アオリイカの種類について!

イカは動物分類法では「無脊椎動物」になります。このカテゴリーは簡単に言えば、脊椎がない動物全て。一方「脊椎動物」は、「哺乳類」、「鳥類」、「爬虫類」、「両生類」、「魚類」、「無顎類」と、さほど種類がありません。

これだけでもわかるとおり、「無脊椎動物」はともかく幅が広い。その中でイカは「軟体動物門」に分類され、人間には比較的身近な動物です。日本人がもっとも食べる水産物の第一位はイカ。また地球上で、海洋生物資源としてもっとも量的に豊富なのはイカなのです。

したがってイカは「無脊椎動物」の中では研究が進んでいる分野ではありますが、どちらかというと液晶パネルや、発光体の仕組みなどの応用分野が先行。逆にあまりに身近過ぎて、「動物系統分類学」においてはあまり進んでおりません。

地球レベルでは、人間が利用していない種は沢山いますし、名前さえない種も多いと言われています。もっと言えば、身近で食べているイカでも、遺伝子レベルまで分析すればさらに細分化されると考えられています。その最たる例がアオリイカです。

アオリイカと一括りに呼びますが、日本沿岸に生息する種には、かなり古くから「シロイカ型」と「アカイカ型」があることが認識されていました。そして近年、それに「クアイカ型」が加わり、現在はアオリイカと呼ばれる種は、三つの型に細分化できることがわかっています。

それぞれの特徴を文献(*)から引用すれば、以下のとおりです。

〇シロイカ型
・日本沿岸に広く分布するアオリイカ
・オスは最大で3㌔程度になるが、メスは最大で1.5㌔程度
・太平洋群と日本海群に亜種レベルで分けられる

〇アカイカ型
・沖縄県から長崎県、徳島県、小笠原および伊豆諸島で分布が確認
・シロイカ型に比べて赤の色素胞が多いのが特徴
・全般的に大型化し、最大で5㌔程度になる
・やや沖合に分布する傾向があり、水深20~100㍍程度の海で産卵

〇クアイカ型
・琉球諸島での分布が確認されており、主に珊瑚礁のリーフ内に生息
・体重は成体になっても100㌘程度と小型
・他の二つの型に比べて鰭(エンペラ)も小さく、外套膜(胴体)は全体的に丸味を帯びている

(*)わが国の水産業「あおりいか」 日本水産資源保護協会


さて解説はこの辺で、ここからが本題です。

現在、伊豆半島周辺の海水温は13~14℃台。私が釣りをする陸地と接した場所は、だいたい12~13℃台です。この水温は、もちろんアオリ釣りをするレベル帯ではありません。

本来であれば水温低下とともに、アオリは深場に移動するというのが釣り人の定説。これは水温12~15℃前後が、離接岸の制限要因になるという学説に合致します。

しかしこの週末も、小型ながら釣れています。しかもコロッケサイズが…。水温が急激に低下すると、小型しか釣れないというのは釣り人の定説ではありますけど。

今年は例年よりアオリの平均サイズが小さいですが、この時期にコロッケサイズが連発というのは、友人も過去経験がないとのこと。ましてや15℃以下の海水温で、ヤエンで釣果があるのが不思議と言います。

このような状況から、今釣れているコロッケサイズは、今までのアオリとは違うのではないか?このような疑問が出くるわけです。そして認識されている三つの型に照らし合わせると、これは「クアイカ型」ではないかと言う意見があるようです。

しかしこれについては、私個人もいくつか疑問があります。具体的に列記すると。

<肯定要素>
・釣れるコロッケサイズは、色や形が似ている気がする
・大きさも、ほぼ揃っている
・従来のアオリは、こんな低温では釣れなかったはず(だから「クアイカ型」とも言えない)

<否定要素>
・伊豆半島はもとより、九州や四国も正式に分布が確認されていないのでは?
・もっとも南方系の種なのに、一番低水温に強いとはこれいかに?
・一般的に言われる特徴では、「シロイカ型」のコロッケサイズと明確に判別できない
・コロッケサイズといっても200㌘くらいあるものも
・このサイズで成熟しても、イカの寿命は約一年なので当然
・エルニーニョによる天候不順で、産卵時期が例年よりも遅れたことは想像できる

目下のところ否定要素の方が多いのですが、実際のところはどうなんでしょうか?すでに「クアイカ型」の生息域が本州に広がっているとの説もあるようですが、正確には専門家に同定してもらうしかないのでしょう。

そして個人的に気になっているのは、この時期のコロッケサイズを、成長を望んでリリースしてよいのかという疑問。もし同じ「シロイカ型」だとしても、寿命が1年なので小型サイズの遺伝子を選別していることに。またもし「クアイカ型」となれば、この種を選別して残していることになります。

この観点からすると、秋~12月に釣れるコロッケサイズはリリース。1月以降に釣れるコロッケサイズはキャッチというのが、無難な方法かもしれません。なんとなく、釈然としませんけどね。

ちなみに今週末の釣果は、土曜日が1当たりでボー〇、ヤリ2杯。日曜日が2当たりで1杯、ヤリ1杯でした。海水温は13.7℃と12.8℃。海水で手を洗うとき、冷たいと感じるような状況です。
f0103126_2027486.jpg

by scott1091 | 2010-02-08 19:58 | アオリスト(Aorist) | Comments(2)

Commented by KIKU at 2010-02-09 22:40 x
かなり専門的な内容だと思いますが、TOMOさんって、もしかしてその筋に精通した方なのでしょうか?
コメントに困っている方が多いと思いますよ(笑)

というのはおいときまして、推測だけで「クアイカ型」と断定するのは無理があると思います。
エンペラの大きさや、外套膜の形については、もっと具体的な識別基準があるはず。
さらに言えば、典型的な「クアイカ型」個体と比較してみないと、査定は難しいでしょうね。

と、ここまで書くと、ロマンがなくなってしまうでしょうか…。
Commented by scott1091 at 2010-02-10 21:15
KIKUちゃん、こんばんは!

と~んでもございません。専門家が見れば、素人だとすぐにわかるはず。ご指摘のとおり、同定するのにもう少し専門的な識別基準があればよいのですが、ネットの検索では「外見の特徴」や「卵房に含まれる卵数の違い」くらいしか見当たりません。アロザイム分析では完全に識別できるわけですが、そんな設備ありませんものね~。(笑)

たまたま友人のブログに「クアイカ型」と断定するコメントがあったため、自分の勉強のために少し整理してみました~。ちなみに専門ではありませんが、無脊椎動物学の単位は取りました。魚類学もしかりですが、こちらはKIKUちゃんの専門ですね!(汗)