「α90」が完成し、「翔龍竿MH90 HP」となりました!

正式な名称は「翔龍竿Medium Hard 90 High Power」。

翔(しょう)は「最終プロト」の最初のテスト河川、「庄川(しょうがわ)」の庄(しょう)に掛けているのは、すでにご存知の方も多いと思います。

「翔龍竿MH90 HP」の開発過程については、すでに二つの記事を「フナヤオリジナル」のカテゴリーに書いているので、これらと合わせてご覧頂ければ幸甚です。では本題に入りましょう。

コードネーム「α90」の開発コンセプトは、先調子で200㌘前後の「硬中硬 HIGH POWER」を作るというもの。このためまずはフナヤオリジナルの製造元であるサンテック社の、このクラスに近いモデルを実際に使ってみることから開発がスタートしました。
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具体的に試釣した竿は、「GENKI SPECIAL ZPRO LIGHT」、「GENKI SPECIAL POWER」、「GMR幻輝Special NP1 90R」、「GENKI SPECIAL TB1」の計4本。いずれもコンセプト通りに作られているという印象で、「α90」が目指すべき姿や、200㌘前後の竿に期待できるパワーを実感することができました。快く竿を貸し出してくれたサンテックさんに、まずは御礼申し上げます。

この試釣で明確になったことは、今までのような先調子では理想とする竿を作るのは難しいということ。フナヤオリジナルのコンセプトは「主導権が取れる先調子」なので、これは矛盾すると思われる方も多いと思います。しかし私は当初から、鮎竿は柔らかくなるほど胴調子に近づくと考えていたので、この試釣で漠然としたものがはっきりした感じです。

すなわち元竿を細くすれば、それに見合うだけ穂先も細くしないと先調子にはならない。これは渓流竿をイメージして頂ければ、すぐにわかると思います。しかし鮎竿はオトリの操作が必要となるため、渓流竿のようなテーパーにはできません。この妥協点を探るのが、「α90」で一番難しい問題でした。
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↑サンテック社から直送されたプロト&パーツ類の外箱。これだけでもかなりの送料になります

「プロト1」は、その点で非常によくできた竿でした。自重にこだわらなければ、これでも十分という感じですが、やはり目指すは200㌘前後。もう少し軽量化するため、元竿の径をワンランク細くして再設計をお願いします。これで上がってきたのが、「プロト2W」と「プロト2T」の2本。この2本は1~3番と元竿は共通ですが、4~7番は素材構成とシートの組み合わせが異なります。

前項に掲載した錘負荷によるベンディングカーブは、この2本はほとんど変わりませんが、実際に釣りをしてみるとまったく違いました。軽い方の「プロト2W」は捩れ負荷に弱く、同じ曲がり具合でもスカスカ感が強くて、オトリを上手くコントロールできません。これで「プロト2W」は早々に没としました。

もう1本の「プロト2T」も1~3番が共通のため、フラフラ感があって4番以降の力強さがオトリ操作などの低負荷ではまったく感じられません。そこで折ってしまった「プロト1」の1~3番を移植して、「プロト2T改」にするとかなり改善しました。しかしその反面、今度は4番以降がパワー不足で、竿全体がぶれてダヨンダヨン感がでます。emoticon-0107-sweating.gif
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この「プロト2W」、「プロト2T」いずれも狙い通り「先調子感」が出ていますが、この1~3番の弱さでは、オトリの操作性に問題があるため、補強を考えなければなりません。ここですでにお気づきのとおり、1~3番を補強すれば当然ながら「プロト2」よりも胴調子になるわけです。

そこで4~8番の補強を考えたのですが、すでにこれ以上の高弾性化はできない状況です。そしてテーパーを見直すとなれば、限りなく「征龍竿EXPERT MODEL」に近づくというのが設計サイドの見解。残された道は「節の長さ」の見直しで、再び全面改良を行います。

これで仕上がってきたのが「プロト3」。神通川のトロ瀬とはいえ、121尾釣った竿です。この竿では、先径1.4㍉と1.5㍉の穂先をテストしました。トロ瀬ではストレスなく使えるレベルに仕上がっており、振り調子を見た友人達の印象も良好でした。しかし私は気になっていることがあったので、結論は狩野川のテストまで保留します。
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↑プロトから予想される製品自重は、210~215㌘程度か?

その保留した理由は、私が一番こだわる感度の問題。同じ素材であれば、柔らかい竿の方が感度がファジーになるのは致し方ないこと。これは以前にも説明したとおり、「硬中硬」と「早瀬」に100㌘の錘をぶら下げて、その錘を吊っているラインを軽く弾く感じをイメージして頂ければ理解できると思います。もっとわかりやすく書けば、「PTソリッド」のソリッド部分が曲がり過ぎると、感度を失うのと同じ現象です。

しかし勘違いしてはいけないのは、100㌘の錘が大きいのか小さいのかということです。すなわち竿を曲げる負荷の大きさで、音の伝達が変わるのが竿の難しいところ。竿が曲がった状態と、まったく曲がっていない状態では、竿の感度、すなわち音の伝達に違いがあるのです。

これを「硬中硬」として、どこまで許容すればよいのか?emoticon-0133-wait.gif
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↑錘負荷100㌘。上が「征龍竿」で、下が「翔龍竿プロト4」

これが「プロト3」で一番悩んだポイントでした。わかりやすい例を挙げれば、「プロト3」は鮎が掛かると1~3番の曲がりが緩衝となり、目を瞑ってやりとりすると、ハリがどこに掛かっているのかわかりずらい。「硬中硬」が「早瀬」や「急瀬」とは違うのは十分理解しているし、シーズン初期の鮎であればここまで曲がらないのは確か。これがまさに、ジレンマに陥った理由です。

しかしそれがわかっていても、感度だけはこだわりたい。いくら竿が柔らかくても、掛かり鮎の動きを手に強く感じていたいし、それがシビアなオトリ操作にもつながる。店頭での「プロト3」の評判は上々なので、「プロト4」にトライするかの判断はフナヤさんに預けます。このときの私の提案は、「プロト3」をより先短設計にするというもので、1~4番の「節の長さ」の見直しでした。

これを受けた設計サイドからの返答は、「節の長さ」だけでなく、短くした1番に見合う2~4番の補強が必要というもの。しかもそれを実現するためのシートの組み合わせは、製品化した竿がないのでやってみないとわからないと・・・。これはすなわち、破損リスク高まる可能性があるということ。私では決断できない領域なので、無難な方法を進言します。
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↑同じく錘負荷100㌘。角度を変えるとこれぐらい曲がりが違うように感じます

これを受けて従来どおりのシートの組み合わせでいく予定でしたが、実際に上がってきた「プロト4」は、新たな組み合わせにトライしたもの。しかもこの方法は驚くほどの効力で、この時点でやっと納得できる「硬中硬 HIGH POWER」になりました。しかし破断強度の定量的な測定は工場サイドで行いますが、こうなると実釣でも強度面や耐久性も見極めなければなりません。

そこで選んだテスト河川が、北陸の銘川「庄川」。鮎のサイズ、テストで掛けられる数、ポイントのバリエーション、水量、いずれの条件もクリアーしているのが選んだ理由です。そして強度についてはこの二日間では折れなかったので、目下、狩野川でテストを続行中です。emoticon-0100-smile.gif

写真のベンディングカーブを見て頂ければわかるとおり、「征龍竿EM」より「胴調子」に仕上がっています。しかしこれが「硬中硬」レンジに見合った、フナヤオリジナル最良のベンディングカーブ。胴に入るまではしっかり先調子感がありますし、「硬中硬 HIGH POWER」となっている理由も、実感して頂けると思います。
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↑錘負荷150㌘。上が「征龍竿」で、下が「翔龍竿プロト4」

そして最後までこだわった穂先について。フナヤオリジナルはソリッド穂先のバリエーションが豊富ですが、今回は竿とのバランスを考えて、感度にこだわって1.4㍉と1.6㍉のチューブラー穂先を開発しました。価格設定の関係で標準穂先は1.6㍉1本となりますが、別売りでこの1.4㍉もラインアップされます。早期予約であれば両方の穂先が付属する特典があるので、利用されるのもよいかもしれません。

ご興味のある方は、店頭でご覧くださいませ!emoticon-0105-wink.gif
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↑同じく錘負荷150㌘。角度を変えるとこれぐらい曲がりが違うように感じます

実釣記録①プロト2
実釣記録②プロト3/神通川
実釣記録③プロト3
実釣記録④プロト4/庄川
実釣記録⑤プロト4
実釣記録⑥プロト4
実釣記録⑦オプション穂先1.4㍉チューブラー

by scott1091 | 2011-09-21 12:38 | フナヤオリジナル | Comments(0)