鮎釣りは川で流されることがあるのを前提に…
自戒と注意喚起も含めて、今年の九頭竜で発生した釣り人の事故について書きます。すでにご存じの人も多いと思いますが現在までに3人の方が死亡し、1人が意識不明の重体となっています。本文を書くにあたり、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
7月4日(土) 飯島で40~50歳代とみられる男性が川に流されて死亡
8月5日(水) 松岡で69歳の男性が木陰で雨宿り中に落雷で意識不明の重体
8月7日(金) 北島で71歳の男性が川に流されて死亡
8月9日(日) 坂東島で65歳の男性が川に流されて死亡
私は7~9日は九頭竜にいたので、この三日間で二人の方が亡くなったことになります。同じ日に釣行された人は、ヘリや救急車が出動していたので、川で事故が起こったと感じていた人も多かったと思います。いずれの日も私は違う場所に入川していたので、詳しい場所やどのような状況で流されたのかはわかりません。
金曜はほぼ平水でしたが、土曜からはダムの放水が極端に絞られて20㌢以上の減水。したがって土曜と日曜は川に入りやすい状態でした。石垢はコテコテの垢腐れというほどではありませんが、流されて勢いがつくと慣れていないとなかなか止まれないレベル。特に週末は釣り人が多く、最初は様子見だった人も他の人につられて前へ前へという状況でした。
それが可能なのは水位が低かったからに他なりませんが、このようなときほど事故が起こりやすいような気がします。7月4日に亡くなった人と、8月5日に落雷を受けた人はウエット上着を着ていたようですが、残りの二人はどうだったのでしょうか…。
私もこの週末は渇水だったのでウエットを着ませんでした。もともと着ない人の方が圧倒的に多いですが、水位や場所、気温で着たり着なかったりする人もいるでしょう。しかし上着を着ないで流されると足が浮いて上半身が水没しますし、その状態ではなかなか立ち上がることができません。
流されても足が浮いた姿勢にならないのが基本ですが、大きくスリップしたときは私も足が浮くことがあります。これは流れの強弱に関係ないので、あらゆるケースで想定しておく必要があります。流されたときに冷静に対応するには、死なないレベルで経験を積むしか方法がありません。
鮎釣りは流されなければ大丈夫と思っている人が多いですが、川に入るからには流されるのを前提に臨むべきでしょう。カヤックは転覆するのが当たり前なので、専用のライフジャケットに準ずるPFDを着ていない人はいません。PFDは顔が水面に浮くように設計されていますが、一方で鮎釣りはどうでしょうか?
安全装備がまったくない状態ではありませんか?さらにタイツだけの着用は姿勢を維持できなければ上半身を水没させるので、より危険な状態ともいえます。他にも小物満載のベストにタモや曳舟、手には鮎竿と体の動きを制約するものばかりです。
九頭竜川や神通川、長良川などの大きい川で釣りをする人は、ぜひ流されるのを前提に自分の技量や体力に見合った安全装備を考えて頂きたいと思います。おそらく大部分の人がカヤックと同じように、浮力材の入ったフローティングベストという選択肢になるのではないでしょうか?
この日曜の話ですが、同じ場所から知り合いのグループ(友人A、友人B、C氏)が入川しました。昼になっても友人BとC氏が上がってこないので、待っている友人Aが釣れて竿が畳めないのかな~と待ちぼうけ。しかし車で待機していた友人Bの奥方への入電で状況が一転。事なきを得たけれど、C氏が流されてかなり危険な状態だったようです。
C氏は瀬肩でバランスを崩して立ち上がれないまま瀬に吸い込まれ、そのシモのトロ場は背が立たないので溺れてしまったようです。流されたのに気づいた友人Bは浮力材の入ったベストを着ているので、迅速に行動できたとのこと。溺れている人を救助するのは非常に危険なことですし、二人が生還したのは本当に幸運だったと思います。
「頭が浮いていれば、人は溺死することはない」。
C氏を救助した友人Bの言葉です。
私の友人にはウエット上着では浮力が足りないので、肩パットのように浮力材を入れている人もいます。いくら泳ぎが達者でも足が攣ったり、流されているときに怪我をすれば泳げない人と大差ありません。友人達は川に強い人が多いですが、加齢にともなう身体能力の低下に対応するべく工夫しているのが現状です。鮎師の高齢化にともない、鮎用のフローティングベストや浮力がある上着の開発もメーカーに期待したいところです。
最後に落雷ですが、河原のように開けた場所が危険なのはもちろん、木や鉄塔など高い物体の下も危険です。高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、その物体から4㍍以上離れたところが保護範囲とされていますが、釣り場で雷鳴が近づいてきたら早めに車に避難するのが一番安全です。
by scott1091 | 2015-08-10 21:05 | 鮎釣り/九頭竜川、神通川他 | Comments(8)
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アフロ犬
at 2015-08-18 13:56
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今年の九頭竜川での事故は残念です。。。
事故に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げます。
先日鮎釣りの最中、頭上は晴れていたんですが、山の向こう側から雷鳴が聞こえ、雨雲?雷雲?が接近してきている中で、まだ鮎竿も畳まず鮎釣りを続行している諸先輩方が多かったことにビックリしました。
僕も「8/5の落雷事故」について記事を見ていたので、雨雲レーダーの動きを見た上で、掛かり出したポイントを目の前にして鮎竿を畳みました。
中断するか?どうかは各自の判断かと思いますが、「たとえ頭上は晴れていても、絶対に雷は落ちない」と言い切れないと思うので、雷鳴が聞こえたら注意しないといけませんね。
「頭が浮いていれば、人は溺死することはない。」
こちらについても、「たとえ浅い水深でも、うつ伏せ状態であれば溺死になりうる」ことだと思いますので、鮎師の高齢化に対応するべく、メーカーサイドの方には「頭が浮くような鮎ベスト」の開発もお願いしたいですね。
今後も、ブログを楽しく読ませて頂きます。
事故に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げます。
先日鮎釣りの最中、頭上は晴れていたんですが、山の向こう側から雷鳴が聞こえ、雨雲?雷雲?が接近してきている中で、まだ鮎竿も畳まず鮎釣りを続行している諸先輩方が多かったことにビックリしました。
僕も「8/5の落雷事故」について記事を見ていたので、雨雲レーダーの動きを見た上で、掛かり出したポイントを目の前にして鮎竿を畳みました。
中断するか?どうかは各自の判断かと思いますが、「たとえ頭上は晴れていても、絶対に雷は落ちない」と言い切れないと思うので、雷鳴が聞こえたら注意しないといけませんね。
「頭が浮いていれば、人は溺死することはない。」
こちらについても、「たとえ浅い水深でも、うつ伏せ状態であれば溺死になりうる」ことだと思いますので、鮎師の高齢化に対応するべく、メーカーサイドの方には「頭が浮くような鮎ベスト」の開発もお願いしたいですね。
今後も、ブログを楽しく読ませて頂きます。
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scott1091 at 2015-08-18 21:24
アフロ犬さん、初めまして。
経験者として書きますが、落雷は川原や磯場で避難するタイミングを逸すると、動くに動けなくなって生きた心地がしません。ご指摘のとおり遠くの雷鳴がいきなり近くに落雷することもありますし、落雷した木からの再放電が濡れた岩場や地面を伝うこともあります。
雨が降らなくても鮎釣りは濡れていることが多いので、この再放電でも無事では済みません。鮎釣りは沖磯や沢と違って車に避難できるので、心配しながら釣りを続けるよりも早め早めに行動する方が無難でしょう。
最近は川で顔から転ぶ人を見かけますが、これは身体能力の低下で躓いたときに反対足が前に出ないからで、そのまま流されると一番危険な状態です。流されながら向きを変えるのは相当な体力が必要なので、このような転び方をする高齢者は対応できません。
高齢化にともない何らかの安全装備が必要だと思いますが、危険を感じて自主的に運転免許証を返納する高齢者が少ないように、鮎釣りも死にかけるまで必要性を感じない人が多いのかもしれません。水の事故は、生きるか死ぬかは紙一重です。
経験者として書きますが、落雷は川原や磯場で避難するタイミングを逸すると、動くに動けなくなって生きた心地がしません。ご指摘のとおり遠くの雷鳴がいきなり近くに落雷することもありますし、落雷した木からの再放電が濡れた岩場や地面を伝うこともあります。
雨が降らなくても鮎釣りは濡れていることが多いので、この再放電でも無事では済みません。鮎釣りは沖磯や沢と違って車に避難できるので、心配しながら釣りを続けるよりも早め早めに行動する方が無難でしょう。
最近は川で顔から転ぶ人を見かけますが、これは身体能力の低下で躓いたときに反対足が前に出ないからで、そのまま流されると一番危険な状態です。流されながら向きを変えるのは相当な体力が必要なので、このような転び方をする高齢者は対応できません。
高齢化にともない何らかの安全装備が必要だと思いますが、危険を感じて自主的に運転免許証を返納する高齢者が少ないように、鮎釣りも死にかけるまで必要性を感じない人が多いのかもしれません。水の事故は、生きるか死ぬかは紙一重です。
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アフロ犬
at 2015-08-19 15:20
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scott1091さま
遅れながら、はじめまして。 参考になるご意見有難う御座います。
自分は鮎釣りを楽しむ世代の中では、まだ若い世代にはいるかと思っていますが、少ない鮎釣り歴の中でも過去にはヒヤッとした経験もありました。
長良川中央エリアの垢腐れ時に足を滑らせ流されてから、大きい川に入る際や、高水時に入る際は、もしもの時ようになるべくネオプレーンジャケットを着用するようにしてます。
タビについても、それからいろいろ気にかけて選ぶようになりました。
今でも思うのですが、「垢が付いた川を歩く鮎釣りで、安全面でも、釣りをする面でも足元が一番大事だと思うのですが、意外と足元(タビ等)の研究は後回し、、、」と疑問に思っております。
毎年直接釣果に結びつく、竿や針などの新製品は沢山リリースされ、自分も気になってしまいますが、、、
今後は、安全面に対する提案商品や新製品も鮎釣りを楽しんでいく上で、リリースして欲しいですね。
遅れながら、はじめまして。 参考になるご意見有難う御座います。
自分は鮎釣りを楽しむ世代の中では、まだ若い世代にはいるかと思っていますが、少ない鮎釣り歴の中でも過去にはヒヤッとした経験もありました。
長良川中央エリアの垢腐れ時に足を滑らせ流されてから、大きい川に入る際や、高水時に入る際は、もしもの時ようになるべくネオプレーンジャケットを着用するようにしてます。
タビについても、それからいろいろ気にかけて選ぶようになりました。
今でも思うのですが、「垢が付いた川を歩く鮎釣りで、安全面でも、釣りをする面でも足元が一番大事だと思うのですが、意外と足元(タビ等)の研究は後回し、、、」と疑問に思っております。
毎年直接釣果に結びつく、竿や針などの新製品は沢山リリースされ、自分も気になってしまいますが、、、
今後は、安全面に対する提案商品や新製品も鮎釣りを楽しんでいく上で、リリースして欲しいですね。
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scott1091 at 2015-08-19 23:02
アフロ犬さん、こんばんは!
私が子供の頃からタビの底はフェルトでした。しかしフェルト底はなかなか乾燥しないため、釣り人が細菌や外来生物を媒介するという理由で使用禁止となった国もあります。そのためフェルトの代替として開発されたのがビブラム・イドログリップ・ソールやアクアステルス・ソールですが、鮎釣りのようなコテコテの垢腐れではクリーツやスタッドを打っても、新品のフェルトほどのグリップは得られません。
急流の川にあれだけ立ち込むスポーツ(?)は世界的に鮎釣りくらいなので、日本のメーカーが開発しなければ、おそらく現行以上の製品は生まれないと思います。しかし釣具メーカーは日本の少子高齢化で輸出に目が向いているので、鮎タビやシューズの研究は期待できそうにありません。
アフロ犬さんのような若い人や女性が、鮎釣りにどんどん参入してくることを期待しております。
私が子供の頃からタビの底はフェルトでした。しかしフェルト底はなかなか乾燥しないため、釣り人が細菌や外来生物を媒介するという理由で使用禁止となった国もあります。そのためフェルトの代替として開発されたのがビブラム・イドログリップ・ソールやアクアステルス・ソールですが、鮎釣りのようなコテコテの垢腐れではクリーツやスタッドを打っても、新品のフェルトほどのグリップは得られません。
急流の川にあれだけ立ち込むスポーツ(?)は世界的に鮎釣りくらいなので、日本のメーカーが開発しなければ、おそらく現行以上の製品は生まれないと思います。しかし釣具メーカーは日本の少子高齢化で輸出に目が向いているので、鮎タビやシューズの研究は期待できそうにありません。
アフロ犬さんのような若い人や女性が、鮎釣りにどんどん参入してくることを期待しております。
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あわわ
at 2015-08-30 00:07
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自戒と注意喚起の意味で、今年流された身には耳に痛い記事でした。
小生は水中の大岩の上に立って胸まで浸かった状況だったのですが、半歩だけ足の位置を変えた際にグリップできず、そのままバランスを崩して岩から落ちて流されました。 少し平泳ぎしただけで流心から脱し、足の着く場所だったので事なきを得ましたが、突然に水没したため軽くパニックを起こしました。
過信は禁物と気を引き締める次第です。
懇意の釣具屋さんで、一部の釣り人には自動膨張式ベストを腰に巻いて入川される話を聞きました。 意図しない状況で膨らんでしまった場合は、転ばぬ先の杖が働いたと納得されているようです。
メーカーさんが利用し易いベストや、グリップの良いタビの開発を望むところです。
追伸
全ての記事が自由に読めなくなり、とても残念です。
小生は水中の大岩の上に立って胸まで浸かった状況だったのですが、半歩だけ足の位置を変えた際にグリップできず、そのままバランスを崩して岩から落ちて流されました。 少し平泳ぎしただけで流心から脱し、足の着く場所だったので事なきを得ましたが、突然に水没したため軽くパニックを起こしました。
過信は禁物と気を引き締める次第です。
懇意の釣具屋さんで、一部の釣り人には自動膨張式ベストを腰に巻いて入川される話を聞きました。 意図しない状況で膨らんでしまった場合は、転ばぬ先の杖が働いたと納得されているようです。
メーカーさんが利用し易いベストや、グリップの良いタビの開発を望むところです。
追伸
全ての記事が自由に読めなくなり、とても残念です。
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scott1091 at 2015-09-01 20:33
あわわさん、初めまして。
大事に至らず何よりでした。あわわさんのパターンですと、一番危ないのは呼吸のタイミングで気管に水が入ってしまうことでしょうか…。以前に書きましたが、こうなると陸に上がって咳き込まないと呼吸がままなりません。人は不意のことがあると呼吸を止めるものですが、これを経験して生還した人は少ないようです。そんなことにならないよう、お互い気を付けましょう。
記事につきましては、シーズンが終了したら限定を解除します。オフの暇つぶしに、ご笑覧くださいませ!
大事に至らず何よりでした。あわわさんのパターンですと、一番危ないのは呼吸のタイミングで気管に水が入ってしまうことでしょうか…。以前に書きましたが、こうなると陸に上がって咳き込まないと呼吸がままなりません。人は不意のことがあると呼吸を止めるものですが、これを経験して生還した人は少ないようです。そんなことにならないよう、お互い気を付けましょう。
記事につきましては、シーズンが終了したら限定を解除します。オフの暇つぶしに、ご笑覧くださいませ!
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あわわ
at 2015-09-03 01:39
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scott1091さん。 こんばんわ。
呼吸のタイミングですか。 そういえば・・・と思うところがあります。
あの時の釣行から帰って、直ぐに新しいアユタビを購入しました。
まだまだこの釣りを続けたいので、より安全側に意識を変えたいと思います。
限定解除、楽しみにしています。
呼吸のタイミングですか。 そういえば・・・と思うところがあります。
あの時の釣行から帰って、直ぐに新しいアユタビを購入しました。
まだまだこの釣りを続けたいので、より安全側に意識を変えたいと思います。
限定解除、楽しみにしています。
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scott1091 at 2015-09-03 21:58