「龍芯竿」開発への道!

f0103126_22445527.jpg

初めてフナヤさんを訪ねたのが2006年9月11日。2006年に受注のみで完売になった「SuperLight超硬90(以降SL)」と、2007年に発売予定の「撃龍竿925」のプロトを借りに行ったのが始まりです。翌日、当時は一番空いていた北島橋カミの「岩盤ノ瀬」で試用しました。

当時使っていた竿は硬い竿定番の胴調子で、後期の大鮎では身切れが頻発。私は竿の長さを生かすべく異常なほどシモ竿まで攻めるので、胴から曲った竿が起きてこず、一向に水切れしない掛かり鮎に苦慮していました。

もともと早瀬や急瀬クラスは先調子の竿を好んで使っていたので、「超硬クラスでしっかりした先調子があれば、胴折れしない竿があればもう少し獲れるのではないか」と。2003年から九頭竜に通い始めてある程度川慣れし、やっと竿にも目が向くようになった時期でもあります。

当時の試用レポートは本ブログに掲載されておりますが、結果は「SL」の2~3番を補強した竿が欲しいというもの。当然この時点で、一見の客の要望を聞いてもらえるとは微塵も思っていませんでした。しかしこれをきっかけに私の意見が取り入れられ、2007年の「SLⅡ」開発に展開します。
f0103126_22471573.jpg

f0103126_22473280.jpg

f0103126_22475345.jpg

f0103126_22481077.jpg

f0103126_22482422.jpg

f0103126_22484013.jpg

その後「SLⅡ」、「急瀬ECO」、「征龍竿」の開発を通してはっきりと感じたことは、フナヤさんの開発責任者と私の竿の好みが非常に近いということ。今年のメジャー3社の竿で、気になった竿1本がまったく同じであったのにはさすがに驚きました。

こんな感じなので自分が欲しい竿はおのずと一致しており、それが来季リリースを目指している「龍星竿」と「龍芯竿」というわけです。レンジ的には「龍星竿」は「急瀬High Power」で、「龍芯竿」はよりブレが少ない「超硬Extra」。特に「龍芯竿」は、今までの開発経験を生かして、自ら開発責任者に要望したモデルでもあります。

そんな経緯もあって、「龍星竿」は釣期が長い狩野川や富士川で10月までテストできますが、「龍芯竿」は九頭竜で完全に仕上げたかったので、私自身シーズン当初からかなり焦りがありました。中途半端なものをリリースする気はまったくないので、最終的には2年掛かりになることも覚悟しておりました。
f0103126_23504471.jpg

f0103126_23505874.jpg

f0103126_23511166.jpg

f0103126_23512763.jpg

f0103126_23513988.jpg

f0103126_23515523.jpg

f0103126_2352745.jpg

f0103126_23522166.jpg

f0103126_23523524.jpg

「超硬」はすでに「SLⅡ」があり、素材の見直しだけでは明確に違うものを作るのは難しい。また必要以上に高弾性化すれば、超硬クラスの竿は破断リスクが飛躍的に高まります。「超硬」で破断の不安が頭をよぎるようでは、大鮎では一瞬の気の迷いで一気に伸されるかたちとなるのは必至。

素材以外にパワーと強度を持たせる方法はないか?

その答えが、より先短設計とハードテーパーを実現し、さらにジョイント強度が期待できる9本継ぎを採用することでした。しかし工場サイドは9㍍では初めての9本継ぎとなるため、新たなテーパー設計はもちろん、マンドレル(芯金)から作らなければなりません。同じ長さで継数が変れば、全てを見直さなければならないので時間もコストも掛かります。

竿の開発で重要なコンセプトが決定し、工場サイドで設計に移され「プロト1」が仕上がってきたのが7月末。9本継ぎの関係から長さは自然体で915。私は8月9日から九頭竜でテストを開始します。ここで9本継ぎに確かな手ごたえを感じ、開発の方向性が間違っていないことを確信しましたが、全体的なバランスから3~4番部分に不満が残りました。

竿の場合は、単純に3~4番だけをいじればよいというものではないので、私の意向を開発責任者に伝えて工場サイドと検討。私は最終的に3~4番を詰めて、長さを90にすることを提案しましたが、破断強度の問題があるので、最終的な判断は工場サイドに委ねられました。
f0103126_22553854.jpg

f0103126_22555535.jpg

f0103126_22561126.jpg

f0103126_22562921.jpg

f0103126_22564630.jpg

f0103126_2257127.jpg

f0103126_22572418.jpg

そして「プロト2」が上がってきたのが8月末。長さは915のままでしたが、高弾性化はもちろん、同じ弾性率でもメーカー特性やシートの組み合わせにこだわり、振り調子では「プロト1」よりパワーを感じる仕上がりとなっています。

そして「プロト2」は9月3日からテストを開始。背バリと錘によるオトリの引き感度。鮎の抜け具合と、「九頭竜返し」で切り返したときの鮎の止まりと跳ね上がり具合。タモ受けの場合のコントロール性能と手首への負荷。そして風による持ち重り感と操作性。もっとも重要な破断強度のテスト等々。

これだけの項目を一つ一つ検証するためには、最低でも100尾は釣らないと結論が出せません。当初は最終製品は15㌢詰めるのを前提に、各ジョイント部分にマーキングを入れて曲り具合を逐次チェックしていきました。しかし初日が終了した時点で、掛けたときに描かれるベンディングカーブから、これ以上詰める必要がないという結論に至りました。

二日、三日目のテストは竿の引き感度をさらに重点的に確認。「プロト2」の特筆すべき点は、超越した高感度にあります。私の仕掛けは錘用に、メタルラインに付け糸が約40㌢付いておりますが、この付け糸の「水切り音」が竿尻にはっきりと抜けてきます。特に背バリの場合は、その音の強弱で付け糸のオバセ具合が的確に判断できるため、オバセを調整することで超硬竿でも「激流泳がせ」が可能になります。
f0103126_2258485.jpg

f0103126_2259361.jpg

f0103126_22591433.jpg

f0103126_22592637.jpg

f0103126_22593835.jpg

f0103126_22595227.jpg

f0103126_230761.jpg

f0103126_2301974.jpg

f0103126_2303018.jpg

f0103126_2304219.jpg

f0103126_2305329.jpg

初めてこの竿を使う人は、あまりの音の情報量に困惑するかもしれません。しかしこの超高感度により、ハリの掛かりどころがほとんど分かりますので、早い段階で取り込み方法を決定することが可能となり、結果としてバラシが減少します。またこの高感度によって錘の状態を正確に把握できるため、通常より重たい錘を使うことにより、流れが強い底石の側面に付いている鮎を効率良く掛けることができますし、根掛かりも減少します。

今まで書いてきたように、「龍芯竿」は私が一番欲しかった超硬クラスのスペシャル・バージョン。簡単に表現すれば「超硬ロッドのF1マシーン」です。したがって「競龍竿」同様、竿の扱いに無頓着な人にはお勧めできませんので念のため。

購入される方には、大切に扱って頂きたいと思います。

<現在までの「龍芯竿プロト2」での釣果:263尾(MAX28.0㌢♂)>


実釣記録①
実釣記録②
実釣記録③

f0103126_2311871.jpg

f0103126_2313380.jpg

f0103126_2314766.jpg

f0103126_232061.jpg

by scott1091 | 2009-09-16 21:09 | フナヤオリジナル | Comments(8)

Commented by 乾坤一擲 at 2009-09-16 21:19 x
TOMOさん、 こんばんは
 ヘボな写真を使っていただきありがとうございます。
 カメラ位置の関係やアユの大きさの違いも有るのでしょうが、
 6日と13日の写真では竿の曲がりが明らかに違いますね!
 それともタメ加減の違いなのでしょうか?

 超硬スペシャル・バージョン完成 おめでとうございます。
Commented by scott1091 at 2009-09-16 21:55
乾坤一擲さん、こんばんは!
鋭い観察眼ですね~。やっぱり撮影当事者の目線は違います。

この曲がりの違いは鮎の大きさもありますが、最大の理由は妻が連写を撮りきる前に鮎を抜こうと、必要以上に竿を絞っているからです!だからこの日はバレが多いのですよ~。(泣)

普段こんなやり取りをすると、Egaoさんから「無理しない!」と注意されてしまうようなレベルです。鮎の引きを楽しみながら、技で軽快に抜くのがEgao流の「九頭竜返し」ですからね!
Commented by 乾坤一擲 at 2009-09-17 06:13 x
TOMOさん おはようございます。
 最初の書き込みで紛らわしい文章を載せてしまいました。
 訂正させて頂きます。

 誤:ヘボな写真を使っていただき
         ↓
 正:ヘボが撮影した写真を使っていただき

 誠に失礼致しました。
Commented by scott1091 at 2009-09-17 06:22
乾坤一擲さん、朝が早いですね!(笑)

まったく誤解などしておりませんよ~。貴方のことはすでによく存じておりますので、コメント欄の書き込みにあまり神経を使わなくても大丈夫ですよ!(笑)

シルバーウィークは家族サービスですか?
Commented by 乾坤一擲 at 2009-09-17 08:42 x
巷ではシルバーウィークですね、
しかし私が勤務する工場の休日は3日間しかありません(涙)
その3日間も農作業の予定です・・・(>_<)
家族サービスは次週に静岡でヾ( ̄ー ̄ゞ))..( シ ̄ー ̄)ツ_フレーフレーです。
Commented by scott1091 at 2009-09-17 22:27
乾坤一擲さん、こんばんは。
もう子供が小さいわけではないので、みんなが休むときに働いた方が効率よいですよ~。渋滞も凄そうですし・・・。引退後も食べるものに困らない環境が羨ましいです!('-'*)
静岡は全日本ですか?応援&撮影、頑張ってください!
私も陰ながら応援しております。p(^^)q
Commented by きべっち♪ at 2009-09-17 23:52 x
なるほど…とうとう、自分好みができちゃったのね(笑)う"~む、しかし私にはそのレベルで操作できる腕はないかと思いますが…ってか、そんな人なかなかいないんじゃない?でも、一度文章に書いてあるような操作で使ってみたいですね。まざは、お疲れ様。
Commented by scott1091 at 2009-09-18 21:27
きべっちさん、この竿はコストにこだわらず最高の「超硬ロッド」を作る、という開発コンセプトでスタートしました。したがって価格的に、生産数は限定されると考えております。

私の目標は、フナヤ・オリジナルを通して自分の理想とする竿を探求し形にすること!個人では絶対にできないことなので、手弁当もまったく気になりません。わざわざデジイチを購入して妻に撮影をお願いするのも、自分が竿の曲りを客観的に確認したいから。その一部をアルバム代わりにブログに掲載しております。

竿は好みがあるので、本当に違いを感じる人が使えばよいと思いますよ!