「龍神竿90 急瀬Tough Power MOSA」

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今シーズン開発テストをしていた竿がこれ↑。

フナヤオリジナルにおけるハイエンドの急瀬クラスは、現行品では2010年に「龍星☆竿90 急瀬HIGH POWER」、2015年に「龍切竿90 急瀬Light Special」がリリースされました。いずれの竿も神通川というフィールドを想定し、天然鮎の数釣りをターゲットに開発しています。

開発の順番が「龍切竿」の方が後になっているのは、「龍星☆竿」より軽快に操れる軽い竿を!そんなニーズの高まりと、2006年にリリースされた「急龍竿90 急瀬Special」をリニューアルするタイミングであったことによります。

しかしご存じのとおり2015年は神通川の天然遡上が激減。それにより本流だけでも17㌧放流されている人工産鮎が7月には巨大化し、この年にリリースされた「龍切竿」はもとより、「龍星☆竿」でも荒瀬では手におえない状況となりました。

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こんな年は近年では過去に一度しかなく、2016年は通常の神通川に戻るというのが総勢の意見。そして2016年3月時点での富山県水産研究所の田子内水面課長の遡上予想も、過去14年間の平均値をやや下回る(平年よりやや少ない)というもの。しかし2016年も蓋を開けてみれば2015年の再来。いや2015年よりも前半は平均サイズがでかい!

そんな状況なので、私は初釣行から超硬「Super Light Ⅲ」を使用。鮎が多いときは手返しが早くて使い勝手は最高でした。しかし釣果情報が徐々に拡散されて釣り人が増えると、足で稼ぐような釣りはできません。粘って掛けるとなると、やはり超硬では竿の操作がかなり辛い。これが九頭竜川との大きな違いです。

何が一番違うかと言うと、神通川は九頭竜川に比べて圧倒的に浮石が多い。これは毎年流れが変わる神通川と、流れがほとんど変わらず年々川底が平坦になっている九頭竜川を見れば明らかでしょう。

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このように浮石により神通川は底流れが緩い反面複雑なので、丹念に石回りや石組を釣ろうとすると、頻繁に水中糸のテンションや角度を替える必要があります。この竿操作でオトリへのインパクトをコントロールしようとすると、超硬のように重くて硬い竿では誤魔化しが効きません。

そのため鮎が少ない場所では、どうしても「龍星☆竿」を使いたくなります。しかしそんな場所に限って、やっと掛けた鮎がやたらとデカイ。最初は竿の曲がりを確認しながら抜きますが、ある程度抜けるとなれば…。そして「今までと何が違ったんだろう」と思うようなケースで折損。地合いなのに竿を交換するため、車まで戻るのがとてもまどろこしい。

折れない「龍星☆竿」が欲しい!

これがこの竿の開発コンセプト。自重は重くなるのは当然のこと。しかし感度は譲れないので、カーボン素材の弾性を下げるわけにはいきません。コストが嵩みますが高弾性カーボンを肉厚に巻いて、ジョイントの凸側はカーボンテープを巻き上げて補強、凹側はクロスカーボンを巻いて補強します。こうなるとテーパーも見直さなければならないので、節の切り長さも「龍星☆竿」とは変わってきます。


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最初のテストは九頭竜川。これで強度については手ごたえを感じましたが、問題になったのは感度。水中糸の水切音はかなり入ってきますが、無機質(石や障害物)と有機質(鮎や流下ゴミ)の音の聞き分けが難しい。これは鮎が大きいと音量が大きく入ってくるという問題もあるので、鮎が小さい川でもテストする必要があります。

そこで翌日は庄川へ。鮎の大きさで引くときの竿の曲がりが変わるので、それを意識しながら流れに対する竿の角度を変えて感度を確認。やはり九頭竜で感じたインプレが変わることはなく、何らかの改善策を講じなければなりません。しかしこの「プロト1」のバランスは悪くないので、全面改良するには惜しい。

他の人のインプレは感度はまずまずとのことですが、自分が使うのが前提なので音の違いにはこだわりたいところ。そこで先径1.3㍉の穂先を1.5㍉にし、クロスカーボンで1㍍の補強が入った元竿の仕様を見直すよう提言します。翌週は改良パーツは間に合いませんでしたが、庄川と神通川でテストを続けて私なりに結論を出しました。

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やはり穂先と元竿の改良が必要なので、取り急ぎ同じ長さの1.5㍉の穂先を調達。この仕様で九頭竜川、庄川、神通川でテストを行いました。最終的な強度テスト(=竿を折る)で穂先が折れましたが、その結果を受けて穂先の改良、そして感度を考慮した元竿の改良を依頼しました。

そして私の北陸最終釣行となるシルバーウイーク(前半3連休)に間に合うように、「プロト2」が完成。九頭竜はこの週からサギリの杭打ちで水位が下がるので、庄川と神通川でテストすることに。ちょうど木曜に道楽Yさんが庄川「大鮎の瀬」で「龍星☆竿」を折っているので、初日は同じ場所でテストを敢行します。

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プロト2の自重は尻栓込みで実測244㌘。「プロト1」が実測252㌘なので8㌘軽くなっています。この違いは元竿の補強巻きの見直しによるもので、「プロト2」の元竿が64㌘、「プロト1」の元竿が72㌘なので、ちょうど8㌘の違いで合致しています。

テストの滑り出しは順調で27㌢も抜けたので、「プロト1」の感覚で竿を絞って掛かり鮎の一と伸しを抑えると、元上のジョイント(凸側)上が折損。「プロト1」と仕様がまったく同じであれば、このレベルで折れる竿ではないはず。「プロト2」の作製を急いでもらったので、製造上の問題があったのかもしれません。

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しかし工業製品とはいえ製品によって多少のばらつきはあるので、強度についてはある程度のバッファーが必要です。折れた状況から補強が必要となれば、自重が重くなっても改良する必要があります。

午後からは「プロト1」の穂先と元竿を、「プロト2」のものに入れ替えてテストを続行。「プロト1」は感度の問題はありますが、強度テストは九頭竜川、神通川で行っているので安心感があります。そして一番の問題になっている感度ですが、元竿の仕様を見直すことである程度は改善されました。

台風16号の雨により北陸河川は10月を待たずに強制終了。狩野川では引き続き感度テストは可能ですが、この竿に一番重要な強度テストができません。感度にこだわって強度が落ちるのは本末転倒でしょう。したがって今回は感度については許容して「プロト1改」の仕様をベースに、メーカー側で元上の補強の可否を判断して製品化することになります。

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皆様が一番気になるコスメについては、元竿はクリアー全塗装で元上より上はNP(ノンペイント)工法。デザインは龍切竿のオレンジ部分が、龍星☆竿のビクトリーブルーに。地味なデザインを要望する声が多いので、金や銀の塗装は使わない予定です。

自重は参考程度ではありますが、「プロト1改」は尻栓込みで244㌘なので、最終製品は元上の補強を加えても、260~265㌘程度で仕上がるのではと思います。この竿は持ち重りが少ないので、10㌘程度の差はほとんど感じないと思います。ご興味のある方はフナヤでプロトをご覧くださいませ!

以下は150㌘と200㌘を吊ったときの、「プロト1改」と「龍星☆竿」のベンディングカーブの比較です。パワー的にはほぼ同じですが、「プロト1改」の方が胴に入るのが早い調子となっています。これが感度にも影響しているものと思われます。

↓150㌘比較

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↓200㌘比較
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# by scott1091 | 2016-09-22 12:03 | フナヤオリジナル | Comments(0)

久々にホームグラウンドに帰ってきました!

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# by scott1091 | 2016-09-19 21:50 | 鮎釣り/狩野川他