「龍切竿90 急瀬Light Special」

今年テストしていたプロトです。

位置づけは「急龍竿Ⅱ 急瀬Special」の後継モデルになります。「急龍竿Ⅱ」は強度的に丈夫で粘りのある竿でしたが、素材の違いで張りや硬度は「征龍竿Ⅱ」の方が上回っている感じだったので、それも合わせて調整しました。狙うところは、「龍星☆竿Ⅱ90 急瀬High Power」より「征龍竿Ⅱ90 早瀬High Power」に近い「急瀬Light Special」。

ところで私は竿作りに関与しているのでモデル名がすんなり出てきますが、これを読んでもチンプンカンプンという人が多いのではないでしょうか?私は竿作りだけでモデル名には関与していませんが、「龍シリーズ」もそろそろ整理した方がよいのではないかと思う今日この頃。私も正式なモデル名を表記するのが大変になってきました!042.gif
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↑同じスペックのプロトですが自重に1㌘弱の違いがあります

さて今回の竿は「龍切竿(りゅうせつかん)」といかにも強そうなモデル名ですが、「早瀬」に近い「急瀬」なのでそのような竿ではありません。今までの「龍シリーズ」より胴に入るのを早くして、どちらかというと掛かり鮎をいなして獲るタイプなので事前に捕捉しておきます。

ではどのような竿なのか理解してもらうため、ベンディングカーブの比較を見てみましょう。まずは「征龍竿Ⅱ」との比較で、吊っている錘は100㌘と150㌘。自重的にはほとんど変わりませんが、硬度はプロトの方が上回っています。これは素材の違いもありますが、テーパーデザインによるところが大きいです。
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「征龍竿Ⅱ」との比較。上が100㌘で下が150㌘

続けて「龍星☆竿Ⅱ」との比較写真ですが、吊っている錘は同じ100㌘と150㌘。これを見て頂ければわかるとおり、硬度は「征龍竿Ⅱ」に近い感じに仕上がっています。私がテストする段階で、ここまでしっかり硬度調整がなされていた竿は初めての経験。素材が違うと感じる硬度やトルク感も違うので難しいのですが、「龍シリーズ」がほぼ同じレベルの素材になったということもあるのでしょう。
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「龍星☆竿Ⅱ」との比較。上が100㌘で下が150㌘

ここで説明する必要もなく、今まで私が開発に携わってきた「龍シリーズ」は感度最優先。カリカリ感が強く釣っているときも気が抜けない(心休まらない)というのが友人達の評価です。音を弾くために2~3番にも張りを持たせながら先調子感を出しているため、それ以上に強い胴に曲がりが入るのが遅くなります。

そのため竿を曲げるのに慣れていない人は、対応が遅れてそのまま伸されるというケースが見られます。これは「超硬」ではより顕著になり、九頭竜と言えども「Super LightⅢ 超硬90」や「龍芯竿Ⅱ90 超硬EX」を胴までしっかり曲げている人は少ないです。

先調子の竿は伸されやすいというのが一般論ですが、同じ硬さの胴なら曲がる1~3番の方が胴を曲げやすいもの。これは綱引きでいきなり引かれると腰砕けになりますが、徐々に引かれると腰を入れて耐えられる原理と同じです。その意味で世間一般で言われる先調子より、「龍シリーズ」はさらに伸されやすい竿とも言えます。
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誰でも曲げやすい竿にするにはヘラ竿のような胴調子にすればよいわけですが、友釣りはヘラのように浮きで当たりをとるわけではありません。確かに昔はミャク釣りのように目印で当たりを取っていた人が多かったと思いますが、今はほとんどの人が釣っている場所やオバセの目安にしているくらいでしょう。

今年は釣りを見たいという申し出があり、狩野川で2回、九頭竜で2回、庄川で1回ご一緒する機会がありました。すぐ後ろで見ている友人は目印を追っているわけですが、私がいかに目印ではなく竿で当たりを取っているかを実感しました。026.gif

もちろん引き釣りであることも大きいですが、友人が目印を見て掛かったと口にするのは、私が竿で感じるよりもかなり遅れます。そして私が竿で当たりを感じた後、目印をあまり目で追っていないことにも気がついたしだいです。
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オトリ鮎の動きは目印で見るより、竿で感じる情報の方がはるかに速いし多い。これを前提に感度優先の竿を作ってきたわけですが、毎度の喩で恐縮ですが「龍シリーズ」はF1マシーンみたいなものなので、誰もが性能を引き出せるというものではありません。対応が遅れても伸されない。ある程度の経験があればポテンシャルを引き出せる。そしてポテンシャルは限りなく高く。

これらを集約すると、車であればF1マシーンではなくシフトチェンジのいらないスーパーカー。竿であれば感度を求めつつ、先調子でありながら胴に入るのを少し早く。そして持ち重りせず細身軽量といった感じになるのでしょう。こんな条件の竿を開発するにあたって、一番難しいのは感度をどこで妥協するかです。034.gif
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感度優先で2~3番に張りを持たせ過ぎると、今までの「龍シリーズ」と変わらなくなる。かといって2~3番に張りを持たせて胴を柔らかくすると、弾いた音が失速し、胴ブレする調子になって高性能とは言えない代物になってしまいます。どこまで2~3番を柔らかくするか?そしてどこまで胴に張りを持たせるか?これのせめぎ合い。

この竿のテストは神通川、相模川、狩野川、庄川で行いました。ほぼ完成した時点で、ご一緒できる友人にも使ってもらいましたが評価は良好です。今までの「龍シリーズ」と違って高い音の伝達が弱いですが、水中糸の水切音をあまり拾わないので、逆に釣りに集中できるという意見もありました。
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このブログでお馴染みの鮎道楽さんの評価は、これくらいの方が一日通して使えば「龍星☆竿Ⅱ」より釣果が伸びるだろうとのこと。竿の感じは「龍切竿」というより、「Lady Gaga」ならぬ「Lady Dragon」という表現がしっくりとのコメントでした。写真を見ると胴はほとんど曲がっていませんが、釣っている本人はかなり胴に入っているように感じますし、手首への負担も「龍シリーズ」より少ないです。

神通川や相模川のような大きな川では、最初に使ったときはパワー不足を感じるかもしれません。しかしそこから、もう一段シフトチェンジするのが「Lady Dragon」。今回の竿は今までの「龍シリーズ」とは少し味付けが違いますので、ご興味のある人は完成プロトをご確認くださいませ!001.gif
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釣り場でお会いして意見や感想をくださった皆様、本当にありがとうございました。皆様の意見は概ね反映できたと思いますので、この場でご報告させて頂きます。040.gif

残るは皆様が一番気になる竿のデザイン。こちらはモデル名と同じように私の領分ではありませんが、寄せられた意見はお伝えしておりますので楽しみにお待ちくださいませ。後はフナヤさんに、そそられるビジュアルとプライスを期待しましょう!006.gif

実釣記録① 神通川
実釣記録② 狩野川
実釣記録③ 相模川
実釣記録④ 神通川、庄川

鮎道楽さんインプレ(2014年9月14日 ライトSPなドラゴンとは?)

by scott1091 | 2014-09-30 20:54 | フナヤオリジナル | Comments(6)

Commented at 2014-11-02 20:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by scott1091 at 2014-11-13 20:36
鍵コメさん、お久しぶりです!

コメントに気がつかず、ご返事が遅くなりました。お尋ねの①「征龍竿<<龍星☆竿<<SLⅢ」と、②「征龍竿<龍切竿<<<SLⅢ」の使い分けについてですが、硬度が均等にバランスしているのは①です。イメージを<印で示してみました。しかし龍切竿は①の竿とは少し調子が異なるため、単純に比較するのは難しいところです。

盛期を前提にした私の使い分けは、①であれば庄川→征龍竿、神通川→龍星☆竿、九頭竜川→SLⅢ。②であれば庄川、神通川→龍切竿、九頭竜川→SLⅢでいいかな~という感じです。征龍竿と龍星☆竿はいずれもタイトな設定のため、過負荷に対する許容範囲が狭いのに対し、龍切竿は調子的に許容範囲がやや広いという傾向があります。

↓続きます
Commented by scott1091 at 2014-11-13 20:40
↑続きです

私は遠征の際は4本入りのロッドケースを使っています。通常北陸は征龍竿、龍星☆竿、SLⅢ、龍芯竿を持っていきますが、来年は龍切竿、龍星☆竿、SLⅢ、龍芯竿の4本になると思います。鍵コメさんはすでに征龍竿とSLⅢをお持ちなので、龍星☆竿を購入すれば硬度バランスが均一になる一方、遠征には竿を3本持っていくことになるでしょう。

もし龍切竿を購入されるのであれば、予備を考えなければ龍切竿とSLⅢ2本でも不自由はないと思います。もちろん龍星☆竿よりはSLⅢの出番が早くなります。このように限られた本数しか携行できない遠征においては、竿選びの基準は安心感が優先します。しかし日帰りできるエリアはよりタイトな竿選びができるので、翔龍竿や征龍竿、風切竿の出番が多くなっているのが現状です。

ブログを拝見しましたが、概ね鍵コメさんのインプレと相違ないと思います。

Commented at 2014-11-14 22:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by scott1091 at 2014-11-15 08:14
鍵コメさん、了解です!米代川であればもう少し詳細な説明ができますので、ご興味があれば非公開でメルアドをお知らせくださいませ。
Commented at 2014-11-15 20:50 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。