ジャパンフィッシングショー2017

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2013年から2年は「ショー」ではなく「フェスティバル」として3月開催がありましたが、関東(過去の開催地は東京、千葉、横浜)で開催されるフィッシングショーは、基本的に1月最後の週末。そして「フィッシングショー大阪」が翌週の2月最初の週末でした。しかし今年は大阪は変わらないものの、横浜は例年より1週早い1月20~22日の開催となっています。

そのため年末には各社の鮎カタログが店頭に並び、1月中旬には総合カタログが出揃いました。目新しいところでは、がまかつが完成仕掛けのラインアップが増えたことから、総合カタログを「竿」と「その他」に分けたこと。がまかつの竿に興味がない人には、見やすくなったかもしれません。

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カタログを入手して最初にすることは、自分が使っているものが終売になっていないか確認します。昨年情報を入手して大人買いしたものは、やはり全てカタログ落ち。他にも使っているカラーがカタログからなくなっているようなものは、在庫が残っているうちに取り寄せて大人買いしなければなりません。

逆に新製品は在庫がタイトなのは発売当初だけなので、2年目以降になればいつでも買えるので急ぐ必要はありません。過去にも書きましたが、釣具については新しいものが最良ではありません。私は使い慣れたものにこだわるタイプではありませんが、今使っているものより良いものが出てこないというのが実情でしょう。

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過去に大人買いしたものの在庫がなくなり、否応なく現行品に置き換えたものもありますが、旧製品を復活してほしいと思うものも多いです。逆に使うものに妥協するなら安いに越したことがないので、終売やモデルチェンジに合わせて半額やそれ以下で処分されているものを買えば十分でしょう。

釣具に限らず最近はメーカーも在庫を持たないので、気がついたときにはネット中を徘徊しても見つからないというものもあります。ここでは具体的に書きませんが、「在庫あり」となっていて、「ポチッ」してみて「メーカーも在庫切れ」のメールをどれくらい受けたことか…。そんな店はほとんど定価販売ですが、必要なものは致し方ありません。

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このように新商品情報より終売情報の方がはるかに重要ですが、具体的にオーダーしてみないと小売店に情報が下りてこないのが現状です。昨年ある商品については、オーダーを受けていながら2週間後に在庫なしの返事がありました。来年も販売するのか確認してもらうと、未定で年末にならないとわからないとの返事でした。カタログを見ると、やはり終売となっています。

話がだいぶそれてしまったので戻しましょう。鮎竿の開発に携わることもあるので、今年も各社の動向を確認する目的で会場に行ってきました。漠然と竿を見ても印象が薄れるだけなので、事前にカタログで確認する竿を絞り込みます。今年のリストは以下のとおりとなりました。


〇ダイワ
銀影競技SPECIAL T 90・E
銀影競技SPECIAL TYPE S 90・E
銀影競技SPECIAL SL 85
銀影競技 A H90・E、XH90・E
硬派 尺鮎110

〇シマノ
リミテッドプロSC NM
リミテッドプロFW ベリーベストNP 85NP
リミテッドプロFW ジェントルパワーNM
エレガントアタッカーZM
スペシャル トリプルフォース NM

〇がまかつ
がま鮎 ファインマスターF IV
がま鮎 競技GTI



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ダイワ、シマノいずれも、ハイエンドモデルに85をラインアップしてきました。50㌢短いだけですが、90よりも操作性において大きなアドバンテージがある一方で、硬中硬や早瀬クラスを使うフィールドでは、立ち位置を変えられるので50㌢短いことはさほど不利にはなりません。

鮎釣りにおいては、ハイエンドモデルしか使わないという一定数のユーザーが存在するので、従来の85では得られなかった持つことによるステータスもこれで充足されます。以前にも書きましたが、鮎竿はサイズダウンする方が狙い通りの調子を出し易いので、いずれの竿もハズレはないでしょう。

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昨年のフィッシングショーのインプレで、「グランドクロス」の評価において、「同じ長さでパワータイプの穂持ちを作ろうとすれば、3番以降のテーパーも見直さないとキレがなくなる」と書きました。方向性は少し違いますが、その点を考慮してダイワは「スイッチシステム」を導入してきました。

今回は長さが変わるメリットを訴求していますが、1~3番をセットで替えるだけで竿の調子は大きく変わります。同じ長さで調子を変えたり、パワーアップやダウンするのも可能なので、ハイエンドモデルの価格帯であればもう一歩踏み込んでもよかったというのが感想です。

「リミテッドプロFW ジェントルパワーNM」は、パワーに対する自重が最軽量であることは間違いありません。やはりこの点においてはシートの重ね方で造るバイアス構造よりも、テープで締め上げる「スパイラルX」の方が利にかなっています。

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しかしこれは自重の軽量化を競うという視点から外れると、竿は好みが優先するもの。自重がだいたい230㌘以下であれば、操作性は持ち重り(=バランス)の方が影響します。これが同じ自重であっても、90より85の方が操作性に優れている理由の一つ。もう一つは手元が動いたとき穂先のブレが85の方が小さいことと、空気抵抗の違いです。

がまかつについては、一層の強度向上のために採用した極細成形テープピッチはフナヤオリジナルでも採用されていますし、お馴染みのテクノチタンバランサーもがまかつが販売する前に、フナヤオリジナルでの採用も検討されました。がまかつとサンテックは工場が近いので、パーツ類の仕入先が被っているのかもしれません。

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メタルトップもサンテックの方が採用は早かったですが、メガネフレーム生産で有名な鯖江(さばえ)がある福井では、βチタンのソリッド、中空いずれの素材も調達できるそうです。また吸引用パイプを作る要領でテーパー加工もできるとのことなので、メタルトップ生産はすでに汎用パーツで対応できるレベルとなっています。

がまかつも時代の流れには逆らえず、丈夫さとは表裏一体の塗装が本当に薄くなりました。元竿に限定すればテーピング跡が残っているくらいなので、フナヤオリジナルよりもクリアー塗装が薄いくらいでしょう。

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渓流の零釣法で有名な伊藤稔氏が開発に携わったシマノ「エレガントアタッカーZM」。ダイワの鮎竿開発に携わっていた頃の路線と同じですが、すでに渓流でもダイワから離れているので、シマノに移籍したという感じでしょうか?今後はシマノの伊藤氏に期待したいと思います。

竿の個別のインプレについては、ハイエンドモデルは良くも悪くも期待を裏切るものはなし。会場での評価は、ハイエンドモデルの85が高いのは想定通り。同じシリーズならば、振り調子で85が90より劣ることはあり得ません。また実際の使用感においても、85の20万円クラスがハイエンドの90といった感じでしょう。

私が使いたいと思ったのは「硬派 尺鮎110」。この竿はシマノ「ドラゴンフォース 110NP」とは、比較にならないくらいの仕上がりです。やはり長尺モデルは経験豊富なダイワに軍配あり。担当したテスターの方も、荒瀬で掛けるまでに求められる要素をよく理解されていました。

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安全面では、ダイワから鮎ベストと併用可能なショートライフジャケットが発売されました。ベストと併用するのを前提にしたネックタイプのため、上半身を浮かすような浮力はなく、頭部を水面に出して呼吸を確保するのが前提となっています。その点ではフローティングベストや膨張式救命具とは異なるので過信は禁物。しかしこのような商品が発売されるのは歓迎です。


by scott1091 | 2017-01-20 18:25 | オフ・ネタ | Comments(2)

Commented by wara0616 at 2017-01-22 23:42
TOMOさん 今晩は。
迅速なレポートありがとうございます。最近は地方でもカタログが出回るのが早くなって、現在”にらめっこ”中です。
でも、新製品で欲しい物は、そんなにありませんね。むしろカタログ落ちした物の方が恋しいという感じです。
そうそう、「TOUGH&WASHロッドケース SLIM RC-073I」、今年こそは買おうと思っていたんですが…残念です。
Commented by scott1091 at 2017-01-23 21:35
wara0616さん、こんばんは。
喪中にもかかわらず、新年のあいさつ申し訳ありません。
ご容赦頂ければ幸甚です。

中身のないインプレですが、雰囲気が伝われば何よりです。小物類は確実に、古いものの方が作りが良いのはフライ関連と同じ。最近は新製品が期待できないので、昨年は増水で川に入れなかったことがあったので、観光を兼ねて「身の上相談所」本店に初めて行きました。

「TOUGH&WASH」は岐阜の某店に2本あったという情報を受けて電話をしましたが、すでに売り切れ。この時点でもう諦めていましたが、富山の釣具店を巡っていたら1本だけ見つけることができました。他にもネットでポチッして、入荷未定の返事が多くて困っています。