竿の開発について・・・

この週末は、台風12号の雨により釣りができませんでした。
そこで今回の話題は、竿の開発についてです。

以前にも少し触れましたが、釣具業界ではテスターという言葉がよく使われます。これはメーカーが開発している竿を実釣でテストして、開発コンセプトへの適合具合や調子の良し悪し、また改良点などをアドバイスする役割を担います。

大手メーカーではスタッフ層が厚いので、開発サイドである程度候補を絞り込んでからのテストとなるため、多くの場合は「この3本ならこれが一番良い」というような感じになります。

新しいコンセプトの竿やフラッグシップモデルのリニューアルでは、シーズンを通してテストが行われますが、それ以外の竿はテスターが一同に会する日に、お墨付きをもらうというのが現状だと思います。裏を返せば、開発スタッフがそれだけ充実していることと、廉価版の竿のテストに時間を費やすテスターはいないということでもあるのでしょう。

また多くのテスターは竿作りに精通しているわけではないので、指摘事項もかなり漠然としたものになります。具体的には「もう少し先にハリが欲しい」とか、「〇〇よりも感度が悪い」、「引いたときにオトリが付いてこない」、「鮎の抜けが悪い」等々。

これらの微妙な表現を的確に分析し、設計に反映するのが開発スタッフの腕の見せ所となります。テスターも重鎮クラスになると発言力も大きいので、思い通りの修正プロトが上がってこないと、「こんどの担当は勘が悪い」とか、「鮎が釣れない竿を作る」などと言われてしまうのですが、ここがまさにテスターと開発スタッフの「阿吽の呼吸」なのでしょう。

長年コンビを組んでいるケースが多いのはこのような理由からなのでしょうが、お互いの役割分担がはっきりしているので、テスターはプロト試作に掛かるコストなどは一切気にする必要がありません。自分が伝えたとおりの竿に仕上がってこなければ、それは開発スタッフの責任ですから、もう一度プロトを作り直してもらえばよいわけです。

他方、私の現状はどうでしょうか?

フナヤオリジナルの開発に、無償で協力しているのはこのブログを見ている方はすでにご存知だと思います。テスターの場合は、自分が担当した竿はメーカーから提供されるのが一般的ですが、私はこれについても固辞しております。

その理由はなぜか?

それは、自分の理想とする竿を追求することが目的だからです。
したがってそれの障害になる要素は、極力排除しておきたい。

すなわち私に竿1本分のコストが掛かれば、全面改良や修正プロトに踏み切る際の制約のバーが上がります。フナヤオリジナルはサンテックのOEMですから、大手メーカーが自前の工場でプロトを試作するよりも制約が多くなるわけです。

したがってフナヤさんは商売ですから、あまり無理なお願いはできません。コスト的に見合わなければ、これで完成という判断も尊重します。ここはしっかりと線引きしておかなければ、私の存在そのものが迷惑なものとなりかねません。

ただ、もう少し手を加えれば、この竿は確実に良くなる。そう確信でき改良すべき点がはっきりと指摘できるなら、プロト作成のコストを自分が負担してもトライしたいと私は考えています。もちろんフナヤさんが負担させるようなことは今のところありませんが、それに甘える気持ちもありません。

だからこそ、プロトを作り直すたびにヒシヒシと感じる重圧と、表現しようのない憂鬱。できるだけプロトの本数が少なくて済むよう、「節の長さ」や「テーパー」、「素材構成」にまで私は言及しているので責任は重いのです。

今までも、すんなり行く竿の方が少なかったのは事実。特に思い入れの深い「征龍竿」と「龍星☆竿」は、悩み抜いた末での決断でしたが、全面改良に踏み切ってよかったと心から思います。そしてその結果がともなっているからこそ、「α90」でもフナヤさんは信頼を寄せてくれているのでしょう。

「α90」は「プロト3」で全面改良。「プロト4」でやっと修正パーツのレベルまでこぎつけました。すでに「プロト3」の段階でも、〇〇のレベルではないとか、△△よりもはるかに良いという評価を頂いています。しかし私の目指しているレベルは、もう少し高い・・・。

私も、「プロト3」でも十分売れると思っています。そして最終段階のこだわりとも言える調整は、違いを感じないユーザーも少なくないと思います。しかし違いが判るユーザーも確実にいる。そしてそのユーザーは、「α90」にも同じレベルを期待しているはずです。

思い起こせば2008年の「征龍竿」開発のとき、TOMOさんが狙っているレベルは高過ぎて一般ユーザーには理解されないと・・・。そしてNP工法は半完成品に見えるので、クリアー全塗装でなければ売れない。こんな経緯から「征龍竿」は、2009年にクリアー全塗装で発売されました。

そして「征龍竿」は多くのユーザーからの要望により、2010年には私が当初目論んでいた「征龍竿EM」となり、他の竿も2011年にはNP工法が採用されました。

良いものを作れば、ブランドに関係なく評価してくれる人がいる。
それを信じて、「α90」の開発に邁進しております。

by scott1091 | 2011-09-04 22:23 | フナヤオリジナル | Comments(7)

Commented by 狂的KOJI at 2011-09-14 20:44 x
こんばんわ。書き難いお話でしょうに・・・ありがとうございます。

フナヤさんのイメージは、九頭竜育ちの硬くて強いサオ。
仲間(激○隊)が撃龍竿K'sVを使ってるので、余計そう思うのかもしれません。

それと、貴方のBlogを見てますから、どうしても「流芯」なイメージです。
私自身の釣りも荒い事もあり、フナヤさんのシリーズは
ものすごく気になります・・・が、地元釣り具店では触れないのが残念。

1本の鮎竿でシーズンを通すのは難しいけど、
何本も竿を買えないから、セレクトは慎重になります。

TOMOさんは誇張ナシで書いてくれる(気がします)ので、
大変参考になります。α90の仕上がりも期待してます!
Commented by scott1091 at 2011-09-15 21:45
狂的KOJIさん、こんばんは!

私の友人も、かつてお金持ちのクルーザーにメイトとして乗っていましたが、カジキは本当に数えるほどで、もっぱらお土産はキメジやカツオでした。この船は当時はトップクラスの釣果でしたが、シーズン中は時化ない限り毎週出船していましたから、資金力も凄かったのでしょう。もうかなり昔の話ですけど・・・。(笑)

さて本題です。狂的KOJIさんに限らず多くの方々が、「フナヤオリジナル=九頭竜川」というイメージだと思います。そのため「早瀬High Power」の「征龍竿」や、「急瀬」の「急龍竿」も九頭竜用と思われている方も多いです。しかし残念ながら、九頭竜中部の上川(鳴鹿大堰よりカミ)では、このクラスの竿はまったく出番がありません。

狂的KOJIさんがご存知の「撃龍竿K'sV」は、北島を漁場にしている恵まれた体格の職漁師さんが監修した竿なので、通常の「撃龍竿」よりさらに硬めに仕上げられています。この竿をお使いのお仲間も存じておりますが、ようは「超人」が使う竿で、フナヤオリジナルの中でも特別な存在です。もし私が使えば釣果激減でしょうし、天秤持ちでも一日釣りはできません。
↓つづく
Commented by scott1091 at 2011-09-15 21:46
この職漁師さんの影響もあり、一時期は北島で流芯に立ち込む人の多くが「撃龍竿」を使っていました。しかし今年は、「龍芯竿」を使っている人が多かったです。鮎が掛からない年は、また加齢とともにこうなるのは必然でしょう。

私は自分で開発した竿を、人にはあまり勧めません。ブログでの紹介も、備忘的に自分のこだわりや思いを綴っているに過ぎません。したがって狂的KOJIさんには、ぜひ大手メーカーのザコ釣りレベル竿(←貴方blogより引用)より上を、一度使って欲しいと思います。そしてその竿を使いこなした後、私が開発した竿を使ってみて頂きたい!

目下のところフナヤオリジナルのユーザーは、このクラスを使った人の転向は少なく、大手メーカーの安いないし同じ価格帯からの買い替えが多いです。これであれば性能的に優れているのは当たり前なのですが、竿の扱いについての啓蒙には本当に苦慮しています。30万円以上の竿を使ったことがある人とない人では、やはり竿の扱いがまったく違うのです。
↓さらにつづく
Commented by scott1091 at 2011-09-15 21:47
しかしいくら大切に扱っても、やはり人間ですから折ってしまうこともあります。初年度はメーカー保証もありますが、保険がなければ2年目以降は自己負担。高い竿は初期投資よりも、このパーツ代負担が凄まじい。だから、決して無理をしないんです。先日元竿を折った友人が、パーツは割引きがまったくないので、10万円超で泣いていました・・・。(笑)

竿や道具選びも、これまた楽しみの一つ。フナヤオリジナルはプロトの貸出しもあるので、ご興味があればシーズン中に利用してみるのもよろしいかもしれません。

それともう一つ、「流芯の釣り=荒い釣り」と捉えていては上達はありません。ブログでも書きましたが、オトリが入る入らないのレベルではありません。先を争って立ち込み合戦でサラ場を釣るだけなら、私の体格では九頭竜ではまったく数は伸びないでしょう。どんな場所(トロ~荒瀬)でも、いかに人より細かく探ることができるか!

そんな釣りをストレスなくできる竿。
これがまさに私が理想としている竿なのです。
Commented by 狂的KOJI at 2011-09-16 06:46 x
お時間を割いてのコメント返し、ありがとうございます。
このお返事だけでブログ1話?分ですね(汗

そもそも九頭竜で釣りをしたことも無いし、
自分の鮎歴はたったの7年しかありません・・・
まだまだ竿を語る事なんて出来ないし、
上手な人の意見を聞いて納得してるレベルなんですよ。

で、雑魚釣りレベルの件ですが、私の本心ではなく、
あるBlogへの反骨心から皮肉って書いてましたが、
人を不愉快にさせてるのがわかりましたので最近は書いてません。

私的に好みはダイワで言うところのエアシリーズです。
おっしゃる通り、SPクラスは金銭的に維持出来ません。
買えないからの先の件のような皮肉を書いてしまったのかも。

長々と書きましたが、フナヤさんの竿に興味があるのは本心です。
先ずは自分に合う1本をお借りしてみたいと思います!
ありがとうございました(^^)
Commented by scott1091 at 2011-09-16 20:35
狂的KOJIさん、ご丁寧に返信ありがとうございます。

例の表現は、まったく他意はありません。むしろユーモアがあると思っているくらいなのでご安心を!本家も拝見しておりますが、表現の良し悪しを別にすれば、使ってみないとわからないという主張は正しいと思います。ある程度の腕になれば、一定以上のレベルの竿を使えば、釣果が大きく変わることはありません。しかし同じメーカーで値差があるのは素材の違いですから、使ってみればわかると思います。それを必要とするか、またそれを楽しむかは鮎釣りに対する自分のスタンスの問題です。

ご存知のとおり、人間は生活レベルを上げるのは簡単ですが、下げるのはとても難しい。私も子供が義務教育中はこのレベルの竿を使っていましたが、学費負担が重くなるとかなり苦しい。おそらくこのレベルを使ってきたユーザーで、私と同じような境遇の人も多いでしょうし、今後も増えてくるはずです。それならここは一つ「黄昏世代」を代表して、「匹敵もしくはそれを越える竿を、買える値段で作ってやろうじゃないの!」というのが、私の二つ目の目的です。
↓つづく
Commented by scott1091 at 2011-09-16 20:37
残念ながら所有することによるステータスは、フナヤオリジナルでは得られません。しかし「違いのわかる男(女)の竿(?)」という自己満足は、得られると思います。狂的KOJIさんもお気づきのように、竿は好みが重要なのでエアシリーズも大いに結構。私は同じメーカーの同じ価格帯の竿でも、上げると言われてもいらない竿があるくらいですから。だからこそ、竿選びは慎重になって当然です。

もし機会があれば、仲間の人に「竿の1尾レンタル」(1尾釣らせてもらうこと)をお願いするのも一考です。やはり竿は、フィッシングショーや店頭で振り調子を見るだけではわかりません。借りたときは、抜くときにタモの柄や枠を竿に当てないよう注意すること。竿を大切にしている人が一番気にする点なので、タモは後抜きがベストです。上手くタモ受けできなくても、竿の調子を見るのが目的ですからまったく問題ありませんものね。

今後も貴方ブログ、楽しみにしております!