替えるのでは間に合わないことが多い。
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「Ambassadeur 7000」
↑クリック機能が付いているのがレイクトローリングに使われる理由


そこで私はクラッチを入れた状態にしておいて、寄せるときは緩めたドラグのスプールを押さえてポンピングしながらラインを巻いていました。これであれば急にアオリが逆噴射したときは、スプールを押さえている手を離せばよいわけです。この操作方法で離されることは、かなり少なくなりました。しかし最後まで残るのが、リールの操作性とラインの滑り出しの問題です。

操作性は竿を持つ反対の手が、スプールを押さえたりリールを巻いたり。掛かってからはクラッチを入れたり、ドラッグを調整したりと違う作業が多いことでイメージできるでしょう。滑り出しの問題については、ドラグの方がクリックよりも接触面積が大きいことから、最大摩擦力と動摩擦力の「差」が大きいことに起因します。これにより必要以上にドラグをユルユルに設定することになるわけです。

スピニングはスプールからラインが出る方向と、実際にラインが出る方向は、ベールのアームローラーを介して約90℃の角度にあります。アームローラーにベアリングが使われていない機種は論外ですが、ベアリングが使われていてもアームローラーを介してスプールが逆転するので、ここでも摩擦抵抗による力の伝達ロスがあります。

LBリールは力の作用点であるベールそのものが逆転するので、この点では力の伝達ロスは少ない。しかし忘れてならないのは、LBリールはベールもハンドルも連れ回りします。当然ベールとハンドルには重さがあるので、より小さい力でラインが出るという点では、アームローラーの摩擦抵抗は微々たるものなので、専用リールの方に分があります。
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「BB-X XT3000」
↑レバー、ハンドル、スプールを交換して音だし加工


しかしラインの滑り出しが安定しているという点では、ドラグよりもクリックの方が優れているのは前述のとおり。回転を安定させるために、ダブルハンドルにするのもまさにこれが理由です。スピニングの宿命である糸ヨレも、ベール自体が逆転する方がスプールが逆転するよりも軽微であることも大きなポイントでしょう。

よくLBリールでクリック機能なしでヤエンに使おうとする人がいますが、これはかなり難しいと思います。その理由は前述のとおり、レバーブレーキの操作は「握る」か「離す」かの二者択一に近いからです。したがってアオリが逆噴射するときは、レバーを離すのが一番確実な対処方法です。このときクリックがなければどうなるでしょうか?

当然バックラッシュします。バックラッシュしないように、レバーで一定のテンションを掛けようと考えるかもしれません。しかし前述したように、それだけ繊細な操作を繰り返し行うことは難しい。少しでも強く握り過ぎれば、アオリはテンションの変化を感じて、大抵の場合はアジを離してしまいます。こうなるとシマノであればゼロフケテンションを使うしかありません。

ダイワがヤエン専用に開発した「バトルゲーム2000LBQD」の説明を読むと、この肝心のクリックがありません。その代わり置き竿で待つときのために、ドラッグを瞬時に開放できるクイックドラグを装備しています。これは私がLBリールを使う最大の理由、すなわちヤエンを送っているときのライン放出対応は、不安定なレバー操作やドラグ操作に頼るということになります。
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「BB-X EV3000アオリイカ & EV3000」
↑レバー、ハンドル、スプールを交換し、上位機種の「XT」と同じベアリング数にチューンアップ


ヤエンが掛かってしまえば、アオリはグレと違って根に潜ったりすることありません。したがってこの段階になれば、ドラグによるやりとりでまったく問題ありません。「バトルゲーム2000LBQD」がシングルハンドルであるのも不思議ですが、おそらくこのリールの開発コンセプトは、私とは違うものなのでしょう。「ヤエン考!」で書いたように、釣法が違えば最良の道具仕立ても異なるという典型的な例だと思います。

長くなったのでまとめましょう。

ヤエンでLBリールが本領を発揮するのは、ヤエンを送るときです。竿を大きく曲げてラインを張り、アオリが寄ってくればラインを回収する。また竿を大きく曲げるを繰り返します。そしてヤエンが近づいてアオリが逆噴射したら、瞬時にレバーを離してクリックのテンションでラインを放出。走りをしのいだら、またレバーを握って竿を大きく曲げる。この一連の動作を、「スムーズ」かつ「一定のテンション」で行えるのがLBリールを使う最大のメリットです。

さて長々とLBリールをヤエンで使うメリットを書いてきましたが、もちろん欠点もあります。それはクリックという非常にシンプルなものでテンションをコントロールするため、押さえているバネ圧調整が全てであり、調整幅が非常に狭いということです。しかも軽過ぎればバックラッシュするし、重過ぎればアオリが離します。したがってバックラッシュしない程度で、軽めに仕上げるのがベストですが、この基準はかなり曖昧なものになります。
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「BB-X HYPER FORCE Mg3000DHG & Mg3000D」
↑ハンドル、スプールを交換して音だし加工


しかしバックラッシュは手持ちであれば防げることが多いので、置き竿のときだけゼロフケテンションを併用するのも一考です。当たりがあったら手持ちにして、ゼロフケテンションを切ればよいわけです。もしテンションが強すぎて置き竿で離されても、ヤエンを入れてなければ、高い確率で再び食ってくることは前述のとおりです。

また裏技ではありますが、ラインに巻き癖があるとバックラッシュは起こりにくいもの。そこで先糸だけフロロにして、メーンラインに巻き癖が付きやすいナイロンや、張りのないPEラインを使うのも有効です。クリックのバネ圧だけでバックラッシュを調整しきれない人は、試してみる価値があります。

最後にこの釣りでもっとも重要なことを書きましょう。それはヤエンの掛け率は、ヤエンを入れる前のアオリの状態でほぼ決まるということ。言い換えれば、このベストな状態を作るのが、掛け率を揚げるもっとも重要なテクニックです。私は「アオリの調教」と表現しますが、これを自在にできるのもLBリールならでは。そして優れているヤエンは、そのベストな範囲を広げてくれるものなのです。

現在のヤエンリールついての考えはこんな感じです。なおリール改造についての質問にはお答えしませんので、事前にお断りしておきます。

by scott1091 | 2012-11-20 20:41 | Technique | Comments(5)

ヤエン考!

久々のテクニック編です。友釣りやフライのように、テクニックを語るほどの経験がありませんが、ヤエンを初めて5シーズン目を迎えた現在、どのようなことを考えていたか備忘のために記録しておきたいと思います。経験豊かな方は、温かい目でご笑覧くださいませ!006.gif

さてヤエンは道具を工夫するのが楽しいということは、今まで何度か書いてきました。リールの改造や穂先ライト、ヤエンの灯りなどはもちろん、ピトンなどの金具類も独自のシステムを構築すると楽しみは尽きません。しかし今回は、ヤエン釣りでもっとも重要なヤエン本体について、今現在の考え方をまとめておきたいと思います。
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↑もっとも購入しやすいパーツ類。今となっては不用品ばかり

まず、アジを抱いているアオリをヤエンにどのように掛けるかですが、これをどのようにイメージするかで、ヤエンの設計思想が大きく変わってきます。市販されているヤエンを前提に一般的なものを紹介すれば、大体以下の三つに分類されると思います。

①ヤエンが到達してからアワセる(寄せる)ことでハリ立ちさせる
②ヤエンが到達してから、ラインを緩めることでヤエンを跳ね上げる
(↑滑りのよいヤエンだと逆戻りするのでストッパーが必要か?)
③ラインの途中に止まった(止まってしまった)ヤエンにアオリを寄せてくる

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↑「ハンダこて」の違いを検証するため、高価な「セラミックヒータータイプ」も購入しましたが、今は最初に買った安価な「ニクロムヒータータイプ」を使っています。ヤエンは電子部品のように温度設定が必要ありませんし、仕上がりも変わりません

しかし②については水中映像を見るとわかるとおり、想定したようにはヤエンが跳ね上がりません。これは水中では思いのほかライン抵抗が大きいため、ラインを緩めてもヤエンの自重くらいでは後部があまり沈み込まないためです。

③は重すぎたり、第一支柱と第二支柱の高さの差が大きいヤエンや、極端な前上がりバランスのヤエンに多いケースです。アオリよりも深いところにあるヤエンは跳ね上げた状態に近くなるので、この状態でアオリを寄せるとフッキング率は高くなります。しかしこの方法の欠点は、ヤエンまでアオリを寄せられなければ勝負になりませんし、寄せて掛けるという点では①と同じです。したがって私はこの三つであれば、行き着くところは①に集約されると考えています。

ここで三つであればと断ったのは、もう一つ方法があると考えているからです。それはヤエンがアジに到達するとほぼ同時に、ハリ掛かりさせる方法です。私はこの方法をベースにヤエン作りを考えており、アワセを入れないのもまさにこの設計思想によるものです。
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↑初期に作った「シングル松葉」。ヤエンを跳ね上げるために松葉を採用

では具体的にどうするかですが、前提として私はハリ掛かりが腕でも、ヤエンが外套幕や漏斗に突き刺さってもよいと考えています。つまりヤエンが到達すると同時に、ハリがアオリのどこかに接触する。これに驚いてアオリが逃げればハリ掛かりしますし、もしアオリがまったく動じない場合でも、寄せてくることでハリがしっかりと掛かる。こんなヤエンを理想としています。

この理想をベースに現在も試行錯誤しているのですが、いくつか外せない要素が絞り込まれてきました。それを列記すると以下のようになります。

(A)腕掛かりを確実に獲り込むにはハリは小さい方が有利
(B)小さいハリをアオリに必ず接触させるためには跳ね上げ式構造が必要
(C)水中でヤエンを確実に進めるにはローラーが不可欠
(D)ヤエンの先端をアジやアオリにぶつけないためにはダブルヤエンが有効

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↑軽く仕上げるためにハンダは薄く。力の掛かる場所は銅線で補強します

これらを個別に解説すると、まず(A)は腕に限らず、ハリが大きいほど1本しか掛からない確率が高くなります。これはハリが大きいほど、同じ角度であればハリ先の間隔が広くなるからです。また大きなハリほど軸とハリ先に距離があるため、「梃子の原理」でハリが立つときに軸が曲がることになり、不安定感が増します。これが原因でハリが刺さらなかったり、身を薄く掬ってしまうケースが発生しますが、ハリが小さいと軸のたわみも少なく、またハリ先の間隔が狭いことから、複数のハリが刺さる確率が高まります。

次に(B)についてですが、ヤエンの先端をアジやアオリの腕にぶつけないためには、第一支柱にある程度の高さが必要です。またヤエンの滑走速度を考えると、第二支柱との長さの差もあまり大きくはできません。そうなるとハリは大きい方がアオリに接触する確率が高くなりますが、小さいハリを使うとなると、ヤエンが到達した衝撃でハリが少しでも跳ね上がる構造が必要です。
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↑最適な支柱の高さを探るべく作った「ダブル松葉」。ハリの高さを調整できるよう「V字」構造を採用。このヤエンで掛け率がかなり向上しました

(C)については、ローラーは沖掛けでは必需品です。これは空中での滑走速度が非常に速いためですが、実は水中ではローラーの抵抗もあってさほど早くは進みません。しかし少しの角度があればゆっくりでも進むことが重要で、アオリを寄せてくるスピードも相まって、それなりの速度でヤエンはアジに到達します。到達と同時にハリ掛かりさせるには、この勢いが重要だと私は考えています。

最後に(D)ですが、前述のように小さなハリでアオリにハリを接触させようとすると、跳ね上げ式でも跳ね上がる高さに限界があるので、第一支柱を極力短くしたい。またバランスをほぼフラットに設定すると、シングルヤエンの場合は、餌のアジやアオリの腕に、ヤエンの先端がぶつかってしまう確率が高くなります。しかしヤエンがアオリの腕の下に入らないとハリは掛からないので、軸がアジや腕をすり抜けるにはダブルヤエンの方が有利であることは明らかでしょう。
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↑その名も「ヤエン工房」。私には不要なものでした007.gif

このように絞り込まれた4点を満たすようなヤエンが理想なわけですが、空中と水中では抵抗が大きく異なり、また真水と海水でも比重や粘度が異なるため、思ったようにはいきません。構造を複雑にするとトラブルが多くなりますし、稼動部が多くなると海中では思ったように作動しません。

こんなことを「あれやこれや」考えるのが、またヤエンの楽しみの一つなのですが、今まで書いてきたとおり、ヤエンの設計思想で釣法そのものが変わってきます。したがってヤエン釣りも突き詰めていくと、人によって最良の道具仕立てが異なることになります。
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↑ハンダ付けの作業台は「タイル」1枚でOK。フラックスを塗るときは筆を使うと便利です

私の場合、メーカーが「ヤエン用」と謳う竿やリールは使っていません。これは専用のものを使ってみての結論なので、今の釣法が変わらない限り揺らぐことはないでしょう。これを読まれた皆様も、ぜひ試行錯誤してみてください。ヤエン釣りがもっと楽しくなること請け合いですし、脳の活性化にも有効です!

最後に但し書きですが、私はフライと鮎をする関係で春~夏イカはやりません。この時期は海藻が伸びてきますし流藻も多くなるため、ダブルよりもシングルの方がヤエンを送りやすい状況が多くなります。したがって私も春~夏にヤエンをするのであれば、状況に応じてシングルヤエンも必要と考えております。

現在使っているヤエンの名前は「スペシャルD」。「D」はダブルヤエンを意味しているので、シングルヤエンを開発したときは「スペシャルS」となります。001.gif
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↑「スペシャルD」を作るための工具。パーツ数が多いので、作業効率を考えて5個セットで作ります

続・ヤエン考/小バリの勧め!」もご参照くださいませ!006.gif

by scott1091 | 2012-02-16 21:47 | Technique | Comments(3)

鮎竿のお手入れ編!

すでに竿を納めた人も多いと思いますが、NP工法の竿の手入れで悩んでいる人も多いと思います。そこで今回は、私の手入れ方法を紹介します。サンテック製の竿は全て同じだと思いますが、この方法でトラブルがあったなどのクレームは受けられません。メーカー推奨はあくまで「水洗い&陰干し」なので、試す場合は自己責任でお願い致します。

まず竿を川に漬けて洗う人を見かけますが、これは止めましょう。いくら水が澄んでいても、川の水には必ず砂が含まれているからです。同じ理由から、九頭竜川などでは一般的な流し竿も極力しないようにしています。もちろん、竿を畳むときにジャリジャリするという場合は川で洗った方が良いですが、私はそのような状態になることはないので、最初にお断りしておきます。

竿は屋外で使うものなので、使用中に埃が付きます。特に川原を車が往来する川では、肉眼でも付着した埃が確認できると思います。このような場合は竿を仕舞うときに拭き取るのがベストですが、私は車に戻る前に竿を畳むことが多いので、気になるときには素手で軽く払いながら収納するようにしています。この状態で家に帰ったら翌日釣りに行く場合でも、必ず車から降ろして手入れをします。
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鮎竿は少なからず濡れていることが多いので、節を抜いて乾かすのは誰でもすると思います。私は以前は、このとき必ず水洗いをしていました。しかしその作業で竿をぶつけたり、作業中に竿が倒れたりするリスクがあるため、今は節を抜いて軽く水拭き&乾拭きして、上栓と下栓は水洗いしています。

このときに使う布がポイントで、私は㈱ティムコの「サイトマスターレンズクロス(3M Microfiber Cloth)」を使っています。これはもともとメガネのレンズ拭きで、超極細繊維をパイル状に織り込んだ高密度繊維で、表面に付いた埃などを吸着する能力も高く、傷つけること無く拭き上げることができます。他には車のフッ素コーティング用に開発された、プラモデルで有名な㈱ハセガワの「零三式 多目的クロス(東レ マイクロダスター)」などもお勧め。

メガネを掛けている人はよくご存知だと思いますが、ティッシュやタオルなどでレンズを拭いていると、レンズに細かい傷が付きます。これはティッシュやタオルの素材そのものが硬いことと、レンズの表面に付いた埃などを、拭くことでレンズに擦り付けてしまうからです。したがって水で洗い流してから拭くのがベストであることは間違いありません。
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↑左から「サイトマスターレンズクロス」、「一般的なメガネ拭き2枚」、「零三式 スーパーポリッシングクロス」

そこで私はこの布を濡らして各節を2回軽く拭き上げ、さらに同じ布で乾拭きしてから内部を干すようにしています。節の中にも埃が止まっている可能性はありますが、竿の外側ほど多くはないので、通常の手入れでは中まで拭くことありません。

そして一カ月に1回くらいの頻度で、水洗いをします。布などは使わず、外側はシャワーで水を流しながら素手で洗い、中は水流のみで流します。洗い終わったら外側の水滴は乾いた「サイトマスターレンズクロス」や「零三式 多目的クロス」で拭き取り、内部に付いた水滴は振って飛ばすようにしています。

毎回水洗いしないのは、この内部の水滴を飛ばす作業が危険だからでもあります。鮎竿は節の長さが他の竿よりも長いので、天井や予期せぬ場所にぶつけて、折ってしまった人も多いと思います。外側が乾燥したら、次に玉口のクリアー塗装の摺れによる曇りを防ぐため、この部分だけフッ素コーティングします。
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コーティングに使うのは「ボナンザ」の「ミストタイプ」か「ムースタイプ」。コーティングするのはクリアー塗装されている元竿と玉口のみで、NP工法部分やジョイント部分には使いません。この理由は、ジョイントはコーティングの厚みにより、嵌合具合に僅かに影響がでること。そしてNP工法部分については、そのままでも十分撥水性に優れ、ラインの纏わり付きも少ないからです。もちろん好みで、NP工法部分をコーティングしても問題はありませんよ!

前述のように私はジョイントには使用しませんが、「ボナンザ」をジョイントに使うと、布が黒くなります。これがダイワの「エアグロスフィニッシュ」に「ボナンザ」は使わないほうが良いという由来だと思います。拭くことで表面が削れているとは考えにくいですが、カーボン素材から色が出ているのは間違いないので、無塗装部分には使用しない方が無難でしょう。

このコーティングのときに使用するのは、㈱ハセガワの「零三式 スーパーポリッシングクロス」です。この布も超極細繊維を使用した高密度繊維で、適度に液剤を含むので均一にコーティング剤を塗布するのに適しています。
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ちなみにNP工法は、カーボンシート(プリプレグ)をマンドレル(芯金)に巻きつけるときに使うテープが表面に蒸着しているため、無塗装といえどもカーボン素材がむき出しになっているわけではありません。ボナンザを使っても、ジョイント部分のように布が黒くならないのは、そのような理由によるものです。したがって通常の使用や手入れで、カーボン素材が削れたりするようなことはありません。この点を誤解している人が多いので、補足しておきます。

新品の竿を購入すると竿の内側にカーボンの粉が付着しており、静電気で内側の節の塗装面にも付着していることがよくあります。この粉はシートを巻きつける前のマンドレルや、塗装前のブランク保管中に付着したもので、竿本体から出たものではありません。私はこの粉がジョイント部分に悪影響を及ぼすと考えており、使う前に必ず中拭きをするようにしています。

この粉は水洗いや、ティッシュを通したくらいではきれいに除去できません。したがって使用するたびに、少しづつ内側の節の表面に付着します。私はこの内拭きには「零三式 スーパーポリッシングクロス」を、各節の内径に合わせてカットして使っています。

竿によっては、布が真っ黒になるほど付着することもあります。内部を見て、表面が鏡面状になっていればOK。この作業は、シーズン終了時に竿を仕舞うときにも必ず実施しましょう。これは水洗いでは取れなかった汚れが付着しているからです。
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↑今シーズン出番のない竿から片付けていきます。残るは「征龍竿EM」、「龍星☆竿」、「翔龍竿(プロト4)」

ポイントをまとめると、

①NP工法部分とジョイントは、水拭き&乾拭きのみ
使用する布は「サイトマスターレンズクロス」や「零三式 多目的クロス」に準じたもの

②フッ素コーティングはクリアー塗装が施され部分だけ
好みでNP工法部分をコーティングしても問題はありません
使用する布は「零三式 スーパーポリッシングクロス」に準じたもの

③購入時とシーズン終了時は必ず節の中拭きを
使用する布は「零三式 スーパーポリッシングクロス」に準じたもの
詰まらないようサイズに合わせて切って使うこと
穂持ち(2番)は細いので無理にしなくてもOK


以上です。

これ以外に節落ちを防ぐため、フェルール・ワックスを使う人もいますが、私はジョイント以外の竿の内側にも付着してしまうこと。またワックス部分にゴミがつきやすいので使いません。しかし使うことで、ジョイントの磨耗が防げるという利点もあります。

節落ちは玉口の欠けなどにつながるので、落ちる前に違和感に気がつくのがベストですが、昼食時に竿を畳むようにすれば、多くの場合は防げると思います。それでも落ちるようであれば、午前1回、午後1回確認する習慣を付けるとよいでしょう。

今回紹介した布はあまり一般的なものではありませんが、メガネ拭きや洗車用のものを転用すれば十分なので、タオルやティッシュを使っている人は、「メガネ売り場」や「カー用品売り場」を探せば、もっとお買い得のものがあると思います。探してみてくださいませ!

by scott1091 | 2011-10-19 20:55 | Technique | Comments(5)

「大きいイカには、長いヤエン」は本当に有効か?

最近は釣行記ばかりなので、今回は少し技術的な話題を!
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まず掲載した写真をご覧頂きたいのですが、これは現在市販されているヤエンでは一番新しい、シマノ「A-RB ラインローラーヤエン 跳ね上げ式」です。サイズはM、L、LLの3種類がラインアップされています。「AR-Bラインローラー」はもちろん、類を見ない跳ね上げ機構の採用は、他のメーカーに水をあけていると思います。

商品説明によれば、「エサのサイズ、イカのサイズに合わせて選べるサイズバリエーション」となっています。この説明にもあるとおり、「大きいイカには、長いヤエン」というのが一般的です。

しかし私は実釣をとおして、これは違うと感じているのですが、皆様はいかがでしょうか?説明のもう一方である、「大きいアジには、長いヤエン」は正しいと思います。しかしこちらも、アジを大、中、小とサイズ別に選べる環境ならば、あまり影響はありません。

よくヤエンの説明書などで、ハリが胴(外套膜)に掛かるイメージ図があります。しかしこれでは、イカが大きくなるほどバレが発生します。ダブルヤエンにすることで、ハリ抜けや身切れの頻度を少なくすることはできますが、抜本的な解決にはなりません。その理由は、一方しか掛からないことがよくあるからです。

ではどうするかということですが、ハリ掛かりさせる場所として腕の付根、すなわち漏斗付近を狙うのが一番重要です。この場所が胴(外套幕)よりも丈夫であるということもありますが、ここにハリが掛かると、必ずヤエンとは反対方向に逃げることになるので、さらにハリ立ちが促進されることになるからです。

これが胴に一番先端のハリが掛った場合には、イカがアジを離して四方八方(膨らませた風船が空気が抜けながら飛ぶイメージ)に逃げると、必ずハリ立ちとは逆の方向に走るケースが出てきます。掛かり方しだいでは、たとえバーブがあってもヤエンやライン抵抗で抜けてしまうケースもありますし、身切れしてしまうこともあります。
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もちろんイカが大きくなるほど、腕も長くなります。しかし大きいイカほどアジが隠れるくらいすっぽり抱いてしまうので、結果的にアジの尻尾から腕の付根までの距離が、腕の長さほど大きく変化しないのは、皆様も経験的に感じていると思います。

こういった実釣経験から、私の自作ヤエンはワンサイズに落ち着きました。目下のところ、これで不安を感じたことはありません。むしろ重要なのは自重で、同じサイズでも使う材料により、11、12、13㌘の3種類を使い分けています。

アオリが浮いていて、ヤエンを空中滑走させる場合や、サイズが小さいときは軽いヤエン。アオリが底付近にいてヤエンがほとんど水中を滑走する場合や、サイズが大きくてラインがハリハリとなる場合は、重いヤエンをチョイスします。

私の場合は3月からフライ、5月から鮎に移行するので、実釣を踏まえてワンサイズでオールシーズンをカバーできるとは言えません。しかし友人がほぼ同じサイズで通年を釣っているので、まったく問題ないと思われます。

アオリが大きくなったので、長いヤエンにしたらバレが連発。そのような経験のある人は、獲り込んだアオリのどこにハリが掛かっているのか、必ず確認することをお勧めします。

by scott1091 | 2011-02-01 21:56 | Technique | Comments(3)

「ハリ合わせ」について

鮎釣りをする人は必ず耳にしたことがあるはず。
皆様はどの程度こだわっておりますか?
「掛かるときはみんな一緒だよ!」、という方も多いでしょう。

でも本当にそうでしょうか?

同じような場所で、圧倒的なスピードで入れ掛かっている人を見たことはありませんか?
自分がバレやケラレが起こるのに、確実に獲っている人を見たことはありませんか?
「今の自分のペースが本当に最速だろうか?」、と考えたことはありますか?

トーナメントのファイナルで多くの人が数日前から下見に入るのは、ポイントや鮎の特性を確認する以上に、この「ハリ合わせ」のためだということをご存知でしたか?
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ここで注意しなければならないのは一概に「ハリ合わせ」と言っても、傾向は確実にあるものの、そのハリが誰にも一番良いというわけではないことです。その人の釣りスタイル、すなわち使用するラインや竿、竿の角度などによっても変ってきます。私が「ハリ合わせ」に影響すると考える要因を整理すると、以下のような内容になります。

①ハリ  / タイプ、サイズ、針先形状、軸径
②ハリス / 材質(ナイロンorフロロ)、号数
③ライン / メタルorフロロorナイロン
④穂先  / 硬さ、チューブラorソリッド
⑤穂持ち / 穂先とのバランス     
⑥スタイル/ 引き釣りor泳がせ


これらの要因を考慮して、「当たりバリ」を絞り込んでいくわけです。目安としては最低でもケラレまたはバレが2回続くようならハリを交換。経験が浅い人は、このときなるべく対極にあるハリに交換します。これで止まるようであれば、そのタイプに近いハリで絞っていきます。逆に交換して悪くなるようであれば、タイプをもとに近いものに変更して比較していきます。この作業を積み重ねていくと、バレやケラレ方である程度ハリ合わせの検討がつくようになります。

私の場合は前年の実績で抽出された6種類に、新製品から好みの形状を2種類追加してシーズンをスタートします。同じハリでもサイズによって重量やハリス・バランスが違うので、8種類のハリでも実際はかなりのバリエーションとなります。ハリをシーズンオフに巻き貯める人もおりますが、無駄を避けるならシーズン中に巻くことをお勧めしますよ。
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通い慣れた川では、この時期はこのタイプのハリというような傾向がわかります。しかし初めて行く川では、この「ハリ合わせ」情報がもっとも重要となります。釣法は多少違っても当たりバリの傾向が掴めれば、その情報をもとにハリを絞り込めば、大会前の下見が3日かかるところ2日で済みますものね。
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ちなみに狩野川の大会では、今でも遠征組から使っているハリを聞かれます。私はもう大会には出ないので、もちろん正直に教えてあげますよ~。かつては私も遠征先で、地元組に使っているハリを尋ねた後、「そのハリケース見せて!」とからかったのが懐かしいです!(笑)

また九頭竜のような特殊なフィールドになると、ハリやハリス強度の関係で選択肢がぐっと狭くなります。バリエーションが少なくて錨で合わせきれない場合は、チラシという選択肢も考えなければいけませんよ!

「答えは鮎に聞け!」

皆様もフィールドで試行錯誤してみてはいかがですか?
きっと世界が変ると思いますよ!

by scott1091 | 2008-06-14 18:36 | Technique | Comments(1)

「BB-X EV3000」をアオリ仕様に改造する

 久々の「アオリ」ねた!最近は検索ワードランキングでヤエン関係が非常に高くなった当ブログです。ではさっそく本題へ!

 もともと「BB-X EV」シリーズにはアオリ専用の「EV3000アオリイカ」があり、2002年から2005年まで販売されておりました。現在ヤエンでレーバーブレーキを使っている人は、ほとんどがこのモデルからスタートしております。

 それゆえ今でも小売店のデッドストックを探している人も多く、程度の良いものはなかなか入手できません。そんな背景から前回紹介したように現行モデルの「デスピナ」や「ラリッサ」を改造しているわけですが、私もヤエンを始めてからオークションの出品を定期的にチェックしておりました。

 この間程度の良い「EV3000アオリイカ」の出品はありませんでしたが、先日今回の標題である「EV3000」のデッドストックを入手。もともと「EV3000」と「EV3000アオリイカ」は本体が同じなので、早々「EV3000アオリイカ」用のパーツをメーカーから取り寄せました。
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 あわせて当時の上位機種「BB-X XT」に装備され、当該リールには付いていないベアリング2個を追加し、スプールも交換してチューンアップ。これにより、見た目は「EV3000」、中身は「XT3000アオリイカ(←このような商品はありません)」にグレードアップ。さらにレバーブレーキは、ライン絡みが少ないワンピースの現行品に交換しました。

 残りは、「EV3000アオリイカ」標準仕様のダブル・ハンドルは大き過ぎて、逆転時に慣性がつき過ぎてバックラッシュの原因となるので、小さいものに交換する予定です。現行品のハンドルも転用可能ですが、色を統一したいのでただいま物色中です。(笑)

 組み上がったリールは、ベール逆転時の音が「デスピナ」や「ラリッサ」よりもかなり大きい。ラチェットによる音出しはやっぱり音色(ねいろ)も良いですね♪この逆転音を聴くと春アオリに行きたくなります!

 その後ミント・コンディションの「EV3000アオリイカ」も手ごろな価格で入手できました。既にベアリングは追加済みで、現在交換用のレバーブレーキを取り寄せ中です。これで今年の冬は完璧ですね!(笑)
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<注意>
 リールの改造は自己責任でお願いします。純正部品による改造もメーカー保証の対象外となる場合があります。レバーブレーキ交換くらいのレベルでも、メーカーは「お客様自身での組み替えは困難なのでサービスセンターで」との立場です。自信のない人は絶対にしないでください。

by scott1091 | 2008-04-12 08:58 | Technique | Comments(0)

ヤエンに向いたリールってどんなの?

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↑ダイワ精工のヤエン専用リール「バトルゲーム3050アオリ」

アオリの不意な引き込みに、瞬時にテンションフリーにするにはどうしたら良いのか?私の最終的な結論は、スピニングリールを使うならレバーブレーキを使うしかないというもの。

しかしヤエンはアオリがアジを抱いて走る際に、低いテンションでベールが逆転しなければならない。また逆転時に「音」が出なければ置き竿では当たっていることに気づかないし、ヤエンの楽しみも半減してしまいます。

かつてはシマノに、ヤエン用の「BB-X EV3000アオリイカ」というリールがありましたが現在は生産中止。ということでいろいろ調べてみると、現行モデルの「デスピナ」と「ラリッサ」であれば改造ができそう。具体的な改造方法は公開されていませんが、実物を見れば何とかなると思って購入しました。
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↑シマノのヤエン用リール「バイオマスターL」

子供の頃はラジコン少年でもあったので、機械いじりはお手のもの。慎重に各部分の構造を確認しながら作業を進めます。そして頂いたヒントを手掛かりに、「音」出し加工は無事終了。(←1回目は実釣で音が聞えませんでしたが…(笑))

あとは逆転時のテンション調整です。固すぎればアオリが違和感を感じてアジを離しますし、緩すぎれば確実にバックラッシュします。2月に入ってからのアオリは一段と食いが渋くなっており、アジの頭を落とすのに10分以上掛かるケースもあるので、これだけは実釣によるトライ&エラーでした。

そして最後は楽しみなボディカラーに合わせたドレスアップ。レバーブレーキはアオリが走るとハンドルも逆転するので、回転バランス上ダブル・ハンドルが必須。スプールは夜間もベールが逆転するのを視認できるよう、肉抜きされているものに交換しました。

あとは現在メーカー欠品中の「リールスタンド」が入荷すれば、リールの改造はひとまず終了。実際は地面には直置きしないので、リールスタンドは不要なんですけどね…。あっは!(笑)
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↑「デスピナ」のドレスアップ
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↑「ラリッサ」のドレスアップ

<注意>
リールの改造は自己責任でお願いします。純正部品による仕様変更も、改造とみなされてメーカー保証の対象外となる場合があります。レバーブレーキ交換くらいのレベルでも、メーカーは「お客様自身での組み替えは困難なのでサービスセンターで」との立場です。現行モデルほど構造が複雑でパーツ数も多いので、自信のない人は絶対にしないでください。


ヤエンリール考」もご参照くださいませ。006.gif

by scott1091 | 2008-02-21 20:32 | Technique | Comments(4)